茜ちゃんの生命科学入門
細胞生物学&脳科学 -38
謹賀新年
新年明けましておめでとうございます
集団で避難する子供たち(コネチカット州のニュータウン)
「米国のコネチカット州のニュータウンの小学校内で皆さんもご存知の惨劇が起きてしまいました。子供20人(小学一年生-男8・女12)、大人(女性職員)6人が死亡」という痛ましい事件が起きてしまいました。先回は余り詳しい情報がわからなかったのですが、時間が経つにつれていろいろの情報が、日本にも飛び込んできました。
英国のBBCの情報から、書き抜いてみましょう。
1- 容疑者はアダム・ランザ(Adam Lanza)(20才)。*警察は同日、主要な武器は対人狙撃に用いられる軍事用の「ブッシュマスター0.223ライフル(Bushmaster .223 rifle)」だったと発表
2-アダム・ランザは事件のあったコネティカット州ニュータウンに母親と暮らしていた。事件のあったサンディ・フック小学校からはおよそ8キロ。いくつかの報道は、アダム自身子供のころにこの学校に通っていた。
3-アダムはニュータウン高校に進んだが、友人は作らなかった。ABCニュースの報道によると、母親が学校の方針を気に入らず、息子を退学させて自宅で教えていたという。
4-アダムは知性にすぐれた少年だったが、内向的で神経質だった、というのが同級生たちに共通する記憶だ。ある元クラスメイトがNYTに語ったところによると、「アダムが誰かと一緒にいるところは一度も見たことがないです。誰と仲がよかったといったこともまったく、思いつきません」
5-元クラスメイトは、「自分が知っている中でもこんなに頭のいい人はいないんじゃないかというくらいに頭がよかった。天才だったのではないか」と語る。
6-スクールバスの運転手をしていた女性は、ランザ兄弟のことは覚えているという。「子供はいろいろありますが、あの兄弟に関しては一度も『困ったな、騒ぎになるな』と思ったことはありません」とハートフォード・クーリエ紙に語っている。
7-アダムのおばのマーシャ・ランザは、AP通信に対し、アダムの両親はしっかりした人たちで、息子に必要ならば専門家に相談することはためらわなかっただろうと語っている。(※ つまり、精神科には相談していないということ? それでライアンは弟について「アスペルガー」だとか「自閉症」だとか言ってるの? ううむ……家族が問題含みなのか)
8-両親は3年以上別居したのち、2009年に離婚。父親のピーターは同じ州内のスタムフォードに転居し、3年後に再婚。家族がそれまで暮らしてきた家は母親のナンシーが引き続き居住していたが、そこでナンシーは息子に殺害された。ナンシーは、教師としての勤務を続けていた。
9-アダムの兄で24歳のライアンは、コネティカット州のクイニピアック大学を卒業し、ニュージャージー州のホーボーケンに引っ越している。ライアンは大手会計事務所に勤めている。弟とは2010年以来連絡を取っていないと話している、と米メディアは報じている。
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BBCのコメントが大分長くなりましたが、文章から浮かび上がって来る容疑者の人物像が垣間見えてきますね。上の文章の赤字の文章に注目してください。
先日来、学んできた<自閉症>の疾患患者の子供の特質に当てはめると、
A・ 「自閉症」の疾患がある。 B・ 「アスペルガー症候群」の疾患がある。C・他の精神的疾患の兆候がある。 というように考えられます。容疑者の兄が、<弟は自閉症とアスペルガー症候群である>と語ったという別の情報もあります。
<同年年齢の子供と付き合う事ができない><知性的にたいへん優れていた><内向的で神経質でいつも孤独がち>など、教科書通りの疾患が有ります。アスペルガー症候群か、サバン症候群か、広汎性発達障害かは、専門家でなければ、正確な判断は難しいでしょう。
*1 ただ、母親と容疑者と間に精神的な葛藤を起こすような問題があったようです。しかし、それだけで実の母親を殺害するでしょうか。
*2 また、かって通学していた自宅から8kmの距離にある小学校に、わざわざライフルなどを携えて子供たちを何故殺しに向かったのか。
*3 生徒や教員に銃弾を100発程度も撃つという、残虐な行為が何故出来たのだろうか。それほどの憎しみが容疑者に当時有ったのか。
此処から先は専門家の領域ですから、筆者は余り書きたくは無いのですが、自閉症とアスペルガー程度でこんな残虐な殺人が出来るかどうか・・・とても疑問に思います。 上記の疾患の他にCPTSD(複雑性PTSD) の疑いも有るのではないかと感じます。
此処から先は筆者の推論ですから、その点はご理解ください。また、併せて読者の方もお考えください。次回は新たな情報を加味して、CPTSDについて書きたいと思います。
「変化する自閉症の姿」
* 橙色は「ウタ・フリスの自閉症入門」の文章です
自閉症小史
