奈良原一高という写真家がいた。イタリアの路地裏の石畳に光が差し込み
鳩の影だけが路地の真ん中の所に写りこんでいる。
モノクロの名手でもあり 決定的瞬間を追求した人でもある。
絶妙な位置に写りこんでいるのだが、あまりにも計算された構図のように
想えてしまう。奈良原の時代のカメラはタイムラグ(シャッターを押してから
実際にシャッターがきれるまで)がコンマ0.何秒あるのでなおの事難しい
シャッターチャンスなのだ。今年3月11日に富士フィルムスクエアで企画展が
開かれた。彼の写真は影を操るといってもよく、晩年日本リアリズム写真集団の
顧問をしていた。その時に確か話をしたと思うが・・。