Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

女らしさ

2015-10-11 21:50:47 | つぶやき

 10月5日~10月11日までの週めくりカレンダーは、アンドレがアランを殴る場面。「てめえらに オスカルの女らしさが わかってたまるか!!」

 原作を初めて読んだ10代の時から「オスカルの女らしさって、何だろう?」と、ずっと考えてきたけれど、今もよくわからない。でもアンドレは知っている。幼いころからずっとそばにいて、アンドレにしかわからないオスカルの女らしさがあるのだろう。

 ぷるんとしたくちびる、長い髪を掻き上げ、胸がちらっと見えるまたは胸の膨らみがそれとわかる服を着て、パンツよりもスカートを履く。靴はハイヒール。家事ができて、食事の席では食べ物を取り分けてあげたり、相手のグラスが空にならぬよう気をつけたり、たま~に泣いたり甘えたり-----そんなレベルの「女らしさ」をアンドレが言うはずないし、そんなことをオスカルに絶対に期待しないだろう。

 衛兵隊に異動してからのオスカルは、隊員たちの健康面や私生活にもとても気を配り、しきりに隊員に声がけしている。兵士らの顔色の悪さが気になり、全員に健康診断を受けさせたり、自分も彼らと同じメニューの食事をとろうとする。自分のことよりもまず相手を優先する。先を見た時、今何をすべきか考え行動する。感動的な愛の告白の直後、暗闇の中を馬車でロザリーの家まで行くところがまさにそれ。

 でも---まだピタッとこない。週めくりカレンダーの絵は明日入れ替え。「オスカルの女らしさ」については、引き続き考えていきたい。

 読んでくださり、ありがとうございます。



8 コメント

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オスカルの女らしさ (はなこ)
2015-10-12 17:48:45
りらさま、
はじめまして。ブログ、楽しく拝読させていただいてます。
さて、アンドレにしかわからないオスカルの女らしさは、作品中ふんだんに散りばめてあります。出生直後、父親に無理やり男性として育てられましたが、オスカルは先天的に女らしい女性です。男らしい振る舞いの殻に、本来の女らしさを隠しているのです。どんなに隠しても、いつも傍らで見ているアンドレには全てお見通し。
女らしいオスカルは恋愛するとメロメロになるタイプです。フェルゼンに実らぬ想いをよせていたころ、何かにつけてよく泣かされていましたね。なかなか帰還しないフェルゼンへの想いに耐えきれず、自棄酒をあおったオスカルは酒場で乱闘に巻き込まれますが、乱闘という男の行為に隠され圧縮された、オスカルの切ない女心を察しているアンドレは、「かわいそうに」と自らの恋心を募らせます。あまりにも女らしい彼女を横抱きにして、アンドレが口づけする場面は有名ですね。はじめてのキスのあと、オスカルは少女のように泣いてしまいます。
フェルゼンに振られて、屋敷へ泣いて帰ってきたオスカル。アンドレはなにかあったことを察して、気が気でありません。メソメソしているオスカルがあまりにも女らしく、儚く切なげで、強硬手段に出てしまいます。オスカルは、無抵抗で涙するだけ。その涙が、アンドレに理性を取り戻させました。強姦未遂直後にもかかわらず、オスカルは女らしくアンドレの目を気遣います。
ロザリーが嫁いだ夜、オスカルは「わたしひとりでは、なにもできない」ので、今まで通り甘やかして頼らせてね、とアンドレにお願いします。伏せ目勝ちに女らしく。
衛兵隊入隊後、オスカルは無理やり食堂へ連れて行かれ、危ない目にあいます。もちろん、アンドレが救出に来ますが、さぞ怖かったのでしょう。兵士たちの前では強がりますが、アンドレと二人きりになると、母を呼びながらポロポロ泣いてしまいます。アンドレはそっと彼女を背後で見守ります。震える細い肩を抱いてあげたいけれど、自分も怖いめにあわせたことがあるので、こぶしを握って立ちすくむしかありません。でも、オスカルは、アンドレが守ってくれていることを知っているので、あんなふうに女らしく泣けたのでしょうね。
告白後のオスカルは、それまで以上に、アンドレに甘えます。寂しがり屋で甘えん坊、わがままなお嬢様。優しくてかわいい女性です。子供のときから、ずっとそうだったのではないでしょうか。告白のときに「だれかにすがりたい、ささえられたいと、そんな心の甘えをいつも自分に許している」ことを我慢できなくなって白状するのですね。白状した後は隠す必要もなく、弱さを曝け出して、アンドレに存分に甘えます。それまでも十分甘えていましたが。アンドレは、いつも健気でかわいい女性のオスカルが男性として生きなければいけないことを「かわいそうに」と思っています。
例を挙げればきりがありません。アンドレはいつも、オスカルのよそでは見せない、女らしい表情やしぐさを見て日々を送っていたのだと思います。長々と失礼いたしました。
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はなこさま (りら)
2015-10-12 23:41:38
 初めまして。丁寧なコメントをありがとうございます。何度も読み返しました。
はなこさまがお書きになった場面の1つ1つを思い出しながら、「ああ、そうだった。いったい私、何を読んでいたんだろう。」と、自分の読みの浅さを痛感しました。オスカルが叶わぬ恋に涙する時、常に傍らにアンドレがいて、彼女の胸中をすべて感じ取っていた。

