茜ちゃんの生命科学入門
細胞生物学&脳科学 -41
お知らせ
「貝の蒐集整理のため、次回は2/16と致します!」
5人射殺容疑で15歳逮捕 米西部、家族に発砲か
またしても、アメリカ・ニューメキシコ州・アルバカーキの住宅内で、15歳の少年による家族の殺害という惨劇が起こされてしまいました。
先回のブログで
銃支持派が導く被害妄想な未来
When Gun Nuts Write Gun Laws
「悪人は善良な人が持つ銃を、非合法かつ暴力的に奪い取る。だから法律で銃の所持・購入を規制しても無駄だ」
と書いた矢先の事でした。MRAの言うように、学校の教員が拳銃を所持して武装しても、何の意味もなさない事が現実の事件で証明されました。MRAはこの事件にはどのように対処すべきと言うのでしょうか。まさか<両親は銃で武装すべき>言うのでしょうか?
オバマ大統領の銃規制法案に、強力に反対表明するグループの精神状態を知りたいですね。コネチカット州の銃乱射事件から、たったのひと月しか経って居りません。遺体にはそれぞれ複数回撃たれた跡があった。現場の住宅には数丁の銃が残されており、うち一つは殺傷能力が高い半自動小銃だとしている。先回と全く状況は似ております。
ハイビスカス
「サヴァンの謎」
* 橙色は「ウタ・フリスの自閉症入門」の文章です
先回から<サヴァン>について書いてきました。 一般的には<サヴァン症候群>と呼ばれますが、ウタ・フリスの自閉症入門では<サヴァン能力>とされております。つまり、自閉症の中の特異的な能力である事を示しております。単独にサヴァン症候群という医学上のカテゴリーはないという考え方です。
長崎大学の医学講座も紹介しましたが、ここでもサヴァン症候群なる医学用語は出てきません。上記と同じ考え方です。微妙な事ですが、このあたりを理解してください。
キム・ピーク
ダスティー・ホフマン
キム・ピーク(Kim Peek・1958~2009)はいろいろな情報媒体で取り扱われ、サヴァン症候群・サヴァン能力の代表的な存在でした。惜しくも2009年に心臓発作のため死去されました。
先回も記述しましたが、「知的障害のある人は、自閉症であろうとなかろうと、通常寿命は短い」の通り、心臓疾患の自覚症状を他人に、告知できないと言うことが悲劇に繋がったのでしょうか。
自閉症でサヴァン能力を持つ人として有名な方達としては
1- アロンゾ・クレモンズ(Alonzo Clemons) アメリカの粘土造形家
アロンゾ・クレモンズ(Alonzo Clemons) ↓
写真(二次元画像)を見ただけで、立体の馬を粘土で指先だけで作り上げてしまう。ところが人間像は不得手だとか? 言語も僅かしか話せないという知的障害を持つ。(いずれ詳しく紹介します)
2- マット・サヴェッジ(Matt Savage) アメリカの自閉症ジャズマン
以前にもこのブログで紹介しましたが、ジャズの専門家が21世紀の代表的ピアニストになると予言しています。ピアノ演奏や音楽の教育を受けずに、自分で短時間で独学でマスター。正に驚異的な子どもですが、学校での生活は自閉症患者の特徴が出て、自宅学習状態とか。(いずれ詳しく紹介します)
マット・サヴェッジ(Matt Savage) ↓
この他何人も有名な方は居られます。ここで、<サヴァン>について纏めてみましょう。
A-「知的障害のある者のうち、ごく特定の分野に限って、優れた能力を発揮する者の症状」を<サヴァン症候群>とか<サバン能力>と呼ぶ。
B-<脳の器質因にその原因を求める説>、<自閉症障害のある者が持つ、得意な認知をその原因に求める説>がある。
男女比では男子が各段に多い。男性ホルモンの一つ(ステロイド系)・テストステロン(testosterone)の影響を原因とする説もあります。このホルモンの影響で男性型優位の脳が形成されるとか。
特異な能力
1- カレンダー計算(特定の日の曜日を言える)。簡単な計算すら出来ないのに、過去の任意の日の曜日や天候を記憶している。不思議な事に交通事故で頭部を傷害してから、この能力を得た者も有る(後天的サヴァン)
2- 映像記憶 航空機から下界を眺めた(40分程度)だけで、キャンバスに正確なスケッチを細部わたって、描く事ができる。逆に、航空写真なら描けるが、風景だと出来ないなど。個人差が有る。
3- 書籍、電話帳、円周率、周期律表を暗唱出来る。素数を言う能力。
4- 並外れた計算能力(実数Nの50乗など)・・
ルディガー・ガム(Rüdiger Gamm)(独)
試験者がPCを傍に置いて検証。実数NのP乗の計算を、瞬く間にこなしてしまう。答えは正解!試験者も驚くばかり。何故答えられるかは本人も解らない。数字が勝手に頭に浮かんでくるという。MRIなどで計測してみると、常人とは違った箇所の脳の箇所が使われているのがわかるという。
* ある専門家は彼は上記1のケースの能力を合わせ持っているが、ある特定のアルゴリズムに縛られているサヴァンではなく、自分でルールを変えて問題を解決する能力を持つので、サヴァンではないとしている。
83x83=6889 83x83x83=571787 83x83x83x83x=47458321・・83x・・p
5- 動物の写真を見るだけで、粘土で動物の立体を作り上げることが出来る。
それでは<サヴァン能力>の持つとされている、代表的な人物「故・キム ピーク」の脳のMRIの写真を見ながら、彼の解剖学的にどのような脳を持たれていたか、検証してみましょう。
大脳(右側面図)
↑ 小脳
人間の大脳を右側面から見た図です。一番下に「小脳」が見えます。下の図は大脳の各部位の名称と機能です。
左側が正面 ↓
↑ 右側が後頭部
下の図は脳梁を表しています。左右の大脳半球をつなぐ交連繊維の太い束で、左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路となっています。
大脳側面図 大脳正面図
↑ ↑
赤い部分が大脳の中心部に位置する、脳梁 を示している
大脳と脳梁(白い部分)
↓
脳梁
正常な大脳であれば、下の図の上のように脳梁が存在するのが、キム・ピークの場合にはそれが存在しません。脳梁、前交連、後交連がMRIには写っておりません。
正常な脳 ↓
キム・ピークの脳 ↑
MRIの検査の結果分かったことは、1-脳梁の欠損 2-小脳の縮小が見られたということです。小脳の片方が通常より縮小していることから、歩き方がギコチナイという傾向が見られます。
問題は脳梁が欠損したことにより、驚異的なサヴァン能力を何故獲得することになったのかということですね。(通常脳梁が欠損した場合は正常でない場合が多いそうですが、無症状の場合もあるとのこと)
次回は「神経発達障害としての自閉症の脳」etc について、ウタ・フリスの研究結果を学び、上記の疑問を少しづつ解いてみましょう。
* 「ウタ・フリスの自閉症入門」を購入希望の方は、下の文字列をピックしてください。AMAZONに繋がります。ここで購入手続きをしてください。
¥1890
姉妹ブログ
新・サワラちゃんと茜ちゃんの宇宙・素粒子物理学入門
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます