三句 麻布

　　在りし日の　潰へてゆくも　勿忘草 　　あなたがゐつた天の國に会ひに逝きたひ 　　あなたを抱きしめ吾涙がみへないよふに . . . 本文を読む

三句 箱根

　　　　　　　　くつぼれて髪乱れるをそっと撫でる 　　　　　　　　くちびるをかのもろ頬におしあてし 　　　　　　　　ハライソに参るのに今世の最後に涙 　　　　　　　　　　＃ハライソ　　切支丹用語で天国 . . . 本文を読む

三句 麹町

　　　　　　　　　言葉にせずとも心在ればこそ 　　　　　　　　　あなたは心濁りなき天使 　　　　　　　　　あなたを奪し神に跪いてやつた 　　　　　　　　　   　　　　　　　　　 . . . 本文を読む

一句 七里ガ浜

　　　　　　おまけ　　くしゃみをしてもひとり 　　　　　　　　　　　トイレでもひとり 　　　　　　　　　　　一人はやはり独り . . . 本文を読む

三句 別宅

　　　　　　　　　　日暮れて微笑み返し麗 　　　　　　　　　　朽ち逝くは吾本望なり 　　　　　　　　　　神など存せぬ暮菜月 　　 　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　  　 . . . 本文を読む

三句 佃島

　　　　　　　　ひたぶるに　あなたを想えば　天の娘悟れり 　　　　　　　　初めて唇を重ね合わせた　朝焼けの富士 　　　　　　　　温かで愉快なあの気配そこかしこに . . . 本文を読む

三句 浅草寺

　　　　　　　風はしりて草ゆらし十五夜 　　　　　　　もう頑張らなくてもよひのか 　　　　　　　なぜにか　日常は無常なり . . . 本文を読む

三句 川崎大師

　　　　　　　　　あなたは梔子の色香 　　　　　　　　　波頭の黄昏煌くは瞬の幻か 　　　　　　　　　心あらずもお道化るしか道あらず 　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 . . . 本文を読む

三句 聖マリアンナ

                        　時の雫を両の手でふく 　　　　　　　　　全て知りてオペを待つ 　　　　　　　　　どふして擱ひて逝く 　　 . . . 本文を読む

五句 聖マリアンナ

　　　　　 　　　　　障がいをもつからこそより可愛いい　　　　　母上の言葉 　　　　　恩讐の彼方に在りしは鏡と思え 　　　　　骸となりて静謐な時とは皮肉なり　 　　　　　運も命の力か死か 　　　　　凛として春風　吹き抜け　　　　　　 　　　　　 　母上は約半世紀前に私が障がいをもって生まれたとき、父がたの親族から 　侮蔑　差別　嫌味を言われたそうで、当時は障がい者として世間からも . . . 本文を読む

三句 湘南

            　　御空の彼方逝きしあなたを探せり 　　　　　　早き別れありき巡り愛なぜに駄々童子 　　　　　　笑って楽しき天子と添い遂る誓い叶わず 　　　　　　 　　　　　 　　　　　　 　　　　　　 　　　　　　 . . . 本文を読む

三句 麻布十番

　　　　　　　　　春風のよふに強く荒ぶれて 　　　　　　　　　白銀の煌き潰え吾死をまつ 　　　　　　　　　すてんどぐらす混ざりくる浪漫の光 　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 . . . 本文を読む

四句 神楽坂

　　　　　　　　　　　　　吾命運尽きるを悟りたり 　　　　　　　　　　　　　生きているも魂あらず 　　　　　　　　　　　　　またあなたの大きな瞳にあへる　　　美奈子へ 　　　　　　　　　　　　　妖艶となる死期迫るを悟り 　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 　　　　 . . . 本文を読む

三句 御茶ノ水

　　　　　　　　　今世の際まで嘘をつきつ胸潰れ 　　　　　　　　　一縷の涙で全て悟りし命の尊さ 　　　　　　　　　どうしてみなられし体在りしも 　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 　　　　　　　　　 . . . 本文を読む

三句 茅ヶ崎

　　　　　　　　　　秋穂はゆる十六夜の月 　　　　　　　　　　朝焼けの霊峰連れ人すでになし 　　　　　　　　　　波打ち際で戯れし鏨の光 　　　　　　　　　　 . . . 本文を読む