アンクロボーグの世界

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ショートショート  『変わった日は引っ越し記念日』

2008年12月21日 00時49分16秒 | ショートショート
《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》

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『変わった日は引っ越し記念日』

引っ越しは癖になるようだ。
想いをよせていた異性にふられ大失恋をするたびに引っ越しをしている友達を考えるとつくづくそう思う。
結構な金額は、かかるし、もろもろの手続きなど、準備などにもかなりの時間がかかるのに…
それなのになぜ??
友達に聞いてみたことがある。「何もかも変えることができるから…」
それはそうだ!確かにその通り!

居・場・所・を変えれば環境が一新される。
外に出て電車に乗って窓から見える景色でも、毎日通うショッピングモールでのお買い物も違って感じるだろう。
灰色の退屈だった日々の暮らしから、それらは、色彩をみごとに取り戻し、ウキウキ、ワクワクとした世界へと変化させてくれるのだから驚きである。
引っ越しとは、今(2068年)の人間にとって一番贅沢な気分転換方法なのである。

そしてなんといっても引っ越しは、大量の記憶を一気に捨てる絶好の機会なのである。
と、同時にずっとほしかったスキルなどをそろえる口実にもなる。
嫌な奴との最悪な思い出、学生の頃の軽い法的違反の記憶などなど。
そして、これまで買えずにいた大気圏外飛行宇宙船から極巨大建造物まであらゆる物体を設計、デザインできる資格増加ユニットプログラム。
引っ越しした後は、整理整頓された脳配列にピカピカの新しい体!
さらに、それが、やっと手に入れた純粋培養された新品クローン体だったりすればもう、最高の気分に違いない。
人生の中でも忘れられない出来事になる。

でも悲しいかな、1年が過ぎ2年が過ぎる頃には、すべてに慣れてしまい、また平凡な記憶の上書きが始まるのだ。
そこで私は思うのだが暮らしが180度かわった《引っ越し記念日》というものを年1回決めてみてはどうか。
その日は、朝から大掃除をしてみるのである。
普段はのぞき見ない自分の心・意識、滅多に開いたことのない奥の奥の痛い心のフォルダ。
一気に開きゴシゴシ、キュッキュと…
体を新しくしたとき、古い体から持ってきて、引っ越し当初からそのまま、開けずにある記憶の保存箱なども思い切って開けてみる。
どんどん増え続けた無駄な心・意識、この機会にゴミ箱へ。


引っ越し記念日とは、そんなタイミングにちょうどいい日なのかもしれない。


     《 お わ り 》