リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

陸自の「隠蔽体質」だけでなく,防衛大臣の「指示」検証を

2018-04-08 | 政治
自衛隊のイラク派遣の際の日報が,野党議員の要求に対して存在しないとされていたのにもかかわらず実は存在していたことが,防衛大臣による探索「指示」から1年もたって公表された問題で,自衛隊の隠蔽体質が問題視されている.発見・公表の遅れなどに「隠蔽」がなかったかどうかの検証は必要だろうが,そもそも当時の稲田朋美・防衛大臣がどこまで本気で探索を「指示」したのかも検証が必要だ.
このたびその「指示」の真相の一端が明らかになった(朝日新聞2018-4-8同3面).
「指示」があったのは2017年2月22日防衛相大臣室.稲田大臣が辰巳・統幕総括官に対して「イラクの日報は本当にないのか?」と問うた.同日,その部下の統幕参事官付がメールで大臣発言を伝えたのだが,その文面は次のようなものだった.
「おつかれさまです。
先日はイラクの日報について探索いただきありがとうございました。
皆様からは保管されていないとの回答をいただいたところですが、本日の大臣レクの際に、大臣より、「イラクの日報は本当にないのか?」とのご指摘がありました。
ついては、たびたび恐縮ですが、探索いただき無いことを確認(紙媒体・電磁的記録)いただいた組織・部署名を本メールに返信する形でご教示いただけますでしょうか。
よろしくお願い致します。」

このメールは稲田大臣の「指摘」を伝えてはいるものの,受信者に要求しているのは,すでに「存在しない」と回答した組織・部署名を報告することであって,本当にないのかどうか徹底して捜索することを指示する内容とはどうしても読めない.制服組からはメールで引用されている「指摘」を捜索「指示」と解釈するのは「究極の忖度」だとのぼやきが聞こえてくる.防衛省内でも「説得力がない」との声があるという.
だが不思議なことに,辰巳氏(統幕内では制服組の統幕長に次ぐ地位の背広組の文官)も,メールを出したその部下の参事官付も,稲田大臣の発言を「探索指示」と認識していたという.もし本当にそのような認識であったとすれば,大臣の指示内容を統幕がきちんと伝達しなかったという,文民統制上の大問題になる.もちろんメールに引用された言葉だけがすべてではないだろうから,防衛大臣室での稲田大臣の発言がどのようなものであったのか,さらなる検証が必要だ.

追記:辰巳氏は相変わらずメール内容は「改めて探索いただくように伝達をしている」と述べているようだ.このような強弁は早晩取り下げざるを得なくなるだろう.一方,防衛相はメールが不十分だった可能性があることは認めたが,大臣はちゃんと指示したという立場らしい.(朝日新聞2018-4-10夕刊)メールの文面だけからはとても「改めて探索」の指示とは読めないが,口頭での前後のやりとりも含めて再現してもらえれば納得できるかもしれない.文字資料はないだろうから難しいだろうが,稲田大臣と辰巳氏の間のやりとりがどのようなものだったのか,知りたい.


関連記事:
「稲田防衛大臣の不実は文民統制を崩壊させる?」(2017-7-20)



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