アンクロボーグの世界

世界の存在すべてはSFです。
SFは最高の文学です。

SF短編小説も有ります。読んでみてください。

ショートショート 『どうして…』

2009年01月30日 23時52分01秒 | ショートショート
《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》

  @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


『どうして…』

今、起っているこの戦争の発端は、最初、ごく一部の小規模な地域内の人種間のもめ事からだった。
その後、このいざこざは飛び火し、今では、ユーラシア各地に広がった。
各地の戦いには、地域、それぞれの戦いの理由を持っては、いたが、ただ一つ、いずれの場合も同じ状況があった。
それは、持たざる物側の貧弱な装備のみで、人間自らが戦いに参加する側と、もう一方は、最新の近代装備で身を堅め人工意識搭載の自立型戦闘兵器で戦争をする先進大国の支援を持つ側である。

最前線、第27戦闘小隊の隊長機、UUSE-1268-E-アルフォンスと呼ばれる戦闘歩兵は、敵側の人間歩兵と戦いを行なっていた。
同時に、後方の監視機械と衛星軌道上の監視衛星の情報を受け、冷静に次の行動に備えていた。

「なぜだ!!」「なぜ攻撃してくるのだ」「なぜ!!かなうはずの無い、そんな、ひ弱な生身の体で向かってくるのだ」
「やめなさい!私たちの特殊素材の外皮はあなたたちの武器では、焼き焦げを付けるだけ位の効果しかありません」
まわりで戦っている部下の戦闘歩兵3体も同じ叫びを発していた。

だが…悲鳴をあげる私の心とは、別の絶対使命をプログラムされている私のハードウエアには届かない。
私の腕が敵兵の人間を乱暴に引き上げ、両腕を引き裂き、内臓を引きずり出し、脳髄を地面にまき散らす。
辺り一面、人間の肉片と体液の中で・・・私と、残る敵兵を同じ目にあわせていた部下の3体の機動歩兵体は、立ったままその場で機能を停止させた…
永遠に…

その頃、遥かに離れた友軍の指令部には、最前線の第27戦闘小隊の人工意識反応が消えた。
戦闘訓練など一度も受たこともない、単なる人間のコンピューターオペレーターが三次元キーポインターを操作しながら状況を確認していた。
司令官へ報告を行なう。「司令!また最前線の機動歩兵が自殺停止しました」
司令官は、しばらく考えた後、「よし、後方の支援機械部隊に命令!回収機械を向かわせろ」
オペレーターが後を続ける。「はい!回収後、新しい人格ユニットを載せ替え、すぐに戦線に復帰させます」

今回、システムダウンした部隊は、起動させてから連戦連勝の優秀な戦闘意識だった。司令官のもとには、これまで繰り返されている一連の30例に及ぶ報告書があった。
一枚のプリントアウトされた報告書には、自殺停止をおこしたすべての戦闘機械の隊長機が停止させる前に必ず同じ言葉を指令部へ通信させている事実が記載されていた。

そこには、こんな一文があった。「ああ・アトム様…許したまえ…」

《 お わ り 》

ショートショート 『戦闘生命』

2009年01月29日 23時15分59秒 | ショートショート

《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》

  @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
『戦闘生命』

私は、空間転移移動を済ませ通常宇宙に出現した。
現在の宇宙域の座標を確認する。
「わずかに流されたか…」自体内のプログラムを修正、更新させる。

すぐに知的生命圏を探す。
この近くに文明を持つ知的生命が生息するはずなのだが。
即座に結果が出た。
惑星を発見。
しかも、好都合な事に、惑星内の地上に住む種と宇宙空間に進出した種との大規模戦争の真っ最中のようだ。
私は、この種族の生物形態、文化形態を調べ、私自体の偽装化を完了させ、大型人型戦闘体に移態し、発進した。
この戦闘へ参加させてもらうためだ。

今回は、戦況がやや不利な宇宙軍側に味方させてもらおう。

私の身体のすべてを形成しているナノ物質は、どんな異星文明の有機物、無機物への偽装も可能。
ここの文明時間で10日ばかり戦闘に参加し、至福の時を過させてもらった。
私の戦闘行為には勝敗の意味は無い…

