気分が悪くなりたい方のために

2006年10月30日 15時18分25秒 | Weblog
そんな方はそうはおられないだろうが、おすすめなのはリンク先(健康被害生ずるおそれあり)。

「全国知事会・市長会」のなかにもうけられた「新たなセーフティネット検討会」による「新たなセーフティネットの提案」という文書なのだが、この文書によれば日本には「戦後60年間に生じた経済社会構造の大変化」がみられるのだという。
そのひとつは「働いても貧しさから抜け出せない勤労低所得者層」-「ワーキングプア」の広がりであり、生涯未婚率・離婚率の上昇による単身世帯・少人数世帯-「経済基盤が脆弱」な世帯の増加である。
こう分析すれば、この貧困のなかにある人が生きていくためにはさしあたり公的扶助の充実が必要不可欠である、となるのだと思ったら、この文書の論理展開はそうはならない。

この大変化の中で生活保護制度は「国民の自助自立の精神」と調和しない制度となってしまっているという。このままでは被保護者が格段に増加する、それはまずいので(年金制度をなんとかする、雇用環境をなんとかするのでなく)「被保護世帯の生活保護基準額と最低賃金、非正規雇用者の収入水準との均衡が必要」であり「長年の国民年金保険料の納付が報われる給付構造とする」のだという。
もちろん、この文書の中でも「同時に非正規雇用者の待遇改善策が必要」とはうたわれている。ところがその条項の中では「なお、規制緩和による非正規雇用の増加は、一方で雇用機会を増大させたことも事実である」と「なお書き」されており、その立場をうかがいしることができる。

「提案」の中心は稼動年齢層に対する有期保護制度の導入である。これ、具体的に読んではじめてわかったのだが、稼動年齢層に対してはトータルで(保護を受けたり切れたりの繰り返しの中で)5年しか保護を認めないということなのである。
5年をすぎるとどうなるのか?
「提案」には「憲法25条に定める健康で文化的な最低限度の生活は、有期保護の終了後も適切に保障されていくものであって、本報告による改革案においても、国家責任によるセーフティネットの機能が堅持されていることはいうまでもない(図5を参照のこと)」と書いてある。そこで図5をみてみたり、その他の記述を見てみても、「一定の条件を満たす困窮状態にある者については(保護の再)適用が認められる」と書いてあるだけなのだ。「一定の条件」の具体的な中身は書いてない。さらに「一定の条件」を満たさない者が、どうなってしまうのかについても。。。
「無差別平等」原則は(年金担保利用者への取り扱いでその死に向い始め)これで完全に息の根を止められてしまうといってもいいのではないか?

そのほか就労収入についての基礎控除額を割増しするかわりに割増し分は月々給付せず保護から脱却できなかった場合には召し上げる、という制度を設ける、などのすばらしいアイデアも。

「制裁の明文化」も必要なのだとかで「正当な理由なしに、被保護者が労働、あるいは就労活動を拒否する場合には、その程度に応じて受給額を一定額、一定期間減額する」制度を設けるという。現在も被保護者に対する「指導指示」の権限が認められ「指導指示違反」による保護の停廃止が認められているのだが、それでは不足だということだ。生活保護費の返還請求権について先取特権を認めろ、最低生活費の1割までは強制徴収を認めろ、という新提案もなされている。保護基準が「最低生活費」を定めているということとの整合性・矛盾は説明されていない。77条の活用などということもうたわれている。貸金業規制の強化により多くのサラ金業者が廃業に追い込まれるのではないかといわれているが、これは彼らの再就職先を確保するセーフティネットなのであろうか?

「新たなセーフティネット検討会」のメンバーの多くは都道府県・市町村の保護関係のお役人である。そういう人たちからこんなんが出てくるのはまだ理解できるとしておこう。木村陽子(地方財政審議会委員・元奈良女子大教授)・門脇光也(花園大非常勤講師)・八田達夫(国際基督教大教授)という3人の学者先生に対しては、その責任は後世まで問われるだろうといいたい。
御用学者でいるのは構わないが、このテーマでは死人が出るのである。予想される死のひとつひとつについて、あなたには責任がある。







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