
今回の「エピソード7前編」には、パリやヴェルサイユ宮殿の有名な建物がいくつか描かれている。池田先生の描く絵と写真を見比べるのも楽しい。
池田先生は40数年前、劇画執筆にあたり、連載開始前も開始中も一度もフランスを訪れることなく、小学館(集英社でなく)の資料室に通い作品を描き上げた。今ならネットで簡単に欲しい画像を検索できるけれど、40年以上前は百科事典などの写真だけが頼り。現地を全然見学しないで、あれだけの作品を描いたのは、本当にスゴイと思う。原作を描き上げてから池田先生はフランスを訪れる。柱の太さに驚いたとか。以後先生は何度もヨーロッパを訪問。「ベルばら」執筆の頃よりも建物を、より細部まで丁寧に描きこんでいるように思う。
今回の「エピソード7 前編」を、建築物を楽しむ視点で読むと、なかなか面白い。冒頭、ジャルジェ邸の二階部分(一部)が描かれている。
これはパリにあるカルナバレ博物館をベースに、描いたものだろうか?カルナバレ博物館はパリの歴史、なかでもフランス革命展示がとても充実している。こちらがカルナバレ博物館外観。
18世紀のヴェルサイユ宮殿全景。歩き、馬車、あるいは馬に乗り、人々は宮殿に集まってくる。
当時の資料によると、こんな様子だった。
アントワネットが初めてヴェルサイユ宮殿で、人々の前に姿を現すシーン。場所は鏡の間だろうか。鏡とシャンデリアがとても豪華。
ここで日夜、華やかな舞踏会が繰り広げられ、オスカルとアンドレは警備についていた。そしてあの謎の女性もここに---。
オスカル・アントワネット・フェルゼンが運命の出会いをする、パリ・オペラ座の舞踏会。
オペラ座内の豪華なエントランス。着飾った貴族たちが行き交い、オペラ座は社交の場でもあった。オペラ鑑賞よりも知り合いと会ってお喋りしたり、貴賓席でこっそり逢引き(不倫もあったはず。)するのが主目的の人もいたはず。
ルイ15世逝去を知らせる、パリ・ノートルダムの鐘。
こちらがノートルダム寺院。
アントワネットとフェルゼンが秘かに会っていたヴェルサイユ宮殿内の愛の殿堂。このすぐ近くにプチ・トリアノンがある。
秘かに会うといっても、外壁や囲いがないので密会がバレバレ。それを承知でここで会っていたのかな?
『エピソード7 前編』には、こんな楽しみ方もあります。
読んでくださり、どうもありがとうございます。
まだ見たことのない風景を描いた池田先生が、40数年経って、実際に何度も目にして思いを深めた場面を焼き直す。 そんな作業だったのかもしれませんね。 「 なるほどU+203CU+FE0E 」 さすがりら様です。 そんな視点でご覧になれるなんて・・素晴らしいです。
長過ぎるコメントばかりでご迷惑おかけしています。 今回は短くしました! ^^;
マイエルリンク
もし池田先生が、「ベルばら」連載開始前にフランスを訪れていたら、どうなっていたでしょうね?現地の空気を肌で感じ、違った作品になっていたかもしれません。けれど現地を訪れたからといって、必ずしも良い作品が描けるというわけでもなく---。24歳の池田先生は「絶対に歴史漫画をヒットさせてみせる!」という強い意気込みを持って、実物を見たことのないハンディを、跳ね返していたのではと思います。
>長過ぎるコメントばかりでご迷惑おかけしています。 今回は短くしました! ^^;
お気になさらないでください。楽しく読ませていただいています。