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遠い家への道のり (Reprise)

Bruce Springsteen & I

The Beach Boys "Isn't It Time"

2013-07-02 03:34:27 | Live in Concert
言うべき言葉が尽きた後
頭のなかを巡り続ける音楽がある
忘れようがない
夏の恋の魔法

君にも味わわせてあげたいんだよ
ちょっとページを戻ってみないかい
思い出や写真を振り返ったりして
世界は変わってしまったけれど
ゲームは今もそのままだから大丈夫

また僕らで一晩中踊り明かしたっていい頃合いじゃないかな
昨日のことのようにもう一度やろうよ
君のことや
かつて一緒にしたいろんなことを思い出すたびに
2人きりで過ごした夜を思わずにはいられないんだ
時がどんなに早く過ぎ去るものか
僕らはまるで知らなかった
きっといい時期だよ
今がいい頃合い

素敵な時間がずっと続けばいいのさ
そんな時をもう1度起こす時だよ
大いに楽しむんだ
楽しい時は過去だけにあるものじゃないんだから

また一晩中踊り明かしたっていい頃合いじゃないかな
昨日のことのようにもう一度やろうよ
君のことや
かつて一緒にしたいろんなことを思い出すたびに
2人きりで過ごした夜を思わずにはいられないんだ
時がどんなに早く過ぎ去るものか
僕らはまるで知らなかった
きっといい時期だよ
今がいい頃合い

日が落ちる頃
僕らは互いの温かさと
共に分かち合ってきた楽しい時間に乾杯をする

そろそろ準備をして進む頃じゃないかな
また2人で一緒に過ごす時だと思わない?

また一晩中踊り明かしたっていい頃合いじゃないかな
昨日のことのようにもう一度やろうよ
君のことや
かつて一緒にしたいろんなことを思い出すたびに
2人きりで過ごした夜を思わずにはいられないんだ
時がどんなに早く過ぎ去るものか
僕らはまるで知らなかった
きっといい時期だよ
今がいい頃合い

ENGLISH


7月になって、だんだんと夏の匂いがするようになってくると、またビーチ・ボーイズの季節がやって来たな…と思う。ありきたりかもしれないけれど、それでも夏が来るたびにいつだってビーチ・ボーイズが聴けるというのは幸せなものです(実際には真冬にアイスを食べたっていいように、もちろん真冬にビーチ・ボーイズを聴いたって構わないし、聴くのだけれどやっぱり夏が来たときに聴くのはまた特別なのです)。そして、今年はいつにも増してそう感じるのは、昨年の夏の思い出があるからです。

昨夏(2012年8月)、ビーチ・ボーイズは日本でコンサートをしていて、私はそれを千葉マリンスタジアムに観に行きました。そんな話を今頃するのか、という気がしなくもないけれど、これは本当に素敵なコンサートで、それも不思議なことに時が経つほどにその素敵さ、素晴らしさが、実際にそうであった以上ではないかというくらいにぐんぐん膨らんでいき、今ではどこからどこまでが本当かよく分からないけれど、でもとにかく最高に楽しかったという半分夢のような記憶になってしまった。

気の良いリンゴが、ビーチ・ボーイズはどちらかというと私に聴かされた、という程度だったのに高いチケットを買って付き合ってくれたので、2人で千葉マリンスタジアムへの遠い道のりを電車に揺られながら過ごす。そして、スタジアムの傍で、なにか晩ごはんを食べたのだけれど、今になるとそれはメキシカンだったような気もするし、ハンバーガーだったような気もするけれど、それは"Fun, Fun, Fun"の歌詞のせい(「彼女はバーガースタンドを走り抜けていくところ」)かもしれないし、でも、とにかく何やらアメリカンな雰囲気だったことだけは覚えています。まるで、"I Get Around""Surfin' U.S.A."しか知らなかった小学生の頃に、この2曲にも感じていたようなアメリカの、おおらかで豪快で解放的なイメージを思い起こさせるようなお店。ビーチ・ボーイズを観に行くのだから、それは1960年代以降のいつの時代のことでもいいような気がするけれど、ダイナーのテレビでは流行りのミュージックビデオを流していて、リンゴが黒髪の女の子が洗車をしているビデオを指して、「あれがカーリー・レイ・ジェプセンだよ。"Call Me Maybe"っていう曲、知ってる?」と言ったおかげで、この日のことは永遠に、否応なく2012年的な記憶として残ることになりました。

