《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》
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『桃太郎・宇宙(そら)へ』 【未来昔話シリーズ】
みらいの ミライの、ある小さな国に、わずかな ワズカナ年金(破綻を何とか免れて存続中の制度)支給で細々と暮らす仲の良い、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。
朝、5時、早起きした、おじいさんとおばあさんは、日に一度の接続が義務化されている脳インターフェイス端末装置を起動させました。
国家推奨の公共極高速極容量情報通信ラインの川の流れに入るため、今日も仲良くジャックイン! です。
すると上流の方からドンブラコッコ、ドンブラコッコと無数の大きな桃が流れてきました。
「おじいさん!来ましたよ!早く準備を!」
おじいさんはレンタル支給されている探知モニター装置をオン表示させ狙いを定め、流れ去る無数の桃をスキャン、流れる桃の内部の良質遺伝子情報を探りはじめました。
「どうか良い息子を選んでくだされ」と、おばあさんは、集中して装置を操作している、おじいさんのとなりに座り、両手を合わせて拝みはじめました。
最近入信したデジタル信教のジョブズ神です。
「よし!これじゃあぁぁー!」と装置から選びだした中身のぎっしり詰まったオンリーワンの桃を取り指定します。
少しずつ少しずつ年金の中から蓄えていたお金をすべて使いオンライン決済を済ませる。
(それでも足りない額は年金ポイントローン返済になります!)
二人はさっそく、お家に持って帰ることにしました。
生体再生建材を使った小さな老齢者用アパートの中。
「おじいさんや。はい!これ」とおばあさんは暗号解読解除機能付き斧を手渡す。
「エイヤッ」っと、プロテクト呪文キー入力して振り下ろすと、桃は真っ二つに割れて、中から優良遺伝子のいっぱい詰まった赤ちゃんデーターが出てきたのでした。
さっそく、用意していた健康第一社製のクローン素体作製器へ情報を流し込みました。
3ヶ月後、立派な元気な男の子が生まれました。
桃太郎と名づけられた男の子は、2人の愛情をいっぱいもらって、すくすくと立派な青年へ成長しました。
通常の約3分の1の年月がかかります。
ある日、桃太郎は二人の前に座り、話しはじめました。
「おじいさんおばあさん。私は、異星人退治に出かけることにしました」
「おお…モモや!オマエももうそんな年齢になったんだね」とおじいさん。
おばあさんは「モモ!いつかはこの日が来ると思っていたが…行かないでおくれ。モモ!」と泣いています。
現在人類は、異星種族、《カーネシ・トイバ星人》と星間戦闘状態にあるのです。
泣き続けるおばあさんにおじいさんはやさしく諭します。
「おばあさんや。悲しむでは、ないよ。モモは、人類の為、今いちばん必要とされている仕事をするのじゃよ!」と…
桃太郎は人類軍へ志願し、検査を受け予備意識スキャン後、<ONI-GA-SHIMA>第23殖民星へ派遣されました。
もともと、優良な遺伝子を持っている桃太郎です。
成長段階ででも勉学にスポーツに励んで育っているため、軍の訓練課程での仮想戦闘シミュレーションでも圧倒的数値をたたきだしました。
桃太郎は人類軍の中で見とめられ、直接異星人と白兵戦も行なうという最前線の戦闘に加わりました。
戦闘人工知能体<SARU-001>の補助知能が搭載された強化戦闘服<INU-002>を着用し、大気圏内宇宙空間両用の高速空間移動戦闘機<KIZI-003>に乗りこみ、桃太郎は、凶暴な敵、異星の戦闘メカと戦いました。
長くつらい戦闘が続き、双方の膨大な数の尊い生命の犠牲の末、数年後、ついに和平条約が結ばれたのです。
桃太郎は数多くの手柄を残しました。軍籍を解除され獲得できた戦歴ポイントを変換し使いきれない程の額の所得ポイントをお土産に、堂々とした姿で帰国しました。
(桃太郎の場合、身体の約65%を再生臓器、再生身体へ交換処置・発狂のための絶命反応で予備意識を2度インストールさせてある)
桃太郎とおじいさんおばあさんの3人は、平和になった地球で充分な所得を使い、最新の生体建材をタップリと使用した特別区画の住宅に住み、しあわせに暮らしました…
そして半年が何事も無く過ぎ、そろそろおじいさんは桃太郎にクローン素体生まれではない自然分娩育ちのお嫁さんをと考えていた頃の事です。
戦地から戻った200万人の人間と戦闘に関った第一級人工意識500万人の中に奇妙な病が発生しはじめたのです。
やっと日常の平穏な暮らしに戻り社会に適応してきた桃太郎の体にも変化が起きていました。
おばあさんは選びに選び、連れてきたお見合いデータを端末で表示させていたときです。
おじいさんと一緒にお見合い相手を見ていたが、突然、桃太郎の状態に変化がおきました…
「今、人が死んじゃった。今、何の罪も無い人が…銃で…銃で頭を撃たれた。なんて悲惨なんだ…」と、おばあさんの前で泣き崩れる桃太郎。
やがて、おじいさんとおばあさんにも、桃太郎の悩みや喜びなど、考えることが自分の事のように感じ取れていった。
《共感感応性意識過敏症》と言う精神的病。短期間でこの病は全世界に広がり一向におさまる事は無かった。
もちろんこの《共感感応性意識過敏症》と言う精神的病は戦場から持ちかえられた異質のウィルスが原因なのだが。
和平状態のエイリアン《カーネシ・トイバ星人》が元来持つ、強力な空間感応能力に意識感染していたのだ。
結果、他人の痛みを自分のことのように感じてしまうこの病により人類間に長年続いていた身体を傷つけるレベルでの争いは無くなることと成った。
やがてその感応性能力は異種生物間の壁も取り去り、《カーネシ・トイバ星人》と人類は意識統一も果たした。
こうして、ここに統一知能生命圏が誕生したのであった。
《 め で た し め で た し 》