蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

『橋下徹回顧録』

2016-08-22 19:19:31 | 日記
『橋下徹回顧録』は、氏の没後一年を記念して出版されました。
 「風雲児」と持ち上げる人も多く、一時は国政政党にまでなった「維新の会」ですが、結局は、金の問題で四分五裂、内部告発から裁判沙汰となり、「泥仕合」と書く週刊誌もあったほどです。
 大阪人の中には「自虐ネタ」として使っている人もあるようですが、府民の体質と言っていいのか、何事もなかったかのように、話題に乗せる人もいないようです。
 道頓堀の付近で、マイクを向けて、「あの・・橋下さんについて・・」と言ったとたんに、手を振って足早に去っていく人が多いようです。
 一時は、渦中にあった人ですから、「日本の政治史の中の一断片を知ることのできる史料」として読んでみた人も多いようですが、全360ページの中の大半が自己弁護と(弁護士だけに)、他のメンバーへの批判に終始しています。一枚岩と思われていた、松井一郎氏への罵倒が20ページにわたって続くという有様。
 「俺が当選し、知事にも市長にもなれたんは、大阪府民に人を見る目がなかったいう事で、ただ、おもろかったらええやん」という風土のなせる業だったかもしれん」(p340)という箇所は、本音が現れているかもしれないと思って読みました。

『栄光の記録』

2016-08-21 15:48:15 | 日記
オリンピックもすでに終盤を迎えている。この本は、行われたすべての競技で選手に与えられた金・銀・銅のメダルのレプリカを作成、再生装置にセットすると、試合の模様、観客の姿、選手の成育暦、日常の生活ぶりを立体映像で楽しめるようになっている。臨場感は抜群であり、高飛び込み、水球などでは視聴者も実際に水を浴びるような設計になっているので、付属のレインコートを着用することが必要である。
 今年から取り入れられた太陽風を利用した地球・火星間のヨットレースの模様は圧巻で、隕石の直撃を受けながら最後まで完走をあきらめなかった選手に対して贈られた白金のメダルはまさに感涙もの。全人類が火星に移住してから二十年を記念して開かれた大会だけに、懐かしい地球の映像に涙する人も出るかもしれない。

人口増加

2016-06-27 00:35:16 | 日記
 ある国で、甚だしい人口増加が発生した。
 理由はいくつかあるのだが、主なものをピックアップしてみよう。
 一、コウノトリが赤ちゃんを運んできた。
 二、キャベツの中から赤ちゃんが誕生した。
 三、男女が手をつないで歩いただけで女性が妊娠するようになった。

 まさに、「産めよ、増やせよ、地に満てよ」状態となってしまった。
 この状態に直面した国は、衆知を集めた。小さな行政区単位で、年齢制限を取っ払って、希望者、発言したい人、提言したい人がまず集まった。小学生から、90歳の老人まで。怒号が飛んだりもしたが、なにせ人口急増という現実にいかに対応するかという喫緊の課題が突きつけられる中で、傍観者的、非現実的、評論家的な意見は淘汰された。

 いくつかの事が決定され、実行された。

 一、軍事費の大幅削減。災害に備えての重機は増加したが、戦車、戦闘機などはすべて購入予算は凍結され、燃料費もゼロ査定された。
 二、企業、富裕者に対する課税は強化された。もちろん、「出ていく」と声明を発した個人、企業はあった。しかし、それを実行した個人と企業とは案   外少なかった。いったん出て行ったら、二度と帰ってこれないという法律が制定され、墓参も不許可となった。そして、資産はいったん凍結され    た。企業責任者は資産の構成、隠し財産、課税回避地にある資産について拘留されて徹底的に査問を受けた。国税庁の職員も増加した。
 三、児童福祉、教育にかける予算は大幅に増加され、それに携わる人々の給与と労働環境は改善され、労基署の職員数も増やされた。
 四、新しい父と母とには、定期的に悩みの相談の聞き取り、サポートが与えられた。

 この現象は20年続いたのちに、ぱったり、通常の形に戻った。愛し合って結婚し、二人ないしは三人の子供を出産し、子育てについてのサポートとアドバイスを十分に受けたお父さんとお母さんとが育児を行った。経済的基盤もつつましやかではあるが、十分なものが保証された。

 とてもまともな国が出来てしまった。

億万長者になったんですが

2016-04-27 20:06:13 | 日記
 先々週、宝くじが当たった。二億円。で、どうせあぶく銭と思って、競馬場に行って、5レースにそれぞれ一千万づつつぎ込んだ。5レース中3レースで万馬券。
 家に帰って考え込んだ。まず、腹が減っているから何を食べるか。カップヌードルのシーフード味と、ローソンで買ったイナリずし。
 六畳の居間兼寝室兼勉強部屋に、札束を敷き詰めた。その上に布団を敷いて寝た。
 七時にアラームがセットしてあるので、起きて、賞味期限を一日過ぎたおにぎり(これは、ファミマで買った)と、飲むヨーグルト(これはローソン)の朝食をとる。
 七時半になったから、背広に着替え、リュックサックに教科書を入れる。えーっと今日は、3時間目に倫理、4時間目に日本史B。少し早いけれど、出勤して「天明の飢饉」のところをもう少し調べておこう。札束から、2枚だけ抜いてポケットに入れ、あとの札束は、押し入れの中の段ボール箱の中に入れる。段ボール箱5つが満タンとなった。
 どこかで読んだんだけど、宝くじの一等があたった人の中で、33%の人は仕事を続けているという事を思い出しながら、ドアのキーを閉めた。


タックスヘイブンのススメ

2016-04-23 00:03:03 | 日記
 日本は、「タックスヘイブン」への道を歩むことを宣言した。それも、「パナマ文書」で明らかになった世界の権力者オンリーという路線は取らない。
 ウリは、「誰でも使えるタックスヘイブン」。つまり、だれでも、年齢も国籍も問わずに、年間一万円支払えばペーパーカンパニーが創設でき、法人税、所得税、固定資産税は、タダみたいに安い設定となっている。買い物袋を抱えて、一円でも安い卵を売っているスーパーを血眼になって探している大阪のおばちゃんも、正月親戚中の人たちから5万円というお小遣いをせしめた小学生も、アメリカ人も、パプアニューギニアのオッチャンも、この制度を利用することとなった。
 最初の一年間でペーパーカンパニーを登記した会社と個人は2億に達した。日本の国には、2億人×1万円=二京円という天文学的な金が転がり込んできた。日本人一人当たり年間500万円支給しても、500兆円で済む。消費税もなくなった。