初めて訪れたマリン・スタジアムは、オープンエアーのスタジアムで、それがたまらなく魅力的でした。ヨーロッパでのブルース・スプリングスティーンのコンサートは野外で行なわれる、ということを以前からよく聞いていて、それがどんなに素敵なものであるかということも繰り返し耳にしていたからかもしれない。でも、前座のアメリカが終わって、席に座っていると8月の暑い空気でさえもだんだんとひんやりとしてきて、空も次第に暗くなり、やがて星まで見えるようになってくる。ステージの周りやスタジアムの眩しい光の当たるところだけが特別な魔法のような空間のように感じられてくる。今になると、周りではホットドッグやポップコーンの匂いがしていたり、ソーダの泡の音まで雑踏の中から聞こえていたような気がするけれど、自分が食べたり飲んだりした訳でもないし、映画館じゃないのだから、これはきっと思い込みなんだろうと思う。でもそんなようなお祭りのようなとても幸せな、そしてロマンティックな雰囲気がそこにはあったのです。私はコンサートに行くのはひとりでも大抵はまるで平気だけれど、この日はリンゴが一緒に来てくれたことをとても嬉しく思いました。

コンサートが始まってからのことは、1年近く経ってしまうと詳しいことはあまり覚えていないけれど、ビーチ・ボーイズが想像以上に想像通りの(という表現があるなら)ビーチ・ボーイズで、たいそう感激したように思います。失礼だけれど、もっと、「歳をとってしまったのだから仕方がないかな」というように思うかもしれない、と思っていたのに、全然そんなことがなかった。ブライアン・ウィルソンの表情が終始浮かないものであったことは、心に残っているけれど、でもそれ以上に印象的だったのは、立ち上がって踊ったり、歌ったりしているお客さんたちをぐるりと見渡したときに、自分の親くらいの歳の夫婦が何組も寄り添いながら、"Sloop John B""Help Me, Rhonda"なんかで踊ったり、歌ったりしている本当に楽しそうで幸せそうな姿でした。たぶん、私やリンゴだって、隣にいた見知らぬ男の子だって、後ろにいたおじさん達だって、きっと同じような顔をして同じようにうまくないダンスをしていたに違いないけれど、私にはその姿は見えなかった。代わりに、そんなに近くにいた訳でもない、きっとこの先、決して会うことのないような夫婦の姿を、とてつもなく、素敵じゃないか、と思った。本当に魔法のようで、信じられないくらいロマンティックだった。まるでビーチ・ボーイズの音楽そのもののように。

そんなアメリカンな晩ごはんや、まばゆい夏の夕暮れのスタジアムや、ありもしなかったホットドッグの匂いと、リンゴのこと、そして素敵なお客さんたちの姿が1年経っても忘れられないのです。夏の匂いのするなかで、ビーチ・ボーイズを聴くだけで、じんわりと心が温かくなって幸せな気持ちになる。でも、ビーチ・ボーイズも「楽しい時間は過去だけにあるものじゃない」と言っていることだし、そろそろまた一晩中、踊り明かしてもいい頃合い。今年の夏も、なにか素敵でロマンティックなことが起きるかもしれない。私にもリンゴにも、永遠に会うことのないおじさん、おばさん達にも。


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5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (Mr.H-D)
2013-07-03 01:18:47
久しぶりにコメントします。

僕も地元なのでマリンスタジアムまで行きました。チケットなかったので場外でしたが、、

ブライアンは当日体調が優れなかった?そうで…
クリストファー・クロスが飛び入りしたココモは今でも耳と記憶に残っています。
私事ですが、先日ホンダの配布紙にビーチボーイズとの記事が載っていてちょうど僕もライブを思い出していました。

