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アイヌ民族関連報道クリップ

アイヌ民族・先住民族関連の報道クリップです。各記事の版権は発信元にあります。

今週の本棚:海部宣男・評 『アイヌの世界』=瀬川拓郎・著(毎日新聞)

2011-04-10 00:00:00 | イベント情報・書評
今週の本棚:海部宣男・評 『アイヌの世界』=瀬川拓郎・著
毎日新聞 2011年4月10日 東京朝刊

(講談社選書メチエ・1575円)
◇縄文の言語と文化のタイムカプセル
 アイヌ語には、日本語との共通な言葉が少ない。「アイヌ」という言葉自体、「カムイ=神」に対する「人間」の意味だから、私たちが日本的と考える発想とはだいぶ違う。宇宙の概念を含め世界観や文化一般でもいわゆる日本の伝統文化とは大いに異なるし、オホーツク文化の影響も明らかだ。長期にわたって互いに近く暮らしてきたのに鮮明なこの違いは、どこからきているのだろう。
 言語学から専門的に見てもアイヌ語はやはり日本語とは違うし、北方諸民族の言葉とも違うそうだ。それどころか同系の言語が見当たらず、系統不明な言語というしかないという。
 では、民族学・民俗学からはどうか。本書はクマ祭りなどアイヌ文化の比較分析や考古学の成果を組み合わせながら、アイヌ世界の成り立ちに迫った好著。まだ謎の多いアイヌ文化に、多面的な考察の光を当てている。
 北のアイヌは、南の旧沖縄人とともに縄文人の流れを濃く汲(く)む人々で、大陸から稲作文化を持ち込んだ人々によって南北に追われたという見解がある。ただしこれには異論もあるし、孤立した言語であるアイヌ語に対し、琉球語は旧(ふる)い歴史時代の日本語を祖語とする。
 著者は、古くは蝦夷(えみし)と呼ばれたアイヌの人々は、やはり縄文人の流れを汲むと考える。アイヌ語は、失われた縄文語を基礎とする言語だろうと。その後、古代から近代にかけての日本語から、また北のオホーツク文化を担ったツングース諸言語からも、文化と共に言葉や概念を輸入し変容してきた。そうした著者の考察は、縄文の流れを汲む続縄文文化、農耕文化の影響を受けた擦文(さつもん)文化、さらにオホーツクの荒海に乗り出した大交易時代、というアイヌ文化の変遷の歴史をふまえたものである。
 もしそうならアイヌ語は、失われた縄文語の基層をいまに残す言語ということになるわけだ。
 なかなかすごいことだなあ。
 アイヌ世界の変遷をたどる上で著者がくり返し考察するのは、飼いグマ儀礼を含むクマ祭り文化。縄文文化のイノシシ儀礼からアイヌのクマ儀礼へと移っていったという。してみるとアイヌの信仰・儀礼も、縄文から古代日本の言語・文化のタイムカプセルなのだ。
 日ごろ親しみ深い北海道だが、そこで育まれてきた歴史や文化について、私たちは知らないことだらけだ。本書には目を開かされる事項・考察が満載である。『日本書紀』に書かれた遠征で、阿倍(あべの)比羅夫(ひらふ)は誰と、どこで戦ったのか。七〜九世紀の東北地方から北海道石狩地区への農民の進出は、どんな影響を残したか。古代からくり返されたオホーツクの民との攻防の末、一一世紀頃からサハリン・沿海州へと乗り出したアイヌの人々は、何をめざしたのか。
 どれも面白い話だ。著者によれば、アイヌはある時期「オホーツクのヴァイキング」だった。モンゴルの大軍をサハリンで迎え撃ったというのも、すごい。
 最後に著者が提示するのは、「アイヌ世界の景観」を復元する試みである。舞台は上川盆地、時間スケールは一万年。登場するアイヌの人々は、森の民から、川の民=サケを売りさばく交易の民へ、そして内地からの屯田兵や水田耕作の農民たちに「二流農民」へと押し込められる。民族の文化とその舞台を、時間を軸に俯瞰(ふかん)する試みが新鮮だ。
 考えてみれば明治のアイヌに起きたことは、かつて稲作文化の流入によって日本各地の縄文人に起こったことでもあっただろう。アイヌの世界が、二重の意味で縄文と重なってくる。
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20110410ddm015070011000c.html

