海と空

天は高く、海は深し

語形変化(1) 名詞 頻度の少ない変化・不規則変化

2010年09月03日 | ギリシャ語

頻度の少ない変化・不規則変化

12. 女性名詞
 
Μέλπω Αργώ
メルポ アルゴー船
単数
主格 Μέλπω Αργώ
属格 Μέλπως Αργούς/Αργώς
対格 Μέλπω Αργώ
複数
主格 なし なし
属格 なし なし
対格 なし なし
 
a. この分類に属する名詞はほとんどが固有名詞で、女性・女神・船などの名前である: Βασίλω, Δέσπω, Χρύσω, Αργυρώ, Βαγγελιώ, Καλυψώ, …. 普通名詞としては、ηχώ (こだま), βάβω (μπάμπω) (おばあちゃん) など。
 
b. ηχώ の単数属格形 ηχούς は古形だが、こちらの方がむしろ普通。文語体では、Ερατώς なども Ερατούς と表記される。
 
 
13. 男性名詞 -ους
 
νους περίπλους
精神 周航
単数
主格 νους περίπλους
属格 νου περίπλου
対格 νου περίπλου
複数
主格 νόες / (νοι) (περίπλοι)
属格 νόων / (νων) (περίπλων)
対格 νόες / (νους) (περίπλους)
 
a. 括弧の中に示した形は文語形で,現在では通常使われるない。
 
b. νους 精神 は,νόος が縮約したもので,本来の語尾変化は -ος で終わる男性名詞と同じである。すなわち,単数属格 νου は νόου が,単数対格 νόο が縮約した結果である。同様に,複数形は νόοι, νόων, νόους から νοι, νων, νους となるはずであるが,現在では νόες, νόων, νόες という形が使われる。
 
c. -ους: πλους 航海, έκπλους 出港, απόπλους 出港, είσπλους 入港.
 
 
14. 中性名詞
 
δίχτυ δάκρυ βράδυ
単数
主格 δίχτυ δάκρυ βράδυ
属格 διχτυού δακρύου βραδιού
対格 δίχτυ δάκρυ βράδυ
複数
主格 δίχτυα δάκρυα βράδια
属格 διχτυών δακρύων βραδιών
対格 δίχτυα δάκρυα βράδια
 
a. で終わる中性名詞の変化は、 で終わる中性名詞と同様に変化するが、その数は非常に少ない。例: στάχυ (麦などの)穂
 
b. δάκρυ は、属格形でアクセントが語末第二音節に落ちる。本来の形は δάκρυο で、-ο で終わる中性名詞としては規則的な変化をしていたのが、語末の ο が脱落して不規則変化となったものである。δάκρυο の形は現在でも使われる。
 
c. βράδυ は、属格形で υ が ι に置き換わる。なお、形が近似し意味もほとんど同じの βραδιά という女性名詞が存在するので注意すること。
 
 
15. 中性名詞 -ας, -ώς, -ός
 
κρέας φως καθστώς γεγονός
体制 事実
単数
主格 κρέας φως καθεστώς γεγονός
属格 κρέατος φωτός καθεστώτος γεγονότος
対格 κρέας φως καθεστώς γεγονός
複数
主格 κρέατα φώτα καθεστώτα γεγονότα
属格 κρεάτων φώτων καθεστώτων γεγονότων
対格 κρέατα φώτα καθεστώτα γεγονότα
 
a. 単数属格形、複数主格形、複数対格形では語末第三音節にアクセントが置かれ、複数属格形では語末第二音節にアクセントが置かれる。この形の語は極めて少ない: πέρας 終末, τέρας 怪物, κέρας 角笛.
 
b. 単数属格形、複数形では語末第二音節にアクセントが置かれる。ただし、φως の単数属格形は φωτός のごとく、例外的に語末第一音節にアクセントを持つ。この分類に属する語は他には存在しない。
 
 
 
 
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