
懐かしい少女漫画雑誌の数々。久しく見るものもあり、あの時代、こんなにもたくさん雑誌が発行されていたことに驚く。
「週刊マーガレット」は一番読んでいたかもしれない。王冠マークは今も変わらず。この表紙に100円とある。子どものお小遣いでは、お手頃価格だった。本村三四子、西谷祥子、中森清子、土田よしこ(敬称略)---久しく忘却の彼方にあった先生方のお名前が一気によみがえる。
「月刊マーガレット」は立ち読みで済ませた。「週刊マーガレット」よりも大人っぽく、ややマニアックな作品が多かったような---。
「月刊mimi(ミミ)」あったあった、これ。高校生向きだったかな?「週マ」よりもファッションや芸能関連のグラビアページが多く、mimiを読む時は、ちょっと大人になった気分だった。mimiでは大和先生の「あさきゆめみし」が連載された。
毎月の付録が楽しみだった「りぼん」。かわいくて乙女チックな作品を描く先生(陸奥A子、太刀掛秀子、大矢ちき、田渕由美子)と、しゃれた大人のドラマを描く先生(一条ゆかり、山岸涼子)がいて、どちらも好きだった。
月刊「りぼん」より、ややこぢんまりとしたサイズで、作品をじっくりまとめて掲載していたのが「りぼんデラックス」。読んだぁという実感があった。
次回も引き続き、少女漫画雑誌を紹介させていただきます。
読んでくださり、ありがとうございます。
背の高いアレクセイは、小さな娘にあわせ、小さく屈みこみ「いってらっしゃい!」
それは、ロシアでいつもミーナがかけてくれた言葉、今日は、反対です。
「行ってきます。今日はお父さんがお留守番ね。」
「そうだね。」
そう言いながら、ミーナの頭を優しくなでます。綺麗にカールしたブロンドの長い髪、すーと先まで滑らせて、最後にくるくるッと指に巻き付ける。アレクセイの癖です。
ミーナも、お父さんにそうしてもらうのが大好きでした。
そんな、父娘の様子をユリウスは嬉しそうに見つめています。
出発15分前に、バタバタとダーヴィトが走って到着。
ギリギリ、セーフ!なんとか、スイス行き列車に乗り込みました。
アレクセイは小さな声でつぶやきます。
「ダーヴィト、おまえも、早起きが苦手なんだな~。」
あと約1週間で「わたしのマーガレット展」が大阪で開幕します。鈴蘭の精さま、美しい「オル窓」のイラストを存分に御堪能ください。
「ミーナ、危ないから、早く席に着こうね。」
おじさんの案内してくれたのは、特等席でした。
「おじさん、こんなにきれいな列車、初めて。」
ロシアからドイツへ向かう時乗った列車、小さくて、カタカタよく揺れて、席もなくて、何日も床に座って、やっとドイツに着いたのでした。
毎日のように変わっていく生活、ミーナは時々、これでいいのかな?と、不安になります。
列車の中は暖かで、マフラーとコートを脱ぎます。ダーヴィトおじさんは、
「オッ、可愛い服だね!」
「あっ、これ、女学校の制服よ。
お母さんが、レースのつけ襟と一番上のボタンの所にクリーム色のリボンをつけてくれたの。
余所行きの服に見えて良かった。
私ね、綺麗なお出かけのドレス持ってないから。」
「ミーナのお母さんは偉いね。色々、工夫しているんだ。」
「そうよ。可愛い、つけ襟も沢山作ってくれているの。 お母さんの着ているブラウスもお父さんのお古よ。」
ダーヴィトは昨夜、アパートを訪れた時の何とも言えない温かい香り…それは、こういう事なんだなぁ、そう、思いました。
「おじさん、りんご食べましょ。
お母さんが列車で食べてねって。」
バスケット籠の中から、巾着袋を出し、ダーヴィトに渡します。
ダーヴィトは袋の中から、花柄の容器を取りだします。その上にメモが置いてありました。
″ダーヴィト、今日一日、ミーナをよろしく、
お願いします。
楽しい旅に、なりますように。 ユリウス″
ダーヴィトは思いました。
『ユリウス、この数週間で君は、立派な母親になれたんだね。』
そして、アーレンスマイヤ家の果樹園で取り立ての、うさぎの形に切った可愛いりんごを、
愛しい姪と共に味わいました。
時間も7時を過ぎていたので、ゆったりと、観覧できました。
見たのは、池田先生の作品のみ、閉店間際だったので…。
やはり、ベルばらは特別に素晴らしいと、思いました。マーガレット連載で最終話を迎えたことは、大きな意味があったと、思いました。
オル窓も誌上を変えず、マーガレットで最終話を迎えることが出来れば、もっと、少女漫画的なエンディングだったのかな?
りら様の特別な日、7月14日の、前後はお話をお休みしようと、ずっと思っていました。
なんか、だらだらと、長いお話になってしまい、感想をいただくのも、申し訳なくて、今年中には、必ず完結します。来週ぐらいから、又、続きを書かせて頂きます。お付き合い下さい。
PS、オル窓40周年記念ハンカチ、買いました。 ユリウス、かなり、可愛いです。
そして---「わたしのマーガレット展」初日に行かれたのですね!大阪は会期が短いので、行けるときに行っておいたほうがいいですよ。もう一度、行きたくなりませんか?「オル窓」からは美しいジャンピング・キスの絵が出展されていて、惚れ惚れしますよね。カラーイラストも美しく「オル窓」単独の原画展を、開いていただきたいと切に願っています。少女マンガのヒロインが、殺人を犯す---「マーガレット」に描くには、限界があったでしょうか?
