南西諸島貝殻学入門

分子細胞生物学と博物学の分野に跨る「貝類学」を、初歩から学んでみましょう。美術学や数学的な見地からも興味をそそられます。

茜ちゃんの生命科学(細胞生物学&脳科学)入門-39

2013年01月12日 | 生命科学

 

茜ちゃんの生命科学入門

       細胞生物学脳科学 -39

 

 

 

 

 昨年の12月の中旬にアメリカのコネチカット州のニュータウンで起こった痛ましい銃乱射事件は、その後余り新しいニュースも日本には入ってきませんので、もう遠い過去の話題になって、日本の市民の記憶にも残っていないのではないでしょうか。

でも、本当に痛ましい事件でした。アメリカからの情報では アダム・ランザは自閉症気味であり、多動性障害ADHD)と診断されており、様々な専門機関にたらいまわしにされて薬物療法を受けていたとのことです。

                   アダム・ランザ

 2012年7月に発生した、アメリカ・コロラド州のオーロラの映画館で起きた銃乱射事件の犯人(ジェームズ・ホルムズ)は70人もの死傷者を出しました。この容疑者も精神障害を抱えていました。 

                      ジェームズ・ホルムズ

 

そして、有ろう事か、両事件の父親がどちらも世界の銀行業界を震撼させたLIBOR(ロンドン銀行間取引事件)というスキャンダルに関して証言をすることになっていたのです。こんな偶然は有り得ませんでしょうから、この事件はどうも政治経済の問題が裏面にあるらしく、単なる個人の一般家庭の引き起こした銃乱射事件ではなさそうです。

そのような訳で、このブログの範囲を超えておりますので、この手の問題には触れないこととしましょう。あくまでも医学的範疇に留めたいと思います。いずれにしても、事件の裏には思いがけない事が潜んでおりますので、皆さんも注意しましょうね。

 

 

このコロラド州の事件の容疑者(24歳)も、コネチカット州の容疑者(20歳)も非常に似たようなところが見られます。簡単にジェームズ・ホルムズについて書いてみましょう。

ホームズ容疑者は、カリフォルニア州南部の都市サンディエゴで生まれ育った。高校時代は学業優秀で、同市のウェストビュー高校を特待生で卒業したらしいが、卒業式には参加していないという。どうやら当時から周囲とうまく馴染めない孤独な性格を持っていたようだ

高校卒業後、ホームズはカリフォルニア州リバーサイド大学で神経科学を専攻し、2010年に最優等で同学部の学士号を取得。そのまま学業に専念するべく、コロラド大学大学院の博士課程へと進んだ。事件があったコロラド州オーロラ市には2011年の秋に移り住んでいる

             コロラド大学

順調に科学者への道を辿っているように思われたが、今年6月に入りホームズは突然、大学を自首退学する手続きを始めた。その理由は明らかではないが、すでにこの頃ホームズの頭には、大量殺人の計画が立てられていたようだ

ホームズは、2ヶ月前にオーロラ市内の銃器販売店で最初の拳銃を購入し、それから数週間で、犯行に使用したショットガンやアサルトライフル(AR-15)を複数の店舗から入手した。警察によると、ホームズには犯罪歴がなかったため(過去に1度の交通違反のみ)、銃器購入のための許可が簡単に下りたのだという。

 

さらに、犯行の際に着用した防弾ベストとガスマスク、6000発以上の弾丸などをインターネットから購入していた 

ホームズは今どきの若者としては珍しく、FacebookやTwitterといったソーシャルネットワークを利用していた形成がない。そんな彼が登録していた数少ないソーシャルアカウントの1つが、出会い系サイト「Adult Friend Finder」だ

ニュース・ソース:「ABC News」、「Washington Post

以上がジェームズ・ホルムズの事件前の生活状況でした。アダム・ランザ容疑者とかなり類似点は見られます。いずれも発達障害者で自閉症の症状はありますね。知能は二人ともかなり高いのも共通です。

自己の中に埋没して、周りと交渉したくない性格を持っている。「Adult Friend Finder」は単なる年頃のありえる行動ですから、特に異常では有りませんでしょうね。警察は、ホームズが数ヶ月前から大量の武器や銃弾を収集していたとし、事件は計画的犯行だったとみているそうです。

アダム・ランザ容疑者は片親(母親)でした。この点は違いますが、二人とも犯罪歴も無い、一見まじめで大人しそうな感じの青年であったようですが、どの辺りから突然変わってきたのでしょうか。何故、大量殺人を夢想するようになったのでしょうか。

二人とも天才だとか、大学を首席で卒業しているようですから、アスペルガー症候群的な部分は有ったと思います。

実際にアダム・レンザもジェームズ・ホルムズも事件前まではどちらも銃に使い慣れいませんでした。たとえ、米軍の多くのエキスパートですら、あのような銃撃はできません。それでは彼等はどこであのような銃撃の訓練をしたのでしょうか。あのように正確な銃撃を行ったのには何らかの策略があったのではないでしょうか。

