Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

ガーターベルトに愛をこめて

2016-04-30 15:55:06 | つぶやき

 18世紀の貴婦人たちが、 ゴージャスなドレスの下に着けていたガーターベルト。たかがベルト、されどベルト。このベルトに直接触れることができる恋人だけに伝える秘かなメッセージがあった。

 ニーハイよりもやや丈の長いハイソックス?もしくは片足ストッキングを履き、落ちてこないようにふくらはぎの上から押さえるガーターベルト。ガーターベルトは本来、人には見せぬもの。しかし…恋人だけは例外。ベルトに触れ、そこに書かれた秘かな愛のメッセージを読んで、二人は楽しんでいたかもしれない。

 これはボストン博物館所有。18世紀フランスのガーターベルト。寸法は幅4.3cm、長さ83.5cm。書かれている文字が判読できない。まあこういうところに書く言葉だから、お堅い内容ではないはず。

 こちらはニューヨークのメトロポリタン美術館所有。1790年、フランスのもの。左右で1つのメッセージが完成するようにできているらしい。試しに自動翻訳してみたが、ピタッと来る訳ではなかった。「より誠実な、私は彼…」ダメだ、こりゃ。でもこれを読んだ男性は、嬉しかったろうなあ。

 こちらもボストン博物館所有。18世紀のフランスのもので、素材はシルク。メッセージ付き。リボン部分はアイロンで、皺を伸ばしたのだろうか?

 次もボストン博物館所有。18世紀フランス製。素材はサテンシルク。

 同じくボストン博物館所有。18世紀フランスのもの。寸法は幅6.2cm、長さ37.1cm。ガラスビーズで飾られているのがポイント。素材はシルク。

 ガーターベルトという小道具を、女性たちは恋愛にどう利用していたのだろう?

 次の絵を見た時、皆さんはどんな場面を想像しますか?男性からの強引な愛の告白を拒めず、言われるがままになる女性?それとも女性が男性を誘惑している?

 絵の解説によると、「読書をやめ、本を閉じた女性は、振り返って誘うように相手の目を見つめる。既にドレスは緩められている。男性はたまらなくなり、自ら女性のドレスをさらに緩めようと手を伸ばすが、女性にそれを制される。」とある。女から仕掛ける恋。女性はドレスの裾をたくしあげ、その美しい脚そしてガーターべルトを見せ更に男性を煽る。男性のパッションをどんどん高めていき、二人で官能の世界へともくろんでいるのか、それとも男性をからかっているのか?これ見よがしにさんざんセクシーな姿をちらつかせ,相手を焦らしながら、実は何もさせないとか。これは女が確信犯。

  次の絵はどうだろう?これから会う恋人のために、せっせと身繕いする女性。「今夜の彼には、このガーターベルト。」相手によってベルトのデザインやメッセージを変えていたかもしれない。または男性からベルトをプレゼントされていた可能性もある。「さあ、今夜はどうやってあの方を…」と虎視眈々作戦を練りながら、ベルトの紐を結んでいる。ロココの女性、なかなか強い。

 この方もベルトのひもをしっかりと結び、気合いを入れている。高貴な方たちでも、ガーターベルトは自分で結んでいたらしい。(侍女に結ばせていると思っていた。)

  恋人が部屋のドアを開けたのに気づかず、ドレスの裾をたくし上げ、ストッキングを引き上げる女性。いいものを見てしまった恋人は、このあと…。

 ガーターベルトは、男と女の秘かな、そしてちょっとエロティックな小道具。男性たちは気の利いた会話をしながら、きついコルセットや、ガーターベルトをはずすたび、少しずつ見えてくる女性の白いやわ肌にドキドキしただろう。女性たちもそのあたりは心得ていて、恋人との時間を楽しむ時は、あらかじめう~んと武装してから臨んだりして。18世紀フランスの、(貴族の)男と女…どちらも恋愛の駆け引きに長けていて、それを楽しめない人は小馬鹿にされていただろう。

 オスカルとアンドレが恋人として過ごした時間は短かったけれど、もし二人にもっと多くの時間が与えられていたら、こうした恋愛遊戯を楽しむことも、たまにはあったりして。でもオスカルはこういうのは好まないかもしれないなぁ。しかしオスカルのような女性が、ひとたびフィジカルな恋愛に目覚めると、ばらが一気に開花するように、ものすごい官能を発揮するような気もする。そんなオスカルも魅力的だし、軍人として凛としている姿ももちろん素敵。オスカルだったら、ガーターベルトにどんなメッセージを書くだろう?

 読んでくださり、どうもありがとうございます。



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