>りら様の特別な日、7月14日の、前後はお話をお休みしようと、ずっと思っていました。
鈴蘭の精さま、お気遣いは不要です。むしろこちらのほうが「お便りが来ないけれど、どうしちゃったんだろう?」と心配になりました。どうかこれまでどおり(今年いっぱいに終わらせるなどと仰らず)御自身の納得のいく作品をお書きください。全然迷惑ではありませんので。来年にまたがってもいいじゃありませんか?そのほうが楽しみが続くので、私は嬉しいですよ。
>PS、オル窓40周年記念ハンカチ、買いました。 ユリウス、かなり、可愛いです。
わあ、買いましたか?結構大きいですよね?だから見栄えがします。さてどうやって飾りますか?
外では、風がゴウ、ゴウと、台風来るのでしょうか?
=お話しの続き=
ミーナはリンゴを食べ終わると、
「おじさん、手洗って、口ゆすいでくるね。」と、洗面室へ向かいます。
リンゴを食べる時も、膝にハンカチをしき、行儀も良く、少女らしいしぐさ、アレクセイは娘を愛情一杯に大切に躾てきたんだなぁと、ダーヴィトは思うのでした。
帰ってきたミーナからは、いい香りが…。
「ミーナ、何か、つけてきた?」
「えっ? あっ! お母さんの匂いのクリーム、沢山塗ってきたの。ほら!つるつる。」
思いっきり、指をパアーに広げ、ダーヴィトの鼻先へ。
「ラベンダーの香りだね。」
「いつもはね、寝る前と、朝出掛ける前に塗ってくれるんだけれども…今日はとっても疲れてたみたいで、忘れていたみたい。だから、列車の中でつけようと、思って・・・。
この、匂いの中にいると、お母さんがずっと、そばにいてくれているみたいで、寂しくないの。」
「そうかい。ミーナはユリウスが大好きだからね。」
「はい。お父さんも好き。それからね、リュドミールも!」
「リュドミール?」
「スイスのジュネーブにいるのよ。だから、″お家はスイスに決まったよ。″って、おじさんに聞いた時、嬉しくって、絶対、住みたいって、思った。」
「へぇ~、リュドミールか・・・」
「そう。リュドミールはね、わたしの命の恩人! 私ね、ロシアで誘拐されかけたの。リュドミールが助けてくれなかったら、殺されていた。」
「えっ!」 ダーヴィトは驚きます。
「その時の事、聞いてくれる?」
「いいのかい?」
「はい。」
ラヴェンダーの香りで心が癒やされるミーナ。ふと思春期の頃読んだ、筒井康隆原作「時をかける少女」を思い出しました。あの作品も、主人公が放課後、理科室を掃除中ラヴァンダーの香りを嗅いだ時から、別世界が広がっていき---。大好きな小説でした。すみません、話題が逸れてしまいました。
リュドミールとダーヴィトの間には、どんな関係があるのでしょう?
=お話しの続き=
実は、ミーナには、秘密がありました。
それを知っているのは、アレクセイとリュドミールだけです。 ミーナもその事を誰にも話した事がありません。 もちろん、お母さんのユリウスにも話していません。 でも、お母さんは何となく気がついている、そんな感じがしていました。
ダーヴィトおじさんには、話してみよう、ううん、聞いてほしい! そう、思ったのは、おじさんならきっと、悲しまずにしっかり、受け止めて聞いてくれそうだから・・・。
そして、この事を話すのは、きっと、今日が最初で最後だろうな…。と、思いました。
「おじさん・・・。あのね・・・。 私の瞳からは、涙が出てこないの。悲しくても、嬉しくても、泣くことが出来ない。 小さい時から、涙を流した記憶がない。みんな、私の事 ″強い子ミーナ ″って、いうけれど、そんなことない、胸も痛くなるし、苦しくもなるのよ。でも、そんなの、人には、見えないでしょ。怖い時は、心臓がドキドキ、体がガタガタ震える。」
ダーヴィトは、衝撃のあまり、声をかける事ができずにいました。そして、今は、しっかりと、最後まで聞いてやろう、そう思いました。
「ペテルスブルクのアパートで、私、いつもひとりぼっちでお留守番、お父さんはモスクワの音楽学校に行っていたから…。 でも、夕方にリュドミールがご飯食べに来てくれて、お泊まりしてくれる。そんな、毎日よ。
お外に出る時は、必ず、鍵をかけるようにって、約束もしていた。
でも、あの日はね…、三日後にお父さん帰って来るから、ウォッカ買いに行こうと思って、もう、夕方だから、リュドミールも来るしいいかナって、鍵掛けずにお買い物に行ってしまった!
帰って来たら、なんか、お台所に誰かいるみたいな、気がしてね、
″リュドミール なの? ″って、聞きながら覗いて見たら、あの人がいたの!
怖い、怖い、お顔をした、シューラって、女の人が・・・!」