 『環太平洋・アイヌ文化研究』第8号が刊行されました(駒沢大学)

2011-04-01 00:00:00 | イベント情報・書評


 『環太平洋・アイヌ文化研究』第8号が刊行されました



 このたび、環太平洋・アイヌ文化研究所の機関誌、『環太平洋・アイヌ文化研究』第8号が刊行されました。

 研究所内外の研究者による五本の研究論文のほか、2009年11月8日に本学で開催された「シンポジウム 厚真から考える~擦文期からアイヌ期へ」の要旨集も掲載されました。

 執筆者およびタイトルは、以下の通りです。

○論文

植木哲也(本研究所所員・苫小牧駒澤大学国際文化学部教授)

 「植民学講座のアイヌ民族研究(1)―差別講義事件と植民学講座―」

佐伯智弘(本研究所研究員・室蘭工業大学非常勤講師)

 「アイヌ語講師から見た今を生きるアイヌのアイデンティティ」

杉尾浩規(本研究所研究員・南山大学人類学研究所)

 「フィジーの自殺―先行研究の批判的分析―」

石 純姫(本研究所所員・苫小牧駒澤大学国際文化学部准教授)

 「北海道・穂別における朝鮮人の労務動員とアイヌ民族のつながり

―重層的なアイデンティティの葛藤と韓国での受容状況について―」

種石 悠(東京都教育委員会)

 「先史・原史時代日本列島における大型魚漁」



○シンポジウム「厚真から考える~擦文期からアイヌ期へ」報告要旨

乾 哲也(厚真町教育委員会)

 「厚真町の状況」

森岡健治(平取町教育委員会)

 「平取町の状況」

木村淳一(青森市教育委員会)

 「青森市の状況」

中田裕香(北海道教育庁)

 「厚真の擦文土器」

越田賢一郎(札幌国際大学教授)

 「鍋と玉―中世の北海道を巡る交易の様相」

蓑島栄紀(本研究所所長・苫小牧駒澤大学国際文化学部准教授)

 「史料からみた厚真の交流」



○研究例会報告要旨

長田佳宏(平取町教育委員会)

 「ミニシンポジウム『中近世の平取・厚真』 報告1『平取町の状況』」

奈良智法(厚真町教育委員会)

 「ミニシンポジウム『中近世の平取・厚真』 報告2『厚真町の状況』」

植木哲也

 「植民学講座のアイヌ民族研究」




環太平洋・アイヌ文化研究



The Jounal of Ainu and Pacific Rim Cultures



 残部に限りがありますが、頒布等については研究所事務局(0144-61-3124)までお問い合わせください。

アイヌ記録映画特集と震災復興基金(民族文化映像研究所)

2011-04-01 00:00:00 | イベント情報・書評
会社名/団体名

株式会社民族文化映像研究所

ジャンル

エンタテインメント・音楽関連

カテゴリ

告知、募集

プレスリリース配信日時

2011年04月01日 09時

プレスリリースタイトル

アイヌ記録映画特集『アイヌ・ネノ・アン・アイヌ1971-2010―人間らしくある人間―』と震災復興基金

プレスリリース要約(全角150文字以内)

民族文化映像研究所は『TOKYOアイヌ』上映実行委員会と共催で、2011年4月9日(土)~22日(金)シネ・ヌーヴォX(大阪・九条)にて、アイヌ記録映画5作品を一挙上映する特集『アイヌ・ネノ・アン・アイヌ1971-2010―人間らしくある人間』を開催。興行収入の半分を東北関東大震災義援金に充てます。


プレスリリース本文

報道機関各位
プレスリリース

2011年4月1日
株式会社民族文化映像研究所
───────────────────────────────────
民族文化映像研究所

アイヌ映画特集と震災復興基金
『アイヌ・ネノ・アン・アイヌ1971-2010―人間らしくある人間―』

http://deepjapan.blog55.fc2.com/blog-entry-351.html
───────────────────────────────────
民族文化映像研究所(神奈川県川崎市・所長姫田忠義/以下、民映研)は、
『TOKYOアイヌ』上映実行委員会と共催で、2011年4月9日(土)~22日(金)
シネ・ヌーヴォX(大阪府西区九条)にて、アイヌ生活文化の記録映画5作品を
一挙上映する特集『アイヌ・ネノ・アン・アイヌ1971-2010―人間らしくある人間』
を開催いたします。

