
9月12日~10月12日まで、さいたま市立漫画会館で、池田先生の歴史漫画展が開催中。拙いけれど、見てきたことを記録に残しておきたい。
東武アーバンパークライン大宮公園駅で降りて徒歩約5分。閑静な住宅街の中に漫画会館はあった。
この静かな会館で池田先生のサイン会が開かれた19日(土)には、約1,200人のファンが訪れたと会館の方が仰っていた。
正面入り口に、縦長のオスカルとアントワネットのバナーが掛けられている。
入口右手は受付兼グッズ売り場。「消費税はいただかない」とのこと。既に売り切れているグッズもある。ここで何か買うと、今回のイベントのポスターが頂ける。(ポスターの在庫がなくなれば終了です。)
こちらは書籍売り場。
展示室に向かう廊下の壁には、エカテリーナとユリウスの縦長のバナーが飾られている。
展示室手前に、チラシが置いてある。
今回は「ベルばら」「オル窓」「栄光のナポレオン」「エカテリーナ」「天の涯まで」の5作品から81点の原画を展示。展示室に入ってすぐ私たちを迎えてくれるのが「オル窓」の原画。「ベルばら」よりも先に「オル窓」が展示されていることに驚いた。今回「オル窓」から出展されているのは次の絵。
カラーイラスト6点
とにかくどれも美しくて、しばし絵の前でぼーっとしてしまった。
白樺林の中を馬で走るアレクセイ---このイラストは、ロシアの広大な大地を想わせてくれる。
アレクセイの着ている民族衣装の模様が、とても細かく丁寧に描かれている。ユリウスのブロンドの髪、ブラウスのレース模様が繊細で美しい。やはり原画は違う。
緑の軍服を着たアレクセイは、特別豪華な額縁に入れられて飾られていた。池田先生のローマ字サイン入り。毛皮の質感が実に見事に描かれていた。
モノクロページは「レーゲンスブルク編」「ロシア編」から出展。
1 オルフェウスの窓で、初めてユリウスとイザークが出会う場面
「君は寄宿生?ピアノのほうかい?」ユリウスの顔の美しさといったら!これだけでもう掴みはOK。
2 涙を浮かべながら、オルフェウスの窓に佇むクラウスが呟く。「ロシアの空が見える。」そこにユリウスが通りかかり「伝説にかないそうな、素敵な女の子は通ったかい?」と声をかける。
3 クリームヒルトに扮したユリウスを抱き、「女だ そんなばかな--- 女がなぜ」と驚く
4 3の続き。ユリウスが女だとわかり「そ、そうだったのか!!」
5 イザークが公演でオーケストラと共にベートーベンの「皇帝」を演奏する
指揮者が構える手、鍵盤に置かれたイザークの手。
6 「皇帝」を演奏しながら、イザークは想う「神よ、力を与えたまえ。まさに汝に傍ら近くにのぼらんとする この楽の音のためにこそ!」
7 「皇帝」を弾くイザークの姿を遠くから見て涙ぐむフリデリーケ。
「おとうさん、おかあさん、ごめんなさい。見えません、ああ。」
8 7の続き
「ごめんなさい、涙が止まらなくて お兄さんの姿が ゆれてゆれて見えません。」
9 鉄橋を渡る列車から飛び降りるクラウス
「あばよ、ストラディヴァ、ただ一つの兄の形見。おまえ縁があるなら、いつかこの腕に戻ってくるがいい。今は置いていく。」
10 9の続き 列車を飛び降りるクラウス
11 ユリウスの独白
「生まれて初めて愛した人の 温かい両の腕にさえ ついに抱かれずに別れてしまうのだ。」
12 11の続き
「ばかたれめ。俺を殺す気か。」
13 ユリウスを抱きしめるイザーク
「欲しかったのは君だけだ。 僕では駄目か 僕では駄目か。」
14 13の続き
「行くよ、好きだよイザーク。」
ここからロシア編になります。
