南西諸島貝殻学入門
-024
ソデガイ-01
スイショウ貝超科・ソデガイ科 Strombidae
先日、貝を整理してみましたら、以前から同定できなかった貝の正体が、偶然分かりました。
太平洋岸の珊瑚海岸の砂浜に落ちていた貝
ゴホウラ・護宝螺 120x70mm
初めはまったく同定できず、ほって置かれたのですが、伊子茂という集落の船待合室の貝の展示コーナーに展示してあった、下の写真を何の気なしに見ていて、この貝の正体が分かりました。
結果的には<ゴホウラ・護宝螺>の幼貝でした。殻の中央に<ツメタガイ>に殺された(穿った穴がある)ようです。この大きな貝を殺したツメタガイはどれだけ大きかったのでしょうか。
ゴホウラの幼貝から多少成長した貝を採取しました。
180x110mm
未だ、この貝の完品は手に入れておりませんが、幾分磨耗した貝は下記のとおり。
ゴホウラの成貝・180x140mm
唯、<ゴホウラ>には<ヒメゴホウラ>というのがあるので、最初にご紹介した<ゴホウラ>はそれかもしれません。いずれにしても幼貝ですね。Topの図の5番の貝。
アツソデ
ゴホウラと良く似ている貝はもう一つ。<アツソデ>です。同じ科ですから当たり前のようにも思えますが、本当に良く似ている。奄美群島一帯の特産です。
スイジガイの幼貝
同じソデガイ科の<スイジガイ>と殻の模様がよく似ております。
イボソデ・80x50mm
以前はまったく<イボソデ>の完品を収集出ませんでしたが、最近は簡単に手に入れることができます。場所は秘密ですが。先ほどの<ヒメゴホウラ>によく似ております。
ヒメゴホウラ イボソデ
これらの貝は「スイショウガイ超科」<ソデガイ科>の仲間達ですから、類似性があるのは当たり前ですが、同じ仲間の<クモガイ>、<サソリガイ>、<スイジガイ>とも、基本的な部分は確かに同じです。殻の螺頭と水管や触指などの出る部分です。
「スイショウガイ超科」<ソデガイ科>・Strombidae・(Conch shell)
日本産のソデガイ科の貝は38種です。加計呂麻島の全ての浜辺で無造作に転がっている貝と言えば<マガキガイ>ですが、これも同じ仲間です。近所の方達は食用貝として、捕獲するので人気が有るようですが、筆者は他の貝を収集する場合に、邪魔なので迷惑な貝に一つ。この貝の殻の形はユニークなのが多いのと、奄美群島には非常に多い貝の一群です。
ちょっと一服
「話の喫茶店」
この貝は何でしょうか?
近所の船着場の待合室の中の、デスプレーに並べてある貝の中に見つけた一品。下のカタベイガイの仲間(リュウテンサザエ科)だと思うのですが、棘が凄い。今まで見たこと無し。鋭い棘が生えております。こんなのが近くの海に居るなんて・・・
カタベイガイ
HPより掲載
HPより掲載
HPより掲載
キナノカタベイガイ
タカラガイ・宝貝の世界
「ヤクシマダカラ」 -02
先回は実際に自ら蒐集した<ヤクシマダカラ>の一部をご紹介しましたが、
今回も残りの貝を掲載して見ましょう。
最もオリジナルなヤクシマダカラ
65x45mm
海中で収集した宝貝ですので、殻の状態が良いまま残っております。
少し小型ですが、完品です。微妙に殻の模様が異なっております。
殻口
<ヤクシマダカラ>で日本近海で蒐集できるタカラガイには、A・「ヤクシマダカラ」、「ホソヤクシマダカラ」、B・「ヒメヤクシマダカラ」、「キッコウダカラ」があります。Aグループは見かけが同じで、分布も重なっているので、見分けが付かないのも事実です。上記の4個は正しい同定ができません。
下は<ヒメヤクシマダカラ>ですが、<キッコウダカラ>と非常に良く似ていて、殻口にある茶色の斑紋の有る無しが決め手のようです。
ヒメヤクシマダカラ
殻口のところ茶色の斑紋がないので、ヒメヤクシマと同定。
島の太平洋岸で採取。
模式貝
ヒメヤクシマダカラ
ヒメヤクシマダカラ(インドネシア)
これだけ殻の模様に多様性あり。
キッコウダカラの茶色の斑紋
殻の表の模様だけでは見分けが付かないのです。
キッコウダカラ
次回は日本以外の地域の<ヤクシマダカラ>をご紹介します。
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