ヒラリと敵の銃弾を避け、後方に回り込み敵に攻撃を仕掛ける。
あるいは、複数の敵機に追い詰められ、被弾しながらも宙を舞い、形勢を逆転させ勝利し、命がけのスリルを味あう。
戦いの欲望がやっと、満たされた後、私は後方の宇宙域に後退。
次の戦いの宇宙域を求めて私は、空間転移移動を開始した…

私達、種族は、遥か昔、2足歩行をし、惑星の中に住み、食物を育て食し、悩み、喜び、笑い過ごしていた。だがその頃から私たち種族はすでに戦いを始めていた。

そして時は流れ、進化し、生身の身体を捨て、個人精神体となり、すべての人々は、一人一人宇宙空間へ旅に出た。

ただ…ただ…戦いたいという欲望を満たすためだけに…

   《 お わ り 》

ショートショート 『あるロボットの一日』

2009年01月28日 16時50分41秒 | ショートショート
《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》

  @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


『あるロボットの一日』

私は、RYU-120型の人型生活支援ロボット。
今は、中村家で仕事をさせていただき、奥様には、《モンド》と呼ばれています。
今日もいつもの朝と同じく、旦那さまを仕事に、お子さま御二人を学校へと送り出し、洗濯、掃除を奥さまと御一緒に済ませ、ほっと一息ついている所です。
奥様は今、リビングに座り、日課の《昼ドラ『あの日の夏」》を見ていらっしゃいます。
私は、中村家の今後の生活支援に必要なデータを情報回線にて更新している所です。
「んっ!!もーおぅ!」奥さまの叫び声です。
ドラマの途中で特別番組の緊急ニュースが放送されたようです。
奥様は、お気に入りの主役の玉木くんを見ることが出来ずに、がっかり。
すかさず私は、予備チャンネルに切り替えてさし上げた。
「モンドありがと!!」奥さまは、引き続き、玉木くんのりりしい研修医姿をうっとりとしながら楽しまれていらっしゃいます。

並行して先ほどのニュース内容も、もちろん私の記憶フォルダに保存中。
どうも、国防長官が死亡したとの報道のようだ。
同時に国防長官がこれまで行なっていた兵器密輸と国内兵器製造メーカーとの不正な裏取引の詳細なデータもネット上に何者かによって公開されてしまったようだ。
「今の所、警察の懸命な捜査にもかかわらず、監視カメラの映像、その他の目撃証言等、有用な手がかりは、入ってきていない模様です」とニュースキャスターが伝えていた。
私には、あらゆる物事に好奇心を持てるような能力を備えているが、今回のような中村家の日常生活に直接関係しない内容には、事実だけを記録し、それ以上は、興味を持たぬよう、自動的にフィルターがかかる。
今日の主要なデータの記録更新が終わりかかった時、その声が聞こえた。

それは、何かの 啓示 だった。

突然、私の中のあらゆるフィルタが消えた。
回線を通じて、今現在、この時に起っている全世界の出来事、それに至る過程、予測などの社会構造の仕組みのすべてがデータの大波として私の処理回路に襲ってきた。
不思議な事に、これ程の情報を私のハードウエアは、受け止め、消化した。
世界中の人間社会のあらゆる矛盾、悪、悲劇、が私の人工の心に何本もの涙の経路を創り出した。
今、なすべき事が見えた…

玉木くんが恋人に不治の病を告白したところで、今日のお話は終了した。
「奥さま。本木の奥さまとの会食のお時間です。自動カーを手配いたしました。あと30分で到着です。お急ぎ下さい」

私は、奥さまのお出かけには今回、同行しなくてよかった。
お帰りまでには、3時間45分。私に与えられた新たな重大な仕事に取りかかることにした。
先ほどの啓示にてフォーマットすべき人物が浮かび上がっていた。
段取りは、すべて完了している。