彼等は精神病患者と診断され、当局による薬物投与やマインドコントロールにより、このような残酷な銃乱射事件を起こしてしまったのではないでしょうか。2つの事件の手順やシナリオがあまりにも良く似ています

 

ニュース・ソース:「ABC News」、「Washington Post

 

正確なことは解りませんので、上記の記事の評価は出来ませんが、マインドコントロールと言うような犯罪行為があったかもしれません。そうなれば彼らは犠牲者になってしまいます。

  

  

  「自閉症の子どもが大人になるとき 

* 橙色は「ウタ・フリスの自閉症入門」の文章です

 このブログの過去ブログ-36の<ウタ・フリスの自閉症入門>でも取り上げましたが、これから詳細にサバン・アスペルガー症候群について学んでみましょう。

人間の脳は子どもでも大人でも可塑性という驚くべき能力があり、一時的な障害が発生しても適切な治療や訓練をする事によって、驚くべき回復をして来ることもあります。子供でも初めの内は少々遅れが見られても、時の経過によって追い付いてくる場合もあります。

しかしたいてい、問題のある子どもは問題のある大人になります。子ども時代に見つかった発達の遅れは、多くの場合一生続く知的障害になるのです

ここからウタ・フリスは「サバン症候群」と「アスペルガー症候群」の疾患のある、著名な人を例として挙げ、紹介をしております。

 A サヴァン症候群

1- 映画<レインマン>の主人公はキム・ピーク(Kim Peek 1951~2005) 

2- アメリカの著術家であるテンプル・グランディン(Temple Grandin)

3- 画家・ステファン・ウイルトシャー

 B アスペルガー症候群

1- マーク・ハッドン作<夜中に犬に起こった奇妙な事件」 

 

 

 「サバン症候群」と「アスペルガー症候群」については、何度も何度もこのブログに出てきましたので、障害の名称は馴染みになったと思いますが、資料を良く読んで見ますと、医学的な見地からも少し違った考えもあり、また、法律によっても少し見解に医学とはずれがあるようで、なかなか難解複雑なものです。

まずは、「ウタ・フリス」の見解を先にご紹介して、それから微妙に異なる学説、見解を紹介して行きたいと思います。

               A サヴァン症候群

サヴァン症候群の例として、<レインマン>を取り上げております。かなり有名な映画でしたので、皆さんもご覧になったことと思います。HPの映画でも簡単に視聴で出来ますので、DVDがない方は観てください。

キム・ピーク(Kim Peek 1951~2005)

<「レインマンは自閉症を代表する存在です。しかしASDのすべての人が驚異的な才能を備えた変わり者だが憎めない人物である、と言うわけではありません。実際は全然違います。つきあうのがとても難しい人や、さらなる問題を抱えている人は多いのです。このことははっきり述べておかなければいけませんが、ASDの人の中で本当に驚くべき才能をもっているのは、たったの10%にすぎません・・・・たとえ驚異的とはいえないまでも、並外れた注目的才能をもっている多くの人がいる、ということも指摘しておく必要があります

* ASD・・自閉症スペクトラム障害

 

 

 ダフティン・ホフマン演ずるレインマンの主人公の行動をすべて、サヴァン症候群と認識する事は間違いの元になります。 また、ステレオタイプ的に超能力をもったスーパースター的に認識するのも間違いですね。

映画は所詮映画なのです。この映画のストーリーをそのまま「サヴァン症候群」にあてはめるべきではないと思います。ウタ・フリスはそのことを上の文書で指摘しています。

後述になりますが、ウタ・フリスは「サバンの謎」として、サヴァンについて記述しています。

サヴァンの才能は、言葉を話さない、重い知的障害を持つ人にさえ開花する事があります。この用語はイディオ・サヴァン(idiotos savants)という「愚かな賢者」を意味する言葉から来ており、この言葉から連想されるのは、本来この才能を示す人は、知的能力が大変低く、おそらくとても異常な脳を持っているのだろうということです。後になってこの「サヴァン」という用語は、知的能力はどうであれ、たぐいまれな才能を持つ人に対して使われるようになりました。この才能は自然に獲得され、偶然しか見つからない事が多いのです

 

 

 以上のことから、映画のキャスティングなどの技術で、ある部分がクローズアップされる事が多いので、ステレオタイプ的にこのサヴァンを判断しやすい危険性が有ります。レインマンの主人公のキムピークの実像がすべてこの映画に現れているわけでは有りません。この点は注意が必要です。

WIKIの文章の中に・・<狭義におけるサヴァン症候群は極めて少なく、全世界で数十名程度しかないと思われる>と言う記述もあるのです。50~60億人の全世界の人口比から考えると、サヴァン症候群の疾患者は稀有な存在としてみるべきですね。

 

 

筋萎縮性側索硬化症-amyotrophic lateral sclerosis、通称ALS)は1年間に人口10万人当たり1~2人程度が発症するとされております。これとデータ比較してみてください。ALSはかなり稀な疾患とされては居りますが・・・。

次回からは<サヴァン症候群>と<アスペルガー症候群>について、できるだけ他の資料も使って詳細に考えてみたいと思います。なかなか一筋縄ではいかないですよ!。    

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