>強姦未遂直後にもかかわらず、オスカルは女らしくアンドレの目を気遣います。

 これって凄いなといつも思います。普通女性は、あんなことがあったあとで、自分に襲いかかろうとした男性のことを心配するでしょうか?自分のことで精いっぱいで、なかなかそこまで気が回らないと思うのです。

>兵士たちの前では強がりますが、アンドレと二人きりになると、母を呼びながらポロポロ泣いてしまいます。アンドレはそっと彼女を背後で見守ります。

 「ははうえ---」と言って泣く場面ですよね。アランたちの前では、怖さなど微塵も見せなかったけれど、アンドレと二人きりなら、彼の前なら素直に泣ける。(でも母親には、あのようなことがあったと絶対に言いませんよね。心配をかけたくないから。)そんなオスカルを、後ろでそっと見守るアンドレ。彼は男だから、オスカルの恐怖は共有できない。だから静かに見守るだけ。

>そんな心の甘えをいつも自分に許している」ことを我慢できなくなって白状するのですね。白状した後は隠す必要もなく、弱さを曝け出して、アンドレに存分に甘えます。

 ファンとしては、二人が相思相愛になってから、オスカルがうんとアンドレに甘える場面をもっともっと見たかったですね。恋人同士となり、(いい意味で)遠慮なく甘えられる関係になり、アンドレは一層オスカルを愛おしく思ったはず。

 はなこさまのおっしゃるように、原作にはオスカルの女らしさを感じられる場面が、随所に散りばめられていますね。オスカルは先天的に女らしい女性---本当にそのとおりです。見落としている点が、まだまだあります。

 はなこさま、大切なことを教えてくださり本当にありがとうございました。これからも、もっともっと丁寧に「ベルばら」を読んでいきたいと思います。新しい発見を教えてくださり、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
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オスカルの女らしさ (Ray♪)
2015-10-13 17:10:49
りら様

オスカルの女らしさ。細部は、はなこ様が素晴らしく描いてくださったので、割愛しますが、私も同意です。彼女は先天的に女性らしい繊細さややさしさを持っています。

私の考えはもう少しおおざっぱかもしれませんが、私は彼女が女性らしい感受性をもった人でなかったら、革命で市民側に味方することはなかったと思います。(あくまで、わたしの考えですが)
私も、初めて子供のころオスカルにのめりこんでしまったときは、強い凛々しい面だけにひかれて女性らしいなんて思いませんでした。でも、長い間にだんだんと思ったことは、彼女は貴族で、弱い者を守り戦おうととするノブリスオプリージュを体現しつづけた方でもありましたが、それ以上に、なによりもとても女性らしい人だったと思います。
たとえば、象徴的だなぁ、と思ったのが、ロザリーに助けられて貧しい食事を出されたとき、「同じ人間がこのような食事で生きているとは考えることもなく・・・」といった台詞とともに、彼女は涙を流します。
りら様があげていらっしゃる衛兵隊でフランソワの体調を気遣ったり、というのは、隊長というよりも、彼女の女性としての感受性を何て豊かに持ったひとなりだろう、と・・感じます。
尽きることのない他者への繊細な感受性、思いやり、愛情深さや配慮は、役割と重責を背負って生きるがゆえの凛々しい表面の間に、都度都度顔を見せていたに違いなく、それは間違いなく女性ならではのものと私には思えます。
ででもだからこそ、二つの間で、
彼女は女性として震えるように孤独でもあったでしょう。その孤独も含めて見つめていたのがアンドレで、唯一そこに手を差し伸べて抱きしめてくれる相手であったのだと思います。
そして、二人で素になったときには見せる、
まっすぐで、健気で、わがままで可愛らしい彼女を、やっぱりアンドレは知り尽していて、ひとときも目を離すことはできなかったのだと思います。