15 ヴァイオリンを持ち、サンクトペテルブルク駅に降り立ったユリウス
「とうとう来た。白い雪の都。」
16 ユリウスが手袋をはめた両手を広げて言う
「ロシアだ。クラウス、クラウス。僕はとうとうやってきたよ。奈落の底から最後の力を振り絞って、君の腕を夢に見るために。」
17 2ページ見開き ユリウスを忘れようとするアレクセイ
「いくたび出会っても同じだ。俺の人生に、恋のための時間はない。-----我が不滅の恋人」
18 ユリウスを抱き、彼女の左頬にくちづけをするアレクセイ
「この大いなる愛の前に、何を逡巡することがあろう。」
19 18の続き ユリウスとアレクセイのキスシーン これがとても美しい。
最初震えていたユリウスの手が、やがて力強くしっかりとアレクセイの左腕を掴む。言葉はなくても、手が指が雄弁に物語るシーン。
20 レーゲンスブルクに戻ってきたユリウス。肩にジャケットをかけて、窓を見上げるイザーク。
21 20の続き
「ふるさと---我が心のレーゲンスブルク」
以上が「オル窓」から展示されているカラーイラストおよびモノクロページです。ジャンピングキスのページは現在「わたしのマーガレット展」に出展中。せっかくのロシア編に、まったくレオニードが登場しないのが残念。今回どういう基準で、絵を選んだのだろう?レオニードが自決を前に自分の心情を語るシーンの原画を見たかった。展示されているどの絵も、まるで芸術作品のように美しい。池田先生が描く人物の手・指には、さまざまなニュアンスが込められている気がする。太い線・細い線を自在に描き分け、絵にダイナミズムを与えている。何よりもユリウスが伝説の窓に初登場する場面の、顔のアップの完璧なまでの美しさには言葉がない。「皇帝」を弾くイザークには少年の面影が消え、若き青年音楽家の誕生をはっきりと打ち出している。
「オル窓」は池田先生のライフワークであり、「一番気に入っている作品」と語っている。27歳から33歳まで7年間かけて、じっくり革命・音楽・人生の不条理について考え描いたこの作品は、先生の少女漫画での最終作となった。私はまだ「オル窓」をちゃんと読み込んでいない。重くて切なくて同じ「革命」を扱っていても、「ベルばら」と全く違う。メインキャラクターたちの人生は、まるでジェットコースターのように浮き沈みがあり、最後は一気に落ちていく。
今回の漫画展で、改めて先生の絵の流麗さに惹きつけられた。実は「ロシア編」のユリウスの絵が少々苦手だったのだが、今回原画を見て、その思いを打ち消した。やはりきれいである。
読んでくださり、ありがとうございます。
美しい写真入りの丁寧な説明。 遠くに住んでいるので、足を運べない私にも、目にうかぶようです。
″オル窓″はやはり、記念ハンカチから、うかがえる様に、″愛しき友″を意識しているように思えます。
レオニードが登場しなかったのも、″オルフェウスの窓″の伝説にこだわったのでは・・・。
三人それぞれの生き方が、映し出されている展示物ですね。
りら様に、3部のユリウスも、見直してもらい、嬉しいです。
お彼岸をむかえ、秋も、本格的。″オル窓″、40周年 も、カウントダウンで終わりに近付いています。
何か、ドキッと、する企画は、″望み薄″ かな?
終了まで出向くことが出来れば良いのですが、何せ東京を飛び越えていくので、遠いです(笑)
それでもいく気力でいたのですが、心配で少し体調が悪くなってしまいました。
また、横浜で開催されるようなイベントが、ありましたら行きたいとおもいます。
私は伝えると言うのが苦手でして・・・
写真を見るともはや売り切れでしょうか?
