「妃蜘蛛」
ヤツカダキ
Rakna-Kadaki
鋏角種
鋏角目 ヤツカダキ科
全長約762.66〜1054.02cm
全高約766.14cm
https://twitter.com/gagieru_seltas/status/1677847405696524288?s=19
・狩猟地
砂原、溶岩洞など
・概要、特徴
焦熱地帯に棲息する大型の鋏角種で、臣蜘蛛ツケヒバキの雌が最大限に成長した姿である。
本来は特定の秘境にのみ棲息し、目撃例も少なく珍しい種であったが、最近は百竜夜行の影響により活性化、溶岩洞や砂原で確認されるようになった。
幼体であるツケヒバキを多数従え、全身に絹糸を衣のように纏う姿から「妃蜘蛛」の異名をもつ。
この糸は全身の堅殼に生える鉤棘と呼ばれる突起に絡めることで全身の殆どを覆っており、糸の持つ高い緩衝性によって自らの身を守る。
3つの関節のある首は普段は折り畳んでいるが、捕食時や火炎放射の際にはこれを大きく伸ばす。
また、胸部には畳んだ首がぴったりと収まるようになっており、急所である首を守る構造となっている。
鋏角種ならではの強固な触肢も普段は折り畳まれ、攻撃時に展開して打撃を見舞う。
また、同じ鋏角種のスキュラ科と異なり、爪(触肢)を除く脚は3対6本存在し、前の一対は先端が曲がったカギ状、2番目の一対は接地面積が広く体重を支えやすい形状、3番目の一対は腹部を支えるのに適した形状で、それぞれが異なる形状をしている。
朧気に輝く腹部の光は「灯腹」と呼ばれる複数の発光器によるもので、ツケヒバキの孵化と成長のために触れた物を溶かすほどの高熱を秘め、この発光器は背後から子供達を狙う外敵を威嚇し、退ける役目を持つ。
大きな腹には多数の卵を抱えており、その内部は卵の孵化のために常に高い体温が維持されている。
なお、腹部は7節から成っているが、糸に包まれているために普段はそれを確認する事はできない。
頭部には4対8個の複眼を備え、種としての基が蜘蛛である事を示している。
その姿から八目になぞらえて「八ツ火抱姫(ヤツカダキ)」と呼ばれている。
口には鋏角を持つが、関節の数は少なく、ネルスキュラのような伸縮自在の構造ではない。
・生態
本来人里に関わる事はなくその影響も限られていたが、近年の活動により他モンスターとの縄張り争いも確認されるようになっており、溶岩洞においてリオレウスすら撃退する光景が目撃されている。
身に纏う糸の手入れには余念がなく、特に産卵を行う腹部は入念に、全体が繭のように覆われている。時折、鋏角で噛むようにして糸の手入れをする様子が観察されている。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1798185424340558168?s=19
腹部に貯めた可燃性のガスによって多数のツケヒバキをコントロールしており、ツケヒバキ達を従えて縄張りを練り歩く。卵を孵化させる高い体温を維持するため、小型大型を問わず数多のモンスターを捕食する。
https://twitter.com/gagieru_seltas/status/1472804593406910465?s=19
捕食した獲物の消化物を吐き戻して与えることでツケヒバキを育て、腹部に抱えるツケヒバキの数が減ると雄との交尾で溜め込んだ精子により受精を行い産卵。卵は卵嚢の中で急成長し、孵化する。
体内には可燃性のガスを溜めており、卵の孵化を促進する際にはガスの温度を急激に上げる他、獲物の狩りや緊急時などには口や前脚と後脚の鈎針で着火し噴射する。
巨大に成長する大型のヤツカダキは全て雌で、子を腹部に抱えて徘徊している。