 なお民映研は、本上映収入の少なくとも半分を東北関東大震災の義援金に
充てます。義捐金は、上映終了後6月頃をめどに日本赤十字社または被災地の
自治体窓口へ責任を持って振り込ませていただきます。少し先の復興期のための
基金をと考えております。

■趣旨
 1970年~90年代にかけて民族文化映像研究所が制作したアイヌ生活文化の
記録映画から4作品と、『TOKYOアイヌ』映像製作委員会による2010年新作の
記録映画1作品、計5作品を上映。
記録映画『アイヌの結婚式』が実現したのは、アイヌ民族が日本国籍を持た
された1871(明治4)年からちょうど100年目。まさにアイヌ民族のアイデン
ティティ復活の姿であった。その40年後、『TOKYOアイヌ』があらわれる。

明治以降、同化政策による迫害と根強い差別にさらされてきた少数者・先住民
としての歴史を持つアイヌはまた、山・川・海・空・大地に生きる草木や動物、
あらゆる生きもの、神、そして人との親密な関わりの中で、暮らしを営んできた
民族でもある。その文化は柔軟で、美しく、時に厳しく、限りなく優しい。

衣食住の多彩な生活技術や儀式をはじめ、家族・仲間内で交わされる口伝えの
伝承・教え・遊び。それらが、アイヌ文化の独自性、人類文化の普遍性を浮かび
上らせる。日本列島北部および北海道を含む広大な地域を、アイヌ(人間)の
暮らすモシリ(静かな・大地)として、そこに生きてきた人々。
雄大な自然につちかわれた、その自然観・生命観は、
良き明日を願う人々の心に大きな示唆を与えつづけている。


■概要

民族文化映像研究所 ・『TOKYOアイヌ』上映実行委員会共催 アイヌ映画特集
「アイヌ・ネノ・アン・アイヌ1971-2010―人間らしくある人間―」

【 上映作品 】
『TOKYOアイヌ』2010年/116分/『TOKYOアイヌ』映像製作委員会
『アイヌの結婚式』1971年/33分/民族文化映像研究所・グループ現代
『沙流川アイヌ・子どもの遊び』1978年/51分/民族文化映像研究所
『チセアカラ ―われらいえをつくる』1974年/57分/民族文化映像研究所・グループ現代
『シシリムカのほとりで―アイヌ文化伝承の記録』1996年/152分/民族文化映像研究所

【 上映スケジュール 】
2011年4月9日(土)~22日(金) ※詳細http://p.tl/g0ah

【 会場 】
シネ・ヌーヴォX(大阪市西区九条1-20-24/TEL:06-6582-1416)
http://www.cinenouveau.com/

【 料金 】
TOKYOアイヌ…一般1,500円/学生1,200円/シニア・会員・高以下1,000円
民族文化映像研究所制作作品・1プログラムにつき…一般1,200円/学生・シニア・会員・高以下1,000円(※TOKYOアイヌ半券提示で1,000円)


■協力
現在、以下の場所でチラシを入手いただけます。
≪大阪≫
国立民族学博物館梅棹忠夫資料室(吹田市千里)/箕面・市民のひろば(箕面市坊島)/
箕面市立郷土資料館(箕面市箕面)/PHOTO Gallery Sai(大阪市福島区)/
應典院(大阪市天王寺区)/雑貨屋 スイミー(大阪市北区)
≪兵庫≫
シネマカフェ&バー MAKO(神戸市中央区)/TANTO TEMPO ギャラリー(神戸市中央区)
≪京都≫
オーガニックカフェ&ギャラリー 東西南北(京都市左京区)/
京都大学総合博物館(京都市左京区)/京都円山 お宿吉水(京都市東山区)


【民族文化映像研究所(みんぞくぶんかえいぞうけんきゅうじょ)とは】
1961年(1976年創立)以来、
日本の基層文化を記録・研究することを目指して出発した民間の研究所です。
長い歴史のなかで培われた自然との深い対応・共生の姿を「基層文化」と捉え、
日本列島を基軸に、人々(特に庶民)の生活行為を見つめることによって、
それを明らかにしようとしてきました。
現在、半世紀