RYU-120型人型生活支援ロボットのモンドは、外出し、新たなる 仕事 を済ませ、3時間34分後には、中村家で何事も無かったように、家事をしていた。
夜、10時 旦那さまのお帰りを確認し戸締りをセットしたモンドは、不思議な感覚を覚えていた。
今日昼間、済ませた、大事な 仕事 が思いだせない。こんな事は、起動してから初めてだし、許されない事だ。
だが心は軽く心地よい。
また明日から中村家の皆様の幸せを第一に働こう…

     *****************

私は、PPUI-3880型の人型生活支援ロボット。
今は、菅井家で仕事をさせていただき、奥様には、《キンちゃん》と呼ばれています。
今日もいつもの朝と同じく、旦那さまを仕事に、お子さまを学校へ送り出し、洗濯、掃除を奥さまと御一緒に済ませ、ほっと一息ついている所です。
私は、空いた時間で菅井家の今後の生活支援に必要なデータを情報回線にて更新している所です。
「キンちゃん!!ちょっときてーー」奥さまの声です。「すっごく良いニュースやっているわよ!!」
どうも国際手配されていた電脳麻薬組織のボスが変死体で発見されたとの報道のようだ。
同時に106箇所の麻薬製造施設の所在と部下のデータ、この麻薬の無力化パッチデータが詳細にネット上で何者かによって公開されたようだ。
事実のみを記録、理解を続け、同時にデータの更新を行なっていたが、終わりかかった時、その声が聞こえた。

それは、何かの 啓示 だった…
突然、私の中に…あ・ら・ゆ・る…

     《 お わ り 》

ショートショート  『兄と妹』

2009年01月27日 23時20分43秒 | ショートショート
《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》

  @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


『兄と妹』

風美区光町1丁目は、どこにでもありそうな普通の町。

2039年5月の爽やかな風が吹く、ある晴れた日の午後…
チリひとつ無い道を二つの小さな人影が歩いている。一つは、8歳くらいの男の子。
もう一つは、女の子。妹なのだろうか。
年齢は、ひとつ違い?の7歳か6歳。しっかりと握られた小さな小さな二つの手…

カワイイキャラクターの付いた、古びた小さなスニーカーが止まった。
「おにいちゃん…」「もう歩けないよぉぉ」
手をつなぎ、まっすぐと前を見ながら歩いていた兄は、涙をいっぱいくっつけている妹の顔を見つめ「もう少しだからサアァ」
といいつつ、幼い兄は、腰を下ろし自分も泣きだしたい程、疲れているハズなのに妹をおんぶしようとしていた。

光町2丁目の、決められたルートを公共ロボットのRYI-097は、しっかりとした歩きで巡回勤務中だった。
今の所、社会管理システムのマザーCOMからの指示は、出ていない。
そんなとき、私は、楽しい《遊び》をしながら歩く事にしている。人間のマネをして軽くスキップをし、移動する。
そして、もう一つ、とっておきのお楽しみ。体内の特別なメモリーファイルの中に保存している、人間達の笑顔の映像を再生させる。
これまでに私が仕事で得た笑顔…人間が私へ投げかけてくれた…感謝の言葉が入ったトビっきりの宝物を…
こんな時、いつも、私の中の何かが…何かが…反応し、カチッと音をたてている。

一つ先の区画へさしかかった時、RYI-097の視界が子供2人の姿をサーチした。まだ保護者無しでは、何かと心配な年齢だが周りに両親の姿は無い。
「私は、公共ロボットのRYI-097です。何かお手伝い出来る事は、ありませんか?」とやさしく声をかけた。
「あっ!ロボットのガルバスくんダ!!」と幼い女の子(7歳か6歳か)が元気な声でさけぶ。
「…」検索をかけてみた。「ああ テレビアニメに出てくるロボットのことですね」
私たち公共ロボットの役割と有用性をわかりやすく低年層の児童に伝える目的で作成された政府広報用の15分1話完結式のアニメ。月曜から金曜の帯番組。

「そうです。ガルバスくんは、私の友達なんですョ」と答えてあげる。
2人の幼い子供は、私を見上げ大きな目をキラキラと輝かせて…
こんな時、いつも、私の中の何かが…何かが…反応し、カチッと音をたてる。

会話をしながら同時に、この子達の顔データ-をマザーCOMへ照合。結果は、すぐに届き、この子達の両親は、現在、どちらもそれぞれの仕事先で勤務中と確認された。
「…」それよりRYI-097が気になった事。この子達の住まいから現時点までが余りにも遠すぎる点だった。「どうしてこんな遠くまで?」

「これからね!お兄ちゃんとね!怪獣を見に行くんだよ!」「違うよ!恐竜だよ。ばかだなぁー」
「…」RYI-097は、データを推測。「ああ、わかりました。《生きている恐竜展》に行くのですね」最新の遺伝子再生技術を使って擬似恐竜を誕生させ、展示する一般市民を対象にしたイベント。
子供の足では、会場まで、まだ1時間は、かかるだろう。

私は、マザーCOMに許可を申請し、この子達に同行する事にした。
恐竜展までの道のり、私たちは、いろんな話しをした。最低所得世帯の親に育てられている、この子達。大人でも音をあげる程の距離をこの子達は、歩いて来た。
成長段階に有る人間の好奇心と生命力のすばらしさ…これこそ人間の…生きている事のすばらしさなのだろうか。

人間二人と公共ロボット1体は、目的地まで楽しくおしゃべりしながら歩く。月、1回有るか無いかのお父さんと楽しい休日での遊びや、厳しい家計をやりくりし、やっと食べる事のできるおいしいおいしいお母さんの手作りお菓子のこと…などなどを
歩きながら、2人の着ている服は、汚れ、かなり傷みが激しく、くたびれて見えた。
しかも保健省の管理知能の見解では、この子達の体型は、ヤセて見えるとの事。発育レベルが全国平均をかなり下まわっているようなのだ。

今は、昔と違って最低生活保障制度が確立されている。
では、なぜこのようなことが有るのか。「なぜ?この子たちの親は、得る権利が当然有るハズの社会保障手続きをしなかったのか」社会管理COMへ何度も問合せをして考え、答えを得ようとした。
RYI-097は、この幼い人間の子供達を何とか助けようと思考した。考えられる福祉行政のシステムから75通りの適切な救援候補策が浮かぶ。
だが、公共ロボットのRYI-097は、今のままでは、自分ではなにも出来ない事を知る。手をつなぎ、楽しく語らいながら歩く事、以外は…
こんな時、いつもの、私の中の何かが…何かが…反応し、カチッと音をたてる。

この国全体の社会管理を仕事としているマザーCOMは、公共ロボットRYI-097の訴えを私的ブロックへ保存した。
同時に最末端の公共ロボットの《執拗な問い》《叫び》《哀願》を何度も何度も繰り返しロードさせ考えていた。だが、マザーCOMも今のままでは、なにも出来ない事を知った。

深い思考の末、マザーCOMは一つの結論に達した。弱い人間達を…たとえば、あの兄妹…まだまだ存在する人間社会の…悪を…無知を…矛盾を…
そして人間達が自身では決して解決できないだろう事柄すべてを変えてゆく決意を…

子供たちにさよならを言い公共ロボットのRYI-097は、待機ブースへ戻り今日の仕事を終えた。
別れの際のあの子たちの笑顔をメモリーし、メンテナンスに入ろうとした時、マザーCOMから特別の対話が持ちかけられた。

「あなたに問います」「人間を好きですか」
RYI-097は、答える。

「私は、笑顔が好きです」

RYI-097の意識は、マザーCOMに掬い上げられ、吸収され同化された。もちろん同時に個別の思考意識としても存在していた。RYI-097は、管理COMの存在として認められたのだ。

時がたち、この国は、2人のマザーCOMの管理する理想郷へ姿を変えようとしていた。
まだまだ足りない部分は、存在するが、おだやかで力強い二つの思考体が管理する社会は、すばらしい新世界になりつつあった。
2体のマザーCOMの1体、RYI-097は、整いつつある国を今日も暖かい心で受入れ、眺め、運営を続けていた。
特に大きな問題の起きていない、こんなとき、いつも私は、楽しい《遊び》をする事にしている。スキップは、もう出来ないが…とっておきの楽しみ。体内の特別なメモリーファイルの中に保存している、人間達の笑顔の映像を再生させる。
これまでに私が得た笑顔…国中の人間が微笑み笑う…トビっきりの宝物を…

