らくがき帖

ノンジャンル心象風景

自然大好きのママとしては

2005年07月04日 | 子供
常々思っているのだが、
手塚治虫さんの漫画はすごい。
今ほどまだ漫画が文化的に認められていない
黎明期の作品だったにもかかわらず、
人間の弱さ、醜さ、強さ、たくましさなどに
正面から向き合い、描き込んである。
何十年の時を経ていても、
大人になればなるほど読み応えを感じる。
今さら私が言うまでもないことだろうが、
本当に名作ばかりだ。

が。
物心ついて以来の動物好き、
そして今や生態系フリークを自称する私としては
「ジャングル大帝」にだけは
密かに思うことがある。
食物連鎖のピラミッドを無視し過ぎじゃないでしょうか!
ライオンは森の動物たちを守ったりしない。
サバンナで草食動物を狩り、食うのだ!
狩らなければ自分が死ぬ。
毎日自然の中で生きるために戦っている。
だからこそ、それをしない人間との間に
対立関係が生まれるんじゃないだろうか…!?


…なぜ急にこんなことを語り出したかと言えば、
我が家の子供たち、
ディズニー×ピクサーのアニメ映画
「バグズ・ライフ」のおかげで、
虫の世界の捕食関係を
完全に誤解しているようなのだ。

「虫の中で1番の悪者はバッタだよね!」
「ありんこはいろんな虫と友達なんだよね」
「かまきりのおじさんって優しいよね」
など、など、など…!!
私がいくら
「ありんこはね、本当はすごく強いよ。
いろんな虫さんをおうちに運んで食べちゃうよ」
などと言ってもまるで信じようとしない。
「えーーーっ? だったらフリック(アリ)たちも
ホッパー(バッタ)を食べちゃえばよかったじゃん?
違うよ、フランシス(てんとう虫)とかに
助けてもらうんだよ!」
てなもんだ。

いかん!
アリとてんとう虫はアブラムシを巡って
対立関係にあるなどということ以前に、
サーカス団でコンビを組んでいたカマキリと蛾が、
実は捕食関係にあることから教えねばならない。
実物を見せれば早いのだろうが、
いくら自然環境に恵まれた仙台でも、
カマキリが蛾を食べている現場を押さえるとなると、
どこへ行けばいいのか…見当もつかない。

まったく!
ディズニーの作品ともなれば
子供たちに与える影響は大きいのだから
もっと考えてほしいものだ。
いや待てよ、欧米人は日本人に比べると
虫に対する興味、認識が非常~に薄いと
聞いたことがあるから、
もしかして製作者も何も知らないままに
作っているのかも…。
何たることか!

じゃあ「ニモ」はどうなんだ!「ニモ」は!
と言うと、主人公のクマノミは
群れの中の唯一のメスが死んだ時点で
第一位のオスが性転換してメスになるから、
ニモのお父さんはコーラルが死んだ時点で
お母さんになっていなくてはおかしい、
という話の根幹にかかわる矛盾はあるものの、
あとはまあメンダコをちょっとかわいく
描き過ぎじゃないだろうかというくらいで、
それ以上間違いを指摘できるほど
私も海洋生物の生態には詳しくない。
でもあの「さかなクン」が
広報に協力していたくらいだから、
そうおかしくもないはずと思ってはいるが…

こうして私が延々とうんちくを並べ立てる横で
オットがつぶやく
「…アニメだよ…楽しめよ!」

そうなんだよねー。
もう細かいこと言い出したら、
しまじろう(トラ)の大親友は
みみりん(ウサギ)だし、
キリがないんだよね。

そりゃあ私だってアニメや映画は
純粋に楽しむべきだと思うけど、
連鎖して少しも無駄のない自然界のすばらしさも
子供たちには知ってほしいんだよねー。

とりあえず、今年の夏は
アリが虫を運んでいるところを
見せてやりたいものだ。
ヒメとタロー、ママだって、
本当のことを言ってるときもあるんだからね!