前回は「楽しい子育てが、良い子育て」という固定観念と、そこからはずれてしまったときのストレスについて書きました。
実際のところ・・・経験者なら誰でも知っていることですが、子育てって、いつもいつも楽しいわけじゃありませんよね?
なんといっても、相手は子どもなんです。
子ども、とくに乳幼児の辞書に、「思いやり」「気づかい」「遠慮」の文字はありません。
従って、びっくりするほど心ないことや手ひどいことを、ところかまわず実に平然とやってのけてくれます。
こちらが具合悪いのに、泣きわめいて抱っこをせがんだり。
一生懸命作った離乳食を、食べもしないでぶん投げたり。
あぶない場所で手をつないだら、世にもじゃけんに払いのけたり。
人の顔をふんづけたり、頭をけったり、鼻の穴に指つっこんだり、もしかしてDV? こんな仕打ち、生まれてから1度もされたことないわ!
・・・なんて叫びたくなるような出来事の、オンパレード。
もちろん、彼らの辞書には「最高の笑顔」や「掛け値なしの信頼」などはしっかり載っていますので、ふだんはそれで帳尻を合わせているわけですが。
でも、そういうものって、受けとる側の健康な目とか手とかがないと、すり抜けてしまうんですよね。
目が傷ついてたら、よく見えない。手が傷ついていたら、うまく受けとれない。
大人みたいに、背中向けてる人を振り向かせて「さあ見てね、元気が出るから」って教えてあげるようなやりかたは、子どもにはぜったいにできないから・・・。
だから、子育てしていれば、ハッピーになれない期間があったって、ちっともおかしくないと思うんです。
なんだかね・・・世の中全体に「楽しいことが最上」みたいな風潮があると思うのは私だけでしょうか。
たとえばオリンピックに向かうアスリートに、コメンテーターがよく言う言葉「楽しんできてほしい」。
アスリートご本人の「楽しんできます」。
あれは、メダルを取ることが最上ではないとか緊張をやわらげるとかいう意味では、とてもいいと思います。でもあまり何度も使われると、私みたいな人間には、こんな疑問が・・・。
楽しめなんて言われたら、逆にプレッシャーにならないかな?
楽しめない気分の選手も、中にはいるんじゃないのかな・・・。
だって、命がけでメダルを取る決意をしているときに、楽しいなんて思えるでしょうか。
むしろ「つらくて苦しい、だけどオリンピックに行きたい、私は競技が好きだから」みたいな気分じゃないでしょうか・・・。
アスリートと自分の子育てを同列に論じるなんて、図々しいですね。失礼しました。
言いたかったのはつまり、
「真剣だからこそ、楽しめないこともある」ということです。
いい加減なら、つらくなるまでがんばったりしない。
自分が楽になれるように、子どもなんかどこかにあずけて、さっさと逃げ出してしまってますよ。
・・・長くなってしまいました。
しかも・・・この文章に「こうしたら育児が楽しくなる」というような解決策はないんです。
長々と5回も更新して書いたのに・・・解決策を期待したかたがいらっしゃいましたら、本当に申しわけありません。
なにしろ私自身がつまずきっぱなしでしたので、成功談のお話しができなくて。
いま書いている内容も、子どもが2,3歳のいちばん大変な時期には、ぜんぜんわかっていませんでした。
幼稚園や小学校にあがった今だからこそ、分析できているわけで・・・。
ただ、そんな私でもひとつだけ言えることがあるとしたら。
それは「すべては時間が解決してくれる」ってことだと思います。または「すべては子どもが解決してくれる」とも言えるかな。
つまり、子どもって必ず大きくなるんです。
こちらがまるで変わっていなくても、子どものほうがどんどん変わっていってくれるんです。
以前も引き合いに出した、料理が遅いという例で言えば・・・。
うちの子たちは、1人ではまったく遊べない上に兄弟間で遊ぶこともできなくて、しょっちゅう台所に邪魔しにきたんです。
でも、ある日、ふと気づきました。
あれ? 1時間も放ってあるのに、台所に来ない。居間でちゃんと遊んでる・・・。
早く寝かせたくて、毎晩毎晩キリキリしたのに。夜8時過ぎたらぜったい寝かせなきゃって、イライラしながら思っていたのに。
あれ? いつのまにか、8時半でもまあいいや。9時でも・・・うーん、1日くらいまあいっか、もう小学生なんだから。
こっちが成長しなくても。
あっちが成長してくれた。
あとはもう、乗り遅れないようにするだけ。
子どもにおいていかれないよう、立ち止まらずに進むだけ。
だから・・・。
今現在すごく大変なかたは、とにかく今日1日をやり過ごすことだけ考えれば、なんとかなるのではないでしょうか。
体力消耗しないように休んだり、元気が出るような気晴らししたり。
難しいことはなしにして・・・。
そうして何年かたったときに振り返ってみたら・・・ハッピーな記憶だけが見えるかも。
ハッピーな思い出だけが、残るかも。
次回は、あとがきふう。
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付記 この記事にあるような出来事を経て、私も少し大人になり(笑)
子育てが楽しくなる情報や本を紹介した記事も書きました。
よければのぞいてみてくださいね → 「楽しい育児のコツはおバカになること(笑)」
「元気をもらえる育児エッセイ&マンガ」