ポストカードは、全部で5種類、
同じ所に、一筆箋が、2種類、
iPhoneケースの隣りにハンドタオル2種類と、
クリアファイル2種類
ポストカードの隣りのカウンターの右側には、ハンカチ全種類窓に貼ってあったのですが、
で、え~っと私は、iPhoneケースは、三色旗の、オスカルとアンドレが抱き合ってるのにしました、三色旗のオスカルシルエットが一番欲しかったのてすが、
落として割ったら・・・とても買えません、
いや、それ買って、から買ったやつを被せてやろうかとも思いましたが・・・
アホな事は止めます
そのiPhoneケースの一種類以外、全部買いました、ポストカードほんのり良い香りしますよ
りらさまはサイン会じゃない日に行ったのですか?一番の人は午前3時とか・・・
まあ、私もバラ園は前日かなので人の事言えないか・・・
お久しぶりですが、お元気でしょうか?ミーオはその後どうなったでしょう?無事に夢をかなえることができたでしょうか?ずっと気になっています。
>愛しき友″を意識しているように思えます。
レオニードが登場しなかったのも、″オルフェウスの窓″の伝説にこだわったのでは・・・
ああ、そう言われてみればそうですね。気づきませんでした。「愛しき友」がキーワードなら、残念ながらレオニードはこの枠には入りません。けれどレオニードの登場するシーンも見たかったです。ロシア編の第2のヒーローだと思いますので。「オル窓」の原画はどれもうっとりするくらいきれいでした。
>何か、ドキッと、する企画は、″望み薄″ かな?
どうやらなさそうですね。残念です。イラスト集等を出版していただけると嬉しいのですが。
会期は10月12日までですので、サンボさまとお嬢さまの体調が良くなるよう願っています。原画を見れば、元気が出るかもしれません。まだ約3週間ありますので、どうか体と相談して、お出かけできますように。
さいたま市が遠くて、原画展に行かれない方のために、少しでも会場の様子をお伝えできればと思って書いています。読んでいただき、ありがとうございます。
グッズはその後補充されると思いますが、20日(日)の時点では、
・ポストカードは4点あり (1点は完売)
・クリアファイルなし
・一筆箋なし
・iPhone6カバーはトリコロールなし
・ハンカチなし
でした。
19日のサイン会で、かなり売れたのでしょう。そしてサイン会の一番乗りの方は午前3時ですか!気合いが入っていますね。私は根性無しで、そこまでできませんでした。アラレさまは、ばら園でのイベントに、前日から並ばれたのですか?素晴らしいです。やはりそれくらいのパワーがないと駄目ですね。あらかじめサインを頂けるという確実な保証があれば、行ったかもしれません。(←言い訳)
こちらの方も、ブログで原画展レポートを書かれています。侯爵様ファンで、ずっと侯爵様を描き続けている方です。
http://yasootome.blog133.fc2.com/
オル窓はラストが悲惨すぎてずっとトラウマになっています。でも8年ぐらい前に原作者様が「実はユリウスの娘は生きています」なんて
言い出して、様々な人がSSでユリウスの娘の話を作っていました。確かに当時あのシーンはおかしいと思いました。
医者がユリウスに死産と告げただけで、赤ちゃんは見せなかったのだから。池田先生に限って、省略したとは思えなかったし。
続編を描かれる気がある?クラウスのストラディバリも4部で出てこなかったし(アナスタシアがイザークに渡したはず)、色々未消化です。
私もちょっとした旅になりそうなので、行けそうにないのでとても嬉しかったです。
横浜なら喜んで行けるんですが…。
ベルばら熱が再燃したのが去年の11月だったので、横浜そごうも六本木も行けなかったので、原画は拝見したことがありません。やはり違うのでしょうね。
オル窓は、連載当時はまだ小さかったので内容が難しく、読むのをすぐやめた記憶があり、全て読んだのは、恥ずかしながら去年でした。
内容が、話が進むにつれ、重すぎて、ベルばらも主要登場人物が亡くなりますが、読後感が全く違い、しばらくどんよりとしてました。
