南西諸島貝殻学入門
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静かな珊瑚礁の海岸
静かな太平洋岸の珊瑚礁の拡がる湾の中の砂浜。大潮の干潮時間ともなれば、沖合いまで潮が引き、珊瑚の岩礁が海面に迫り出して来ます。この時ばかりは三々五々近所の人達や、遠くからも潮干狩りに老若男女を問わず、沢山の人達が訪れます。
今年は台風が沢山南西諸島を通過して行きました。現在まで29号まで発生。アベック台風も多かったのが、今年の特徴でした。
台風が通過してから数日後、浜に何時もの通り出かけたのですが、残念ながらご覧の通り。最近は余りヒットに恵まれません。砂浜に厚く砂が覆ってしまっているのがその原因のようですし、貝そのもの浜に上がっておりません様で。
貝の収集の戦果
それでも何かしら良いものを・・・・ご紹介!
白化した珊瑚
漂白剤に就けて浸しておくと、ご覧の通り美しさ。ちょっとした飾りになります。
サザエ
棘がわずかに付いております。少し波の強めの海域に住んでいるサザエ 。中央のくびれの部分に<ヘビガイ>が纏わり付いています。
ナデシコ
左右で一組です。突起部分が左右対称になっていません。拾った時は生態部分が付いていた状態ので、もともと一つのものです。思わぬ発見でした。貝殻の模様も違いますね。これも始めての発見でした。唯拾うだけでなく、注意深く観察することが肝心かも。
ヒラマキカタベイガイ
この貝の正しい置き方はどちらでしょうか?
「鹿児島の貝」(行田義三 著)を調べてみますと、左の置き方が正しい。さすればこの貝は左巻きになります。巻貝は圧倒的に右巻きが多いので、珍しい貝殻です。
完品に近い磨耗の少ない貝です。
タカラガイ
<ホシキヌタ>と<クチムラサキ>ですが、左下の小さい固体は綺麗です。
<ウシノツノガイ>と<ヒメチョウセンフデ>
残念ながら先端がボッキリ。結構磨耗しています。ヒメチョウセンフデはツメタガイに殺されたようです。縊れの所に小さな穴が開いてますね。可哀相に!
ちょっと一服
「話の喫茶店」
クモガイとスイジガイ
クモガイとスイジガイは南西諸島の代表的なソデボラ科の仲間。成貝になるとハッキリ貝殻の形態が違うので、間違うことは無いのですが、幼貝の段階では良く似ています。
下の写真はスイジガイの幼貝と成貝ですが、余り大きさに違いがありません。棘の有る無しで見分ける訳ですが、これらは同じスイジガイでも違った種類のようです。にも拘らず図鑑ではその区別は詳しくは記載されていません。なぜでしょうか?
スイジガイ
A B C
BとCは殻の模様の様子が同じようですが、Bから成長してCにはなり得ないと考えれます。AからBへの変化は有りえる様ではありますが・・・・何故このような事が起こりえるのかは不明です。同系列の異種なのでしょうか。
クモガイ
両方ともクモガイですが、スイジガイと同じく同系列の中の異種類でしょうか。
下の写真はクモガイの破片です。
殻の模様の様子から下の写真の右側と同じでしょう。
クモガイ
貝殻の研究は博物学的な色彩が強い傾向があるようですが、飼育などを含めて生態を細かに研究することも、今後より必要かもしれません。水中に潜って完品ばかりを獲っていても、なかなか貝の細かい事共は把握し難いかもしれません。特に海岸で収集する、所謂、偶然から思わぬことを知る場合もあります。貝殻の単なる蒐集では単なる物集めに終わる危険があります。
直に自然に接して自然から教えて貰うという、謙虚な態度が必要かもしれません。
定点観測は自然に接する、良い試みなのかもしれません
タカラガイ・宝貝の世界
先回までは、日本と世界のタカラガイの名宝をご紹介してきましたが、如何せん余りの高価な貝殻ゆえに、実物は所有していませんでした。それが故、隔靴掻痒の感がありました。
今回からは実物を写真撮影しながら、身近な代表的な「タカラガイ」をご紹介したいと思います。
「ヤクシマダカラ」 -01
ごく一般的なタカラガイと言っても、世界中には様々なタカラガイが有ります。その中で日本の中でも有名かつ一般的なタカラガイとされる貝に<ヤクシマダカラ>が有ります。
水中で生きたままで捕獲したもの、浜で拾ったものなどが大きく分かれますが、浜での採取のものは磨耗が進んだり、日光の紫外線で貝殻の模様が褪せてしまったものなど、ちょっと見にはなかなか同定が難しくなったものも有ります。
上の写真は6個が海中で、2個が海浜で収集したものです。
A- ホンヤクシマダカラ(本屋久島宝)・・インド、フィリッピン中部以南、太平洋(オーストラリア北部)
B- オオヤクシマダカラ(大屋久島宝)・・インド洋西部
C- ホソヤクシマダカラ(細屋久島宝)・・八丈以南、インド洋西部、西大西洋に分布
D- ヤクシマダカラ(ヤクシマダカラ)・・太平洋アジア地域
E- グレーヤクシマダカラ・・紅海、西インド洋
F- ニセヤクシマダカラ・・インド洋、インドネシア
G- ヒメヤクシマタカラ(姫屋久島宝)・・インド、太平洋
H- キッコウダカラ(亀甲宝)・・中部太平洋
・・・以上8種類もあります。
上の写真を見ると、同じように見えてもなかなか微妙に違うのです。同定は慎重にしなくては・・
いろいろなヤクシマダカラ
次回からは、各種の<ヤクシマダカラ>を、実際の現物を含めて見てみましょう。
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白洲正子文学逍遥記
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