凛々しくいられたのも、安心して弱さをさらすこともできたのも、それもこれも、アンドレという唯一無二の大きな安心な存在あってこそ。

ああ、二人のことを考えはじめると止まりません。全部をうまくとても表現できませんが。 

追伸:いつもいつも幸せなSSをありがとうございます。毎日楽しみにしています♪
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Ray♪さま (りら)
2015-10-13 22:22:49
 コメントをありがとうございます。
 Ray♪さまのコメントを、何度も読み返させていただきました。いろんな方の意見を伺える--とてもありがたくて貴重です。自分が見落としていた点に気づかせていただけます。自分とは違った観点を知ることができ、ハッとすることもしばしば。ブログをやって良かったなと思います。

>強い凛々しい面だけにひかれて女性らしいなんて思いませんでした。

 私もそうでした。最初は彼女の男装の麗人としての颯爽とした身のこなし、立ち振る舞いに惹かれ、細やかな感性までは見ていませんでした。

>、「同じ人間がこのような食事で生きているとは考えることもなく・・・」といった台詞とともに、彼女は涙を流します。

 こういう感性があるとないとでは、その後の彼女の生き方が全く違うものになりますよね。粗末な食事を感謝して頂く。あの場面はとても深いと思います。ある意味、その後の彼女の生き方を決定づけたと言っても過言ではないくらいです。

>尽きることのない他者への繊細な感受性、思いやり、愛情深さや配慮は、役割と重責を背負って生きるがゆえの凛々しい表面の間に、都度都度顔を見せていたに違いなく、それは間違いなく女性ならではのもの

 だからこそ衛兵隊のメンバーは彼女が直接命令を下し、指揮を執らないと動かないほど、オスカルに心酔していったのでしょう。自分は貴族、相手は平民という意識はなく、同じ人間として誰にも分け隔てなく接していた。むしろ自分が貴族であることが、重荷に感じられることもあったのでは?とさえ思います。

>凛々しくいられたのも、安心して弱さをさらすこともできたのも、それもこれも、アンドレという唯一無二の大きな安心な存在あってこそ

 そうなんです!フェルゼンへの叶わぬ想いに苦しむ姿も、アンドレの前で素直にさらす。それゆえアンドレもまた苦しむことになるのですが。アンドレがいなかったら、オスカルは精神的に追い込まれてつぶれてしまったかもしれません。オスカルのわがままも、よく見てみると自己中心的なものでなく、動乱の時代の中で、自分がどう進むべきか考え抜いたうえでの決断に感じられます。

>ああ、二人のことを考えはじめると止まりません。全部をうまくとても表現できませんが。

 私もです。それだけ奥が深い作品ということですよね。オスカルとアンドレを「恋人同士」と捉えるのはもちろんですが、男女の枠を超えた「同志」「コンビ」と見ることもできます。ぜひまたRay♪さまのご意見を伺いたいです。どうかいつでも語ってください。

 SSは、原作を捻じ曲げているようで、後ろめたい気持ちもありますが、原作と原作者さまへのリスペクトを絶対に忘れないことを心掛けて、書かせていただこうと思っています。とても拙い文章で恥ずかしいのですが、読んでいただけるのは本当にありがたいです。これから寒い季節に向かっていきますので、せめてお話は、明るくハッピーなものにしたいです。途切れ途切れに続けていきますが、どうかよろしくお願いいたします。本当にありがとうございます。
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こんばんは! (みぃ)
2015-10-13 23:55:32
りらさま はなこさま Ray♪さま ありがとうございます。ここ数年の疑問が解消しました。