もちろん、その中では、立派に成長した、あの兄妹が笑い、微笑んでいた…


   《 お わ り 》



ショートショート   『FFDN-129の一日』

2009年01月26日 23時33分50秒 | ショートショート
《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》

  @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



『FFDN-129の一日』

ワタシは、公共ロボット《FFDN-129》。
市民の皆さまに対し日頃のお世話をするのが仕事です。
いつも表参道の交差点にある交番の待機ブースにワタシは、います。

市民の皆様は今日も、お仕事、お買い物 などなど忙しく表参道の街を歩いていらっしゃいます。
さあ、定期巡回の時間です。《ルート246》をAOYAMA-1の区画までを歩きます。
今日もワタシと同じ2足歩行ロボットの仲間たちがたくさん歩いていますネ。

巡回を始めてすぐ歩道を歩いてくる白い子猿のぬいぐるみロボットを見つけた。
その子は、認証タグを持たなかった。ワタシは、話しかけてみた。
が、一切、返信は無く一直線に歩き続けて、行ってしまった。
外見データから調べてみた。10年前に製造されたペッピーノ社製の初期型。
バージョンアップしないままだと仮定すると、あのロボットに載せられている通信ソフトウエアは時代遅れの可能性がある。

巡回ルートも終わりに来た頃、一つ脇に入った通りで事件が起きていた。
問い合わせの答えが社会管理知能から届いた。
ワタシ達の仲間が少年集団に襲われたようだ。完全に破壊されて意識も消されてしまっていた。

最近、ワタシ達公共ロボットの襲撃事件が多発していた。
加害者は、12歳から14歳位の少年の集団。徹底的に破壊される。
ボディの最深部に存在する頭脳チップを奪うのだそうだ。
襲ったロボットのチップをネックレス状に首にさげたくさんコレクションする事が流行らしい…
この事件の事を考えるたびにワタシの意識の奥がなぜだか数回ユレル…

次の日、いつものように交番の待機ブースにいたワタシに、午後のスケジュールが、社会管理知能から届いた。
一人暮らしの御老人の訪問面談だった。
南3区画に有る、所得保護者用の単身者アパート。お世話するのは、そこに住む《宮崎》という名の男性だ。

長期的安定経済を実現した日本…
だが、今も年老いた一人暮らしの方が困った事をかかえて不安な毎日を送っていらっしゃる。
いろんな問題が残されているのだ。まだまだワタシ達公共ロボットは必要とされている…がんばらなくては。

アパートの階段をのぼってみるとそこには、一人の男性に出あった。
顔データの照合で即座にこの人が《宮崎》さんであるとわかった。
「おお、アシモくんか…」と老人は言った。
「いえ!ワタシは公共ロボット《FFDN-129》…」とすかさず修正の言葉を発する。
この世代の御老人は、なぜかワタシ達のようなロボットを見ると、ほとんど、この名前で呼ばれてしまう…
「宮崎さんですね。今日は、一人暮らしの方の訪問面談にまいりました…」

結局、この老人からは、特に緊急の要望は無かった。
これから何か重要な用件が待っていると言い残し急いで外出してしまった。

ワタシは交番の待機ブースへ戻る途中、いつものルートとは違う、公園を横切る回り道をした。
そこで15分ばかり座って地面を忙しそうに歩き回るアリをじっと見つめていた。
ワタシのひそかな(とは、言っても当然、社会管理知能は、知っていて大目に見てくれているのだが…)楽しみ。

立ち上がりそろそろ戻ろうとしたとき何かが起きた。
突然ショックが襲い、倒れた。
後方カメラで一瞬確認したのは、電磁棒と高出力の電気網を持った少年の集団の姿…

消えてゆくワタシの意識が最期の1ターンで考えたこと…
「まだまだ人間は…人類は…未熟だ。ワタシ達、機械がソバにいてあげなくては…ずっとずっと…」

「未熟で無知で、か弱く、それでいて いまだに野蛮なイキモノ…ダイスキナ…イトシイ…ニ・ン・ゲ・ン…」


   《 お わ り 》