「いのちの平等論-現代の優生思想に抗して/竹内章郎」

2006年07月12日 10時25分41秒 | book
いのちの平等論―現代の優生思想に抗して

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希望の教育学

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「いのちの平等論-現代の優生思想に抗して/竹内章郎」
「希望の教育学/パウロ・フレイレ」

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「骨太の方針2006」なるものが打ち出され、2008年までには何が何でも生活保護制度に全面的に手を入れるという。昨日の毎日新聞には生活保護世帯にも医療費原則1割負担へという記事が出ていた(厚労相の閣議後記者会見では否定的なコメント)。
何度かここでも書いているけど昨年の「三位一体改革」についての政府与党合意以来、矢継ぎ早に生活保護制度改定についての方針が出ているが、その多くは無差別平等という保護の大原理原則を根底から覆すものとなっている。
昨日生活保護改革を考えるひょうごネットワークの会合でも話し合われたのだが、こうした動きに対してまず現場での動きは123号通知が出された当時に比べても非常に鈍い(という)。鈍いどころかむしろ現場ではこうした「改革」方針を基本的には了承している(し、歓迎している向きすらありそう。「良心的」なワーカーも含めて)。そして鈍いのはわれわれNGO/NPOサイドも同様でなかなか有効な反撃をできないでずるずるとここまで来てしまっている。
ひとつには、既に始まっている現場の急速な崩壊的劣化(このところ理由の付記すらない決定通知など、「法」はおろか実務を知らないんでは、という運用が起きはじめており、ケースワーカーの個人的感情にもとづいているとしか思えない「暴走」も)に対して、もぐらたたき的に対処するのに手一杯ということもあるし、もともとみんな忙しいというのもあるけど、より根本的には、こうした「攻撃」が「怠けている人を保護している」「自分は一生家なんか持てそうもないのに、なんでマイホームのある年寄りを保護しないといけないんだ」といった「庶民感情」に依拠したイデオロギー的な攻撃としてしかけられてきていて、それとの全面的な対決にこちらが「たじろいで」しまっている側面があると思う。
「法」に依拠して毅然と対応しつつも、少しずつ「市民」の理解を広げながら、現場の良心にもはたらきかけながらやってきたこれまでのやり方では、嵐のようなイデオロギー攻勢に対応できないでいる。
そんななかで、「前夜」第1期8号に掲載されている竹内章郎さんと中西新太郎さんの「<能力の共同性>を求めて」という対談は非常に刺激的だった。実は(ともすればよりよい制度論に流れがちな)私(たち)にとって私(たち)自身のなかに根深くある「能力主義」をどないかするということが、迂遠なようで実は今日かけられているイデオロギー攻勢に抗していく唯一の道ではないかと思われるのだ。

(追記)
一応昨日の話し合いではとりあえずの方向性として(1)何かシンポか集会のようなものの企画(上記のような問題意識も含ませつつ)(2)行政への申入れ行動の準備(3)「手引」路線に対抗するための「保護受給の手引」の作成と配布、なんかを目指そうか?みたいな感じになる(結論まだ)。「唯一の道」は言いすぎだったかも。
とくにこちらからの「手引」の作成は重視してる。
行政不服審査の申立期間が処分があったことを知った日から60日以内に限られているため、福祉事務所はどんなめちゃくちゃをやっても60日経ってしまえばオーケー、やりたい放題だから(この辺はサラ金よりもひどいと思っている)。従って、早期に「被害」を掘り起こすことが極めて重要なのである。


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