このところ恐ろしく更新が滞りがちだが、
それはひとえに、寒さのせいである。
我が家ではパソコンは、暖房のない
北の部屋においてあるので、
近ごろの寒さで
こたつを背負ったカメになりつつある私は、
最早この部屋に入る気も起きない
有様なのだ。
私が生まれ育ったのは静岡県沼津市。
伊豆の玄関口の沼津は温暖で、
真冬でも雪はまったく降らない。
今年は全国的に雪が多く、
四国や九州でも降ったと聞くが、
実家の両親に尋ねたところ
沼津では降っていないと言う。
何年かに1度、
みぞれのようなものが降ることはあるが、
地面に落ちた途端に溶けてしまう。
私が沼津で暮らした18年間で、
はっきりと白い「雪」が降ったのは、
中学2年のとき、1度だけだ。
その日、数学の授業が中断されて、
みんなベランダに出て空を眺めたので
よく覚えている。
もっともそれも、数時間後には
溶けてなくなってしまったが。
そんなわけで、私が「積もった雪」を
初めて見たのは19歳の冬、
東京で独り暮らしをしているときだった。
そのときの衝撃は忘れられない。
まずあの、踏んだときの感触!
もきゅ、もきゅ、と音を立てて沈むのが
おもしろくて珍しくて、
友達を捕まえては
「見て!沈むよ! 踏んだところが、
沈んで足跡がつくんだよ!」
と大騒ぎをした。
そしてあの白さ、明るさ、静けさ。
木の葉の1枚1枚にまで積もっていく精巧さ。
目を凝らすと本当に六角の結晶になっている神秘。
雪が降る度に、
寒さや不便さよりも物珍しさが先に立ち、
どきどきわくわくしたものだ。
だが。
ここ仙台ではどうだろう。
毎日のように降る。
晴れの日でも風に乗って舞ってくる。
朝晩は凍りつく。
寒い!
滑る!
出不精になる!
春が、心底待ち遠しい。
沼津では降らなかったなんて、
嘘みたいに思えてくる。
…それでもまだ、
雪とは無縁だった18年を埋めるには至らず、
結晶を探して目を凝らしたり、
子供たちと一緒に
新雪を踏み回ったりはしているのだが。
またこれは来年に取っておいて、
今年はそろそろ切り上げてもらえないだろうか…。