今年は大根をよくいただきます。
大根好きなのでうれしい悲鳴。
昔、絵本だったか日本昔話だったか忘れましたが、
大根に関する印象的な話がありまして、
それ以降しみじみ食べてます。
ええ、かなり若い時期から(笑)
ネットで調べてみると、記憶と違っているところが多々あったので
以下岩波書店発行「わらしべ長者」より日本の民話22編をどうぞ。
あるところになんともかとも貧乏な百姓がひとり、住んでおった。
ある冬の日のもう暗くなったころに、
ひとりの旅びとが、とぼりとぼり雪の上をあゆんできて、
「どうだろうか。おらをひとばん、とめてくれるわけにいくまいか』というた。
百姓は、じぶんの食べるもんもろくにないぐらいのもんだったが、
「ああ、ええとも。おらとこは貧乏でなんにもないが、まあ、とまってくれ」
というと、旅びとは、
「そうか、それはありがたい。おらなんにもいらんぞ」
というて、うちにあがった。
けれどもこの百姓は、なにしろなんともかとも貧乏で、
何をひとつ旅びとにもてなしてやるもんがない。
それで、しかたがない、
晩になってからとなりの大きないえの、
大根をかこってあるところから大根を一本ぬすんできて、
大根やきをして旅びとに食わしてやった。
旅びとはなにしろ寒い晩だったから、
うまいうまいとしんからうまそうにしながら、その大根やきを食うた。
その晩さらさらと雪はふってきて、百姓が大根をぬすんできた足あとは、
あゆむあとからのように、すうっとみんな消えてしもうたと。
『あとかくしの雪』 木下順二
民話がベースになっているので、
各地で似たような話があると思います。
当時小さかったので、
大根を盗んだというくだりがとてもショッキングで、
いいのか?こんな子供が見る絵本(番組?)で?
とどぎまぎした覚えがあります。
しかし、幼心ながらに、白か黒か、善か悪かに分ける事のできない
グレーの世界があることを知ったことの方が印象的でした。
私が記憶している話は確か
貧乏なひとり身のお百姓さんではなく、
貧乏なおじいさんとおばあさんで、
旅人は、旅のお坊さんで、
そして、大根やきではなく、味のついてない大根煮だったような。
うーん、どう考えても私が見た設定の方が哀愁漂いますね。
センチな私が、こっちの方が心に響くと思うわと
どんどん記憶をすりかえた結果こうなったのかもしれませんが、
しんしんと冷える寒い夜、薄味の大根を食べていると
その時の気持ちがよみがえり、
せつないような、それでいてありがたい気持ちになります。
記憶は曖昧なくらいでちょうどいいのかも。
主人は薄味の大根嫌がりますけどね。
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