オスカルやアンドレのように、生ききった感がなく、人生の不条理というのか、思いを残して皆亡くなっていくのが救いがなく受け止めきれませんでした。それでもとても魅力的な作品で、ユリウスの赤ちゃんが実は生きていた発言があったとネットで見て、今年のオル窓連載40周年で、何か新しい話があるのかも?!と期待してましたが…もう、りら様の読者の方も書かれてますが、期待薄でしょうか。
ただのhappyendを期待するほど青くはないですが、イザークは命をつないだので、ユリウスとアレクセイも命を繋いでいる証がちゃんと欲しいと願ってやみません。
ベルばら、オル窓は革命を描いてますが、今のシリア難民を見ていても感じますが、革命で幸せを手にする人はいるのでしょうか(いてもほんの一部でその幸せは砂上の楼閣のようなものの気もしますが)。
理代子先生の描く不条理の世界は、悲しいかな、なくならないのでしょうか。
ちょっと話がずれてしまいました、長々すみませんでした。
お久しぶりです。さいたま市での歴史漫画展に足を運べないファンの方たちに、たとえわずかでもどんな様子だったかお伝えしたくて記事を書いています。この原画展、さいたま市のみの開催ではもったいないです。関西はもちろん、全国巡回展をしてもいいと思います。素簿らしい芸術作品を見た想いがします。今年は「オル窓」連載開始40周年だったので、何らかのイベントがあるかなと期待していましたが、どうやらなさそうです。でしたら一層この企画展を、多くの地で開催してほしいと感じました。
あっこさまが薦めてくださったレオニードファンの方のブログを読みました。この方のレオニードへの深い愛を感じます。心の底から彼を愛していますね。
「オル窓」は、「あれはその後、どうなったんだろう?」と気になる部分が多いですよね。池田先生、いつか「オル窓 新作エピソード」を描いてくださるでしょうか?
>原画は拝見したことがありません。やはり違うのでしょうね。
原画の前に立ち「あぁ、このオスカルのブロンドの艶線の1本1本を、先生がお描きになったのだ。」と思ったり、いつも本で読んでいると、綴じ込み部分の絵がカーブしていてよく見えていないのですが、原画展ですときちんと平面で展示されるので「こういうふうに描かれていたのだなぁ。」と新たな気づきがあります。今回も出動前夜のオスカルのブラウスの襟をしっかり見てきました。(なんでそこ?)
>人生の不条理というのか、思いを残して皆亡くなっていくのが救いがなく受け止めきれませんでした
そうなんですよね。オスカルとアンドレは自分の信念を貫き、革命に身を投じ生き切った。オスカルはバスティーユが陥落するのを見届けて息絶える。2人にはあれ以外の人生の締めくくり方は考えられません。けれど「オル窓」は、そうではない。
昨年発売された「SPUR」で池田先生は、ご自身の歴史観が変わってきたことを仰っています。「ベルばら」を描いていたころは20代。理想社会の実現に命をかけるストーリーに、情熱を燃やしペンを走らせたと思います。「『ベルばら』連載当時は、戦争は止められると本気で思っていた。」と「SPUR」のインタビューで答えています。けれど年齢を重ねていくうち、歴史の不条理や人間の愚かさを感じるようになった。そんな想いを盛り込んだのが「オル窓」でしょうか?
>イザークは命をつないだので、ユリウスとアレクセイも命を繋いでいる証がちゃんと欲しいと願ってやみません。
イザークの子ユーベルは、あの物語の希望の光ですよね。ユーベルに明るい未来を託したいです。そしてアレクセイとユリウスの子は、どこでどうしているのか、これは永遠に「ファンの想像にお任せします。」になってしまうのでしょうか?
>革命で幸せを手にする人はいるのでしょうか
フランス革命だって、あれほど血を流しておきながらその後王政復古・ナポレオンの登場と、反動的になっていきます。オスカルはこんな時代を見なくてよかったとつくづく思います。人の心は移ろいやすいものですね。何が幸せかは、誰にもわかりません。