葵から菊へ&東京の戦争遺跡を歩く会The Tokyo War Memorial Walkers

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西郷隆盛は靖国神社に何故合祀されないのか

2019年02月01日 | 歴史探訪<靖国神社>

靖国神社のガイドをしているときに、西郷隆盛は「維新三傑」なのに何故靖国神社の英霊として合祀されないのかという質問が多く寄せられます。

本日、靖国神社の社報「靖國」第763号が配達されました。一面のコラム「清濤」に下記の記述があります。
『天皇陛下が御位につかれてより三十年を迎えられた。この佳節を奉祝すると共に、常に国民に寄り添われ国家国民の安寧と平和を願われてこられた陛下への感謝の誠をお捧げし、聖寿の万歳を祈念申し上げたい。▼毎年二月、靖国神社内にて関係者が参列し、熊本龍城記念日霊祭が静かに執り行われる。明治十年二月に勃発した西南の役における緒戦、熊本龍城戦での戦没者や縁故者慰霊のため、同二十三年より約百三十年に亘り続けられてきた。▼明治十年、北上する薩軍による熊本鎮台への二月二十二日からの攻撃を機に、同司令長官・谷干城少将以下が熊本龍城戦を決行した。敵の包囲で外部との連絡を断たれた為、第一旅団本営へ窮状を伝えるべく、谷村計介伍長が二十六日、密使として城を脱出。幾度も薩軍に捕縛されながらも切り抜け、翌月二日に任務を全うした。▼伍長はその僅か二日後、田原坂での戦闘で戦死するが、彼の連絡により政府軍は四月に熊本城へ進撃、五十余日の龍城戦が終わる。この戦闘は、徴兵制度の成否や封建主義からの脱却を問う側面があったようで、明治政府の威信もかかった大きなものだったろう。▼伍長は軍人の鑑とされ、同十六年、谷長官により靖国神社牛ケ淵附属地(現九段会館)に建てられた石碑「軍人亀鑑」にて功績が讃えられた。また、戦前まで修身の敦科書でも紹介されてきたことで、今でも多くに知られる伝記となっている。▼こうした功績にも関わらず、当時、出身地の宮崎が薩軍寄りであったこともあり、遺族は周囲から冷遇されたそうだ。武勇伝の裏にある逸話も共に見つめ、御祭神の人となりを学ぶことも顕彰の一端と言えるかもしれない。』

九段会館敷地内の軍人亀鑑石碑(現在は九段会館改修工事中のため見学不可)


明治2年23日、招魂祭執行の旨、軍務官より在京諸藩に戦歿者の名簿を提出するように通達され、東京招魂社は29日第一回合祀祭を執り行われました。
「在京諸藩の戦歿者名簿」によって、新政府軍いわゆる官軍の戦歿者だけが合祀されたので賊軍の戦歿者は合祀しないという大原則が確立しました。

会津藩は、戊辰戦争の賊軍ですが「禁門の変」の時は、官軍でしたので35名の戦歿者は英霊として合祀しています。坂本龍馬、吉田松陰など戊辰戦争以前の志士らを合祀したときだと思われます。

西南の役で、西郷隆盛は鹿児島市城山で自決しましたが、薩軍の大将だったので靖国神社には合祀されません。

初詣参拝客は12万2千人だったそうですが、昨年の「靖國」2月1日号には、20万5千人と報じられていました。

靖國偕行文庫だより」に下記の記述がありました。
・・・・・・・・・・・・・・
 当文庫は本年十一月で創設二十周年を迎える。
 創設当初、神社所蔵の資料一万五千七百冊を基本とし、これに加えて旧陸軍将校の親睦団体であった偕行社から靖国神社御創立百三十年を記念して、図書施設・設備の増改築とともに、三万五千三百七十冊の資料をご奉納いただいた。「靖國偕行文庫」のいわれもここに由来する。
 所蔵数は五万一千七十冊から始まったが、この二十年間に戦友会等の寄贈により年々充実し、現在では図書約十四万冊、地図約四千五百枚、映像資料約五百点を含む資料を有するようになった。これらの蓄積により遊就館の遺品等とあわせて、英霊のご事蹟を偲んでいただけるよう資料の活用に努めている。
 英霊の足跡をお調べする軍歴調査、或いは日本近代軍事史関係を主とした専門図書館として、さらには神道をはじめ、歴史・思想・宗教に関する書籍など所蔵資料を、幅広くご利用いただきたい。
 昨年末、『日本軍隊用語集』の著者で、既に一千百冊以上の蔵書等を寄贈していただいた寺田近雄氏(故人)のご家族から、同氏が晩年に執筆された『天皇陵』の資料等七十冊を含む、新たに史料性の高い陸軍関係の資料等約二百四十冊のご奉納をいただいた。
 今後も皆様のお力添えのもと、多くの方のご要望にお応えすべく資料の充実を図って参りたい。
 今年で成人の年齢に達する当文庫を、本年もよろしくお願い申し上げる。
・・・・・・・・・・・・・・
寺田近雄氏の著作『日本軍隊用語集』は、『日本陸海軍事典』と共に、管理人の戦跡ガイドに役立たせて頂きました。
故寺田近雄氏のご冥福をお祈りいたします。
合掌



(了)


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