自閉症と言う精神的疾患は昔から現実の世界には存在したのですが、自閉症と言う名称は100年前には存在しなかったそうです。この精神的疾患の名称を付けたのはレオ・カナー(Leo Kanner)とハンス・アスペルガー(Hans Asperger でした。
- ジョンンズ・ホプキンス大学の児童精神科医であるレオ・カーナーが「早期幼児自閉症」として1943年に報告した。カナーは、「聡明な容貌・常同行動・高い記憶力・機械操作の愛好」などを特徴とする一群の幼児に対し、統合失調症(精神分裂病)の一症状を表す用語である「自閉」という言葉を用い、「自閉症」(オーティズム)と名づけたのである。カナーの報告した子供たちは、現在の低機能自閉症に当たるとされる。なお、カナーは自閉症の研究で自説に反する新事実が発見されると、自説の誤りを認識し訂正していった。翌年の1944年、ウイーン大学の小児科医ハンス・アスペルガーが、カナーの報告よりも一見軽度ではあるが、共通点がある一群の子供たちのことを報告した(両者に交 流はない)。当時ヨーロッパは大戦中であり、オーストリアは敗戦国側であったため、この報告は戦勝国側では1980年代まで脚光を浴びることはなかった。アスペルガーの報告した子供たちは、現在の高機能自閉症に当たるとされる。・・・Wikiより
自閉症・・・「低機能自閉症・高機能自閉症」
レオ・カーナー
アメリカ合衆国で初めて児童精神科医を名乗った医師であり、彼が初めて執筆した『児童精神医学』(Child Psychiatry,1935年)は、英語の教科書としては、子どもの精神医学上の問題に初めて焦点を当てたものであった。1943年に発表され、多大な影響を及ぼした論文「情動的交流の自閉的障害」("Autistic Disturbances of Affective Contact")は、ハンスアスペルガーの著作と並んで、現代の自閉症研究の基礎となっている。・・Wiki
ハンス・アスペルガー
ハンス・アスペルガーは先般来から何度も出てくる精神的疾患・アスペルガー症候群の定義を最初に著しました。しかし、「アスペルガー症候群」という術語を初めて用いた人物は、ローナー・ウイングでした。論文「アスペルガー症候群-臨床報告」が1981年に発表されました。この時に1943年にカナーが発表した従来の自閉症モデル(低機能自閉症)に異議を申し立てた。これが「高機能自閉症」です。
皮肉なことに、ハンス・アスペルガー自身も子供の頃、彼の名に因んだまさにその状態の特徴を現していた。彼は人と距離を置いた孤独な子供で、友人を作ることが困難だったと述べている・・・Wiki抄訳
* アスペルガー症候群については、この後詳細に書いてみましょう。
1964年・・・ベルナード・リムランド・・・自閉症に関する著書が発行。
1971年・・・「自閉症と小児統合失調症誌」 → 「自閉症と発達障害」
1990年・・・アスペルガー症候群(社会的障害があると同時に、難解な興味を持つ、とても知的な人)
偉大な先駆者たちの足元で
<ウタ・フリス>は著書の中で学問の先駆者として、「マイケル・ラター、ローナ・ウイング、ビート・ハームリン、二-ル・オコーナー」の3名を挙げております。その中で、
ローナ・ウイング
ローナー・ウイング・・Lorna Wing
「自閉症の娘を持つ母として、彼女は自閉症に精通していました。・・・障害を持つ子どもの全住民調査から、ウイングは3つの決定的な障害があることに気が付きました。
自閉症の中核症状
1・ 社会性の障害・・・・ 対人関係の障害・・・孤立型/受動型/奇異型
2・ コミュニケーションの障害・・・・言語機能の発達障害
3・ イマジネーションの障害 ・・・・こだわり行動と興味の偏り、固執性
これらは自閉症スペクトラムの上の全てに適用できます」
じょうきの3つの要素を『ウィングの3つ組』と呼ばれております。
以上のことから彼女は、発達障害の中の「自閉症スペクトラム」の研究に携わりました。多数の著書、研究論文を書いている。Asperger's Syndrome: a Clinical Account(アスペルガー症候群・1981)は、先に紹介したハンス・アスペルガーの研究成果を広く普及させるきっかけとなった論文であり、またアスペルガー症候群という用語を初めて導入した先駆的なもので精神医学界に大きな影響を与えました。
最後の今までの纏めとして、厚生労働省・「発達障害者支援法」による、発達障害をもう一度掲げて見ます。
* サバン症候群 ↑
・・1-自閉症
・ A- 広汎性発達障害・・・・
発達障害・・・ ・・2-アスペルガー症候群
・・3-その他の広汎性発達障害
・ B- 注意欠陥多動性障害
・ C- 学習障害
サヴァン症候群(savant syndrome)とは、知的障害のある者のうち、ごく特定の分野に限って、優れた能力を発揮する者の症状を指します。狭義におけるサヴァン症候群は極めて少なく、全世界で数十名程度しかいないとされております。
アスペルガー症候群やサバン症候群については次回にご紹介します。
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