いつだったか。『ザ・ノンフィクション』の過剰演出についてネットニュースに挙がっていたことがありました。リアリティ番組についても自殺者が出て問題になりましたよね。
昔々、私の勤め先を題材にドキュメンタリー映画が撮られました。私はドキュメンタリー映画について何の知識もありません。だから、現場のありのままを長回しで撮影し編集して作られるのだと思っていました。
でも実際は。ちゃんと台本があって演出家がいて、びっくりするくらい短い撮影期間で仕上がったのです。
それでも映画を観た方々からは、「感動しました」「こういう現場が理想です」「こんなところで働きたい」などと、全国から大きな反響を頂きました。
今ならば、"自分達の仕事の一片でも世の中に知って貰えた"と割り切って考えられたかもしれません。でも、当時の私は青く若かった!
撮影チームが短時間で切り取っていった日常を、監督らがさもよく知っているかのようにTVや上映会で語っている姿に腹が立つやら、悔しいやら…。またそれを良しとして、どんどんマスコミの取材を受けている社長に違和感を感じたのもあり、結局数年後職場を去りました。
ノンフィクション、ドキュメンタリー、リアリティ番組。全てが真実ではない…くらいの気持ちで観ていないと、まんまと騙されてしまいますよね。いくらでも視聴者の共感や感動を作れますし、その逆でいとも簡単に憎しみも作れます。その線引きは曖昧で微妙です。
今はあの頃とは比べ物にならない程ネット社会になりました。TVやネットニュースで表に出ないところで、真実と呼ばれる情報が流れたり、まるで真実のようにフェイクニュースが流れたり…。惑わされないで自分を保つ方が難しいです。
私は惑わされやすく、騙されやすい。そして人の感情に影響を受けやすい。それを念頭にネットやニュースに触れないと、だ。