雄はツケヒバキとサイズや外見がほぼ変わらない程に小さく、交尾のための触肢が発達しており、ツケヒバキに混じるようにして複数が雌の腹部に張り付き、代わる代わる別の雄が交尾を行う。
雄の身体には大量の精子が詰まっており、受精後には剥がれ落ちて死亡する。
交尾前の雄は良質な蛋白質としてヤツカダキやツケヒバキに捕食されてしまうこともあるという。
・食性
肉食性。主に草食竜やその死骸を捕食する様子が観察されている。
また、甲殻の維持の為に洞窟の鍾乳石を齧る事でも知られる。
https://twitter.com/gagieru_seltas/status/1472803175002431494?s=19
・危険度、戦闘能力
外敵と対峙すると大型飛竜のそれに匹敵するほどの大音量の咆哮を放って威嚇し、ガスでツケヒバキ達に攻撃司令を下す。
https://twitter.com/gagieru_seltas/status/1468763948145016835?s=19
外敵を粘着糸で拘束させたり、体各所の鉤爪をフックとして用い、周囲にはべらせるツケヒバキに糸を繋いで支点とし、糸を引き戻すことで爆発的な加速をさせて怒涛のように移動する他、散開させて火炎放射を指示するなど、外敵に逃れる隙を与えない。
ヤツカダキの吐き出す糸も当然高い強度を誇り、吐き出す幾条もの糸束で外敵を拘束してから口や胸部から可燃性ガスによる火炎を吹き付ける戦法を好むことから「火吹き御前」の異名を持つ。
糸や可燃ガスを吐く際には折り畳んでいた首を大きく伸ばし、火竜もかくやという火炎を広い範囲に振り撒く。
可燃ガスを吹き出すのは口だけではなく、体の側面からも噴射する事が可能であり、横へ逃れようとした外敵をも追い詰める。
時には腹部から数本の糸を洞窟の天井に伸ばして身体を吊り上げ、眼下一帯を首を伸ばして焼き払うこともある。
接近戦に於いても首を一気に伸ばして繰り出される糸を吐きながらの噛みつき、飛竜の甲殻すら叩き割ってしまうほどの硬度を誇る爪を弓のように引き絞って放たれる打撃、背後の敵を押しつぶす腹部の叩きつけ、正面への押しかかりなど隙を見せない。
闘争によってツケヒバキを追い立てられたり、また身に纏う糸を剥がれてツケヒバキ達が四散すると怒り、産卵と孵化を活発に行うため凶暴になる。
するとヤツカダキは即座に腹部を糸で包んで卵嚢を作ることで産卵、ツケヒバキの数を補充する。
この際にガスの温度を急激に上げるため、腹部は極めて柔らかくなる。
卵の孵化が完了すると腹部に纏わせていた糸を可燃ガスで焼き切り、脚など他の部位にも糸を纏い直し、孵化したツケヒバキを使役する戦法を再開する。
興奮すると口からは高熱のガスを漏らし、その攻撃は苛烈さを増す。
予想し難いカラクリのような動きと強烈な火炎放射に苦戦するハンターも多く、ギルドでは本種の危険度を泥翁竜と同等と看做している。
その事からカムラの里の周辺に生息するモンスターの中でも特に狩猟には厳しい制限をかけており、上位以上の実力を持つハンターにのみ狩猟を許可している。
・利用
ヤツカダキから得られる素材はいずれも強度に富んでおり、糸は束ねればどんな攻撃も和らげてしまう単衣となり、重厚な甲殻は兵器の装甲に使われる程に強固。
しかし艶やかな形状の鉤棘は美麗と評判であり、武具のみならず宝飾に使われることもあるという。
ヤツカダキの素材を用いた防具には見目麗しい女性に化けた八つ腕の蜘蛛の怪異がある男との悲恋の末路が伝わる。美しく上質な絹糸で織られた細かな装飾と、妖艶な色が相まって婚礼衣装のようだと注目されている。
また、ヤツカダキの素材を用いた武器にもまた、幸せな婚礼の義の裏に隠された残酷な運命の物語が伝わっている。
・ソース
MHR:S
モンスターハンターライズ 公式設定資料集 百竜災禍秘録 pg.124〜127.246.396〜397