
本日発売のマーガレットに「ベルばら エピソード5 ジェローデル編 後編」が掲載されている。読み終えてしばし言葉が出なかった。(ご自身で手にとって、この漫画を楽しまれたい方は、この先を読まないことをお勧めします。)
私は特にジェローデルのファンというわけではない。しかし今回のエピソードを読み、自分の美学を貫き通した彼の人生に惹かれるものがあった。彼もまたフェルゼンそしてアラン同様、生涯をただ一人の女性のために捧げた男だった。ジェローデル目線で見ると、あの場面はこうなるのだなと感じた今回のエピソードだった。
カラーページ。コンティ大公妃の舞踏会があったのち、軍服姿のオスカルに付き従うジェローデルは、あの夜のローヴを着たオスカルを想い起こす。この場面のジェローデルの眼差しがいい。今回のエピソードでは、前編もそうだったが、41年前の本編に登場した場面がいくつか再登場する。画風はあの頃とは違うが、そんなことは全然気にならない。それだけ今回のエピソードには強く引き込まれる要素がある。まさかジェローデルに自分のローヴ姿が見破られていたとは気づいていないオスカル。このころの彼女は、少しずつ自分に「貴族とは?平民とは?」と疑問を投げかけている。
ソフィアの乗った馬車の車輪が溝に取られ、ジェローデルの助けを借りる場面。二人は言葉こそ交さないが、目と目で前編最後の、あの時のことを思い出したに違いない。フェルゼン邸に行き、事の次第をフェルゼンに告げるジェローデル。心の中で「この人をあの方は---」と思う。前編ではダンスする二人を苦悩の表情で見つめていたけれど、ここではフェルゼンに激しく嫉妬しているふうでもない。そんな目で見られているとは露知らないフェルゼン。
オスカルはアントワネットに降格を申し出る。それを知ったジェローデルは急いでオスカルのもとに向かう。手を震わせながら「---お別れなのですね。」と言うジェローデルに、さらりと「どうせベルサイユにいるのだ。また会う機会もあるだろう。」と切り返すオスカル。しかしジェロは意味深な表情で「---そうですね。またすぐに---。きっと近いうちに」と答える。この時点でジェローデルはオスカルに求婚することを決めたのだろう。彼女から離れたくない想いは、アンドレと同じくらい強かった。そしてすぐに両親にオスカルと結婚したい意志を伝える。それを聞いた父親の反応が面白い。「しかるべき家の令嬢なのだろうな?その相手は持参金も十分払えるだけの---。」と。ジェローデルの家とて決して貧しいわけではないが、父親は息子の嫁の持参金を期待している。守銭奴なのだろうか?しかし息子の求婚相手がオスカルと知り、驚く両親のリアクションが可笑しい。次のページでは、ジェローデルがけんもほろろに、オスカルに振られたことが、フェルゼンの口から語られる。それを妹に伝えるときのフェルゼンの笑い顔がいい。
ソフィアはわかっている。ジェローデルは普通のお嬢さんと恋愛、そして結婚をするような男性ではないことを---。自分と同じプライドを彼は持ち合わせていることに気づいている。
続きは次回書きます。実のところ、まだ感想がまとまらないのです。オスカルを一途に想い慕いながら、報われなかった男たち、ジェローデルとアラン。そして結ばれたアンドレ。3人とも命がけで彼女を愛していたと思うと、皆いとおしく感じられます。
読んでくださり、どうもありがとうございます。
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