子どもの時の熱狂はいつの間にか↓…で、40周年展をきっかけに何十年ぶりに読み返した時、「やはり、オスカルさまは女性なんだ!」と、強く感じました。どこが、何故女性らしさを感じたのかずっとわからなかったけど、皆さまの書き込みは、うなずける事ばかりでした。
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みぃさま (りら)
2015-10-14 01:21:09
 コメントをありがとうございます。
 まだまだ十分にオスカルの「女らしさ」を捉えていませんが、はなこさま、Ray♪さまのご意見を伺い、私も疑問が少しずつ解消していきました。

 40年の時を経て、自分自身もいろんな経験をしてきたので、10代の頃とは違った目線で「ベルばら」を読むことができます。それもまた楽しいです。これからも新しい発見があると思います。皆さまと楽しんでいけたら嬉しいです。
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ファザコン? (mugi)
2015-10-14 21:31:22
 はなこ様やRay様の見事な指摘の後の駄文で恐縮ですが、オスカルって結構ファザコンと私は思っています。ベルナールをマザコンとからかったオスカルですが、「そんなあなた自身、ファザコンでしょ?」と言いたくなります。ワンマン親父に時に反発を覚えても、子供時代から認められたいと必死に頑張る……そんな人生を歩んできたはず。父親をとても尊敬していたのは確かでしょう。
 フェルゼンのためにドレスを着た時も、「父上には内緒だぞ」と言っていたし、成人後も父親の目を恐れる娘心に、「女らしさ」を感じました。「男にとって母は永遠の女性」と言った人がいますが、女性にとっても父は永遠の男性です。

 衛兵隊員により拉致拘束された際の台詞は、「年下の男なんぞ私の趣味ではない」でした。これは強がりばかりではなく、正直な気持ちも入っていたのかもしれません。年下男では甘えさせてくれるのは難しいし、甘えん坊で寂しがり屋のお嬢様は、やはりアンドレのような年上で大人の男が相応しい。その点、フェルゼンはオスカルに甘える一方でした。

 アニメ版オスカルは無口で無表情、あまり可愛くありません。常に自分の気持ちを抑えてしまう優等生タイプでしたが、私は喜怒哀楽の激しい原作オスカルの方が好きです。
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mugiさま (りら)
2015-10-15 00:38:03
 コメントをありがとうございます。
オスカルはファザコン---すごい!こんなふうに考えてみたことはありませんでした。なるほど、確かにそうですね。幼いころは、父に認められたくて必死で努力します。(「二個小隊をいただきます。」と言い張るあたり、可愛いですよね。)

>父親をとても尊敬していたのは確かでしょう。
 
 最終的に父親とは、袂を分かつ形になりましたが、「父上は私をひきょう者にお育てにならなかった」と言い切っていますので、最後まで尊敬していたと私も思います。そして両親は、オスカルにとって理想的な夫婦に映っていたのではないでしょうか?あの時代の貴族はほとんど政略結婚でしたが、ジャルジェ将軍は数少ない貴重な恋愛結婚をされています。

>年下男では甘えさせてくれるのは難しいし、甘えん坊で寂しがり屋のお嬢様は、やはりアンドレのような年上で大人の男が相応しい。
 
 まさにそうですね。アンドレも最初から包容力があったわけではありませんが、オスカルがジェローデルとの縁談を断ってから、ぐんぐんと器が大きくなり、オスカルをしっかりと受け止められる男性になっていった気がします。

 アニメは、制作スタッフの多くが男性だったためか、とても男性目線で作られているなと感じます。原作では将軍の成敗のあと、ようやくオスカルが愛を告白する感動的な場面があるのに、アニメにはそれがない。ああ、男性の感性ってこうなんだなと思いました。(それは宝塚の脚本でも感じました。)しかし「ベルばら」の愛し方は人それぞれ。原作もアニメも宝塚も大好きな人、アニメと原作が好きな人、原作が一番好きな人など、いろいろな愛し方があっていいと思います。
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