熊に食われた猟師の話

熊カレーとエゾシカカレーを北海道から売りに来てた人から聞いた話。
今年はエゾシカがすごく繁殖してて、それを狙った熊が近くまで来ることが多いそうな。
北海道の熊は本州のツキノワグマよりはるかに大きいヒグマ。
前に登別の熊牧場で見たことあるけど、餌をねだるのに立ち上がると
どいつもこいつも４ｍ近くはありそうな巨体だった。
「あんなのに出くわしたら、どうしようも無いですよね～」
彼いわく「そうさ、牛でも馬でも、熊に出くわしたら恐怖の余り動けなくなるって言うね」
「え～こないだ北海道に乗馬に行った時は、とにかくウマから振り落とされなければ勝手に熊から逃げてくれるって思ってたのに！」
彼いわく「金縛り状態になるってよ。一緒に食われちゃうぞ」
「熊は賢いよ。このあいだ、猟師が食われたけど、ちゃんと自分を撃ったやつの顔を覚えてて襲ったんだよ」

く、食われたア
地元では有名な話らしく、他の人も「そうだ、そうだ」と言っていた。
一人の猟師が巨大な熊を撃ったけど、急所をはずして逃げられてしまった。
手負いの熊は危険だってことで、他の２人と一緒にとどめを刺すため後を追ったところ、くだんの熊にばったり出くわした。
熊は迷うことなく３人の内、自分を撃った猟師に襲い掛かってきたそうな。
至近距離からでは他の２人も撃てなくて、やむを得ず応援を求めにその場を離れて、
仲間と皆で戻って来たときには、襲われた猟師ははらわたを全部食われて、こと切れていたそうな。
彼曰く「熊もおいしいとこ良く知ってて、そこだけ食ってたんだってよ。鮭でもはらわたしか食わないもんな」
ほ、ほんとかよ～怖～い
さらに、「それで、うちのおじが葬式行ったんだけど、棺おけの中のぞいたら、
腹んとこぺちゃんこだったってさ」
そう言って、彼はテーブルの上に熊の絵が描かれた熊カレーの缶詰をポンと置いて、
こん中の熊肉はそのヒグマじゃねーよと言った。