ぜひこれからもブルースに併せて、ビーチボーイズの訳も取り上げて下さい。
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Unknown (MIYAI)
2013-07-03 23:28:53
こんばんは。文章を読みながら、僕もビーチ・ボーイズを観たあの夜の出来事をいろいろ思い出しました。振り返ると夢のようです。ビーチ・ボーイズと彼らの音楽とそれらを取りまく世界。幸福そうで、明るくて、きらきらと輝いて、本当にロマンティックだと思います。”Isn't It Time”もやりましたね。嬉しかったな。というわけで、今年の夏もビーチ・ボーイズを聴くんだと思います。
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Unknown (asbury)
2013-07-04 00:38:13
Mr. H-Dさん
お久しぶりです。お元気でしたか。久しぶりの方からコメントを頂けるというのは、とても懐かしい感じがするのと、本当に嬉しいものです。ありがとうございます。
同じ日に、演奏を聴いていた、というのも不思議な心持ちのするものです。私は、屋外スタジアムの外で漏れ聴こえてくるコンサートを聴く、というのもロマンティックな感じがしてとても素敵だな、と思っていて、いちどはやってみたいな、と常々思っています。近くにスタジアムがあるといいですね。
ブライアン・ウィルソンはそんな事情があったのですか…。それでもステージに立ってくれたのですね.。o○"Kokomo"も仰る通り、とても良かったです。本当に思い出すだけで胸がいっぱいになるようです。なかなかご期待にすぐには沿えないことの多いブログなのですが、Mr. H-Dさんのお言葉はしっかり心に留めておきます。

MIYAIさん
こんばんは。先日、MIYAIさんのブログを拝読していて、MIYAIさんもビーチ・ボーイズを聴かれているんだなァ、やっぱり夏だものな、と思っていたところでした。この記事を書きながら、あの日その場にいた他のたくさんのお客さんも、夢のようだったな、とか、魔法のようだった、とか、ロマンティックだったな、と今でも思われていたら、本当に素敵なことだな…と思っていたので、MIYAIさんのコメントがとても嬉しかったです。新しいアルバムからは確か2曲だけだったけれど、どちらもとても良かったですね.。o○

MIYAIさんも、Mr. H-Dさんも良い夏を…!
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Unknown (カリメロ)
2013-07-04 21:16:44
ビーチボーイズのバラードは全て好きです。
lonly sea
Ballad of ole' betsy
we'll run a way
your summer dream

アルバム単位ではToday!のB面が好きです。
僕は英語がまったく理解できない頭の持ち主なので、asburyさんが、すごーく羨ましいです。
憧れます。でも英語が分からないぶん実は、自分の中で歌詞を想像して楽しんでます。
ブライアン・ウィルソンの音楽って特別ですね。こんなに気弱で美しいポップミュージックって他にない気がします。
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Unknown (asbury)
2013-07-05 02:00:24
カリメロさん
またお越し頂けてうれしいです。コメントもどうもありがとうございます。私は今回の記事の中で、割りと明るくてハッピーなビーチ・ボーイズの方のことを主に書いただけになってしまったけれど、そうした側面ととても繊細な部分とが織合わさって、ビーチ・ボーイズになっている、というところが本当は彼らのとても魅力的なところであるように思います。いずれかだけだとさみしい。
言葉の部分は、そんなにまで言って頂いて、なんだかこそばゆいような気持ちです。ありがとうございます。でも、どうなのでしょう…。カリメロさんのように想像して聴かれるという方のお話も時々耳にするのですが、それはまたとても自由で楽しいものだろうな、と私は思います。英語を話す人でも、結構自分の持っている印象で聴いている方も多そうだし、私自身も最終的にはそういうところが結構強いんじゃないかと思ったりもします。
「気弱で美しいポップミュージック」、というカリメロさんの表現、とても心に残るものでした。そうかもしれないな…としみじみ思いました。
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