Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

1789~バスティーユの恋人たち~

2016-05-01 22:30:53 | つぶやき

 現在、帝国劇場で上演中のフレンチ・ロックミュージカル「1789~バスティーユの恋人たち~」を観劇。

 休日の劇場前には「満員御礼」の札が置かれ、S席とA席の間には補助席が並べられている。劇場前にはメインキャストたちの、特大のパネル写真がずらりと並び、記念撮影スポットになっている。主な役はWキャストが組まれており、演じる人によって役へのアプローチが違っていて面白い。

 ロビーの天井にも、出演者たちの写真が印刷されたのぼり旗?が吊り下げられている。

 フランス人が制作したこの作品。主人公は田舎の農民ロナン。彼は父親をペイロール伯爵に殺される。パリに出たロナンは偶然ロベス・ピエールやカミーユ・デムーランと出会って「俺たちは革命が生んだ兄弟」と高らかに歌い、革命に身を投じる決意をする。ある夜、ふとしたことから王太子の教育係を務める娘オランプと出会い、恋に落ちる。オランプの父親はバスティーユ監獄で爆薬を管理する仕事に就いている。運命の1789年7月14日、バスティーユ牢獄を攻撃することになったロナンたち。彼はオランプに「まず自分が牢獄内に入り、父親を安全な場所に連れ出したのち、攻撃を開始する。」と約束し、実行に移すが…

 この公演には「アナと雪の女王」で見事な歌唱力を披露した神田沙也加さんや、俳優の小池徹平さんなど有名な方が出演されている。けれどそれよりも民衆役を演じている(無名の)若い俳優さんたちのパワーに圧倒された。男性はアクロバティックなダンス、女性も男性に劣らず力強く歌い踊る。ロナンの妹ソレーヌを演じたソニンさんは小柄ながらも、その魂のこもった歌唱力に唸らされる。特に第2部、女性たちを率いてパン屋を襲撃する場面が圧巻。「女たちが歴史を変える」と歌っていたように記憶しているが(違っていたらすみません)、当時飢えた女性たちの怒りが頂点に達し、パン屋などの食料品店を襲った時は、こんな感じだったかもと思わせた。

 オランプ役は神田沙也加さんと夢咲ねねさんが演じる。神田さんは「親の七光り」ではない、彼女自身の実力でこの役を掴んだであろうことがわかった。おそらくいろんなところから仕事のオファーがあるだろうが、活動のメインを舞台にしているのだろうか?声の通りはいいし、容姿もきれいなので、今後もいろんなミュージカルで活躍するだろう。夢咲さんは元宝塚歌劇団の娘役トップスターで、約1年前に退団。在団中は、少々若作りのぶりっ子ぽい演技があまり好きでなかったけれど、こうして本物の男性と共にステージに上がると、必要以上に作り込まなくていいので、彼女本来の自然な演技を見ることができて良かった。

 アントワネット役は花總まりさんと凰稀かなめさんが演じる。お二人とも宝塚OG。花總さんは10年以上トップ娘役を務め、在団中に「ベルばら」でアントワネットを演じている。昨年は「エリザベート」のタイトルロールを見事にやり遂げただけあって、王妃役は彼女のためにあるような役。ファンの期待を裏切らない見事なアントワネットだった。そろそろ花總さんの姫役以外の演技も見たいなという気がしなくもない。かなめさんは宝塚を退団して、この作品が本格的なミュージカルデビューへの第一歩となったわけだけれど、アントワネット役がごく自然に馴染んでいてびっくり!背丈があるのでドレスは着映えするし、発声も自然で違和感ない。この役が決まってから、歌のレッスンをしたのだろう、ちゃんと王妃の心が伝わる歌唱だった。リュシル役の則松亜海さんも宝塚OG。とても生き生きと歌い踊る姿が印象的。舞台装置を担当した松井るみさんは、遠近法を用いて奥行きのある美しい大道具を作成。

 クライマックス、ロナンが狙撃されて亡くなる場面。私の隣の方は、涙ぐんでいた。いつの時代も、多くの人々が血を流し時代は変わってきた。人権宣言の重要な条項を読み上げ、舞台は幕となる。

 チケットはほぼ完売。おそらく近い将来、再演される気がする。そうしたらまたぜひ見たい。 

 読んでくださり、どうもありがとうございます。



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