秋 田 奇 々 怪 会

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「東北見聞録~謎と不思議と珍談と」第三十九話

2018年06月21日 | 本・雑誌から
「東北見聞録」北限のツバキ

「椿」にちなんだ音楽は?と問えば、「アンコ椿は恋の花」とすぐに答えが出る方は筆者と大体同じ年代では無いだろうか。クラシックのジャンルではヴェルディのオペラ「椿姫」が有名で、文学ではアレクサンドル・デュマ・フィスの小説「椿姫」などもある。そうそう、映画では黒澤明監督の「椿三十郎」が有った。
このツバキに関したエピソードでは、最近朝の情報TV番組で紹介された効果も有って「椿油」がちょっとしたブームになっているそうだ。椿油と言えば、昔祖母がよく使っていた古臭いイメージが強いが、今では全身美容や食用効果が注目されていると言うから正に和製オリーブオイルだ。更にこのツバキ、古代の文献に色々と登場する他、北限の自生地帯が存在する等、調べてみると意外に奥が深い。

①椿、海柘榴、ツバキ…
ツバキ又はヤブツバキは、ツバキ科ツバキ属の常緑樹で日本が原産地、南西諸島・九州・四国・本州、更には海岸線沿いに北部にまで分布している。中でも東京都大島の椿は冒頭に紹介した「アンコ椿」の歌の様に広く知られている。筆者も大学生時代に島を訪れ、多くの鮮やかな赤い花辯に見とれた思いがある。
その歴史を辿ると古くは「日本書紀」や733年の「出雲風土記」に「海柘榴」又は「海榴」の文字で登場する。文化面で開花するのは室町時代以降で、豊臣秀吉が茶の湯に用いた他、江戸時代に入ると絵画や彫刻の題材として広まって行った。特に林羅山の「椿百図」は有名だ。

園芸の品種としても数が多くなり、庶民文化の中に浸透して行ったと言われてる。こうした長い歴史を持つツバキの群生地が、ナマハゲの里・秋田県男鹿半島に存在し、「ツバキ自生北限地帯」として国の天然記念物の指定を受けている。

②北限の椿
その自生する北限の椿は、釣りのメッカ秋田県男鹿市船川港のその名もズバリ「椿」地区に有る。男鹿半島の南磯を戸賀方面目指し、鵜ノ崎海岸から台島を過ぎてクネクネとした海岸道路を進むと、やがて濃い緑の葉に覆われた小高い丘が右手側に見えて来る。約10m程の小さな丘こそが自生椿(ヤブツバキ)の北限地「能登山」だ。
1922年(大正11年)に国の天然記念物に指定、山の麓には江戸時代の紀行家・菅江真澄が、文化元年(1804年)8月25日に訪れていて「椿の浦に着く(男鹿の秋風)」の標柱が設置されている。能登山は暖地に自生するヤブツバキに全山覆われていて、昭和57年の調査で492本、その後の平成6~7年の調査では573本が確認された。山に入ると密集して生えているツバキの木々で薄暗くなる程だ。赤鳥居をくぐり少し屈みながら進むと、途中木々の間から海を望む事が出来る。やがて山頂の神社に辿り着くが、そこからはビッシリと生い茂るツバキに囲まれているせいで海がやや見えずらい。が、肝心の花々はたっぷり鑑賞出来た。


③悲恋物語が…
正面側から登っても多くの木々が茂っているが、裏山にも密集していて、能登山周辺をグルリと散策すると良く分る。その能登山の一角に「天然記念物」の案内板の他にもう一枚の標識が有った。そこには「悲恋伝説の地~能登山の椿」と記されていた。「さて、どんな悲恋物語があるのか?」と伝説を知りたくて文面を探しても山の周囲には見当ら無い。それとも、どこかに有って筆者が発見出来なかったのだろうか?悩ましい思いで一杯だった。しかしその後、昼食で訪れた水族館近くのカフェ・レストランで、土産に買ったドリップ・コーヒーパックのセットに「見つけた!」のだ。5枚セットの包装一枚一枚に連続の形で悲恋物語が紹介されていた。それによると…昔、能登の国から働きにやって来た若い漁師が村の娘と恋に落ちた。しかし、結婚を約束したものの能登に帰らなければならなくなった若者は、「2年で必ず帰る」と約束し去って行った。娘は待ち続けるが若者は3年が過ぎても帰らず、娘は嘆き悲しんで海に身を投げてしまった。その後、結婚資金を稼いだ若者が帰り、娘の死を知って哀しみに包まれ遅れて戻った事を悔やんだ。そして土産に持参したツバキの種を小さな丘に植えて立ち去り、再び帰る事は無かった…と言うストーリーで、後で調べて分ったが男鹿市のホームページにも悲恋物語が簡潔に紹介されていた。「椿地区に何故能登が?」の名称ルーツはここに在った。学術的な案内板も有り難いが、以前この連載で紹介した男鹿と同じジオパークに選定されている秋田県八峰町の「オカムイ岩悲恋伝説」の様な案内文が目立つ所に有れば…と思うのだが。


④サミット開かれる
さて、その男鹿市で今年4月「第25回全国椿サミット」が開かれた。ツバキとサザンカの愛好家が全国から集まるイベントで、秋田県内では初の開催となった。ツバキをテーマにした講演等が行われた他、歓迎の「ナマハゲ太鼓」等が会場を盛り上げた。ツバキは男鹿市の花でもあり、イベントに先立って合併新市10周年の記念植樹も行われた。このサミット、来年は京都で開かれる予定だ。何気なく親しんでいる真っ赤な花には様々な魅力が詰まっていた。偶然なのだろうか、この稿を書き終えてふとテレビに目をやると、某有名化粧品メーカーの「TSUBAKI」シャンプーCMが放送されていた。
*以前にもお伝えしておりますが、この東北見聞録は”釣り東北”に掲載された記事の転載です。従って、時期についてはタイムラグがあります。
上記の椿サミットも今年4月となっていますが、実際は2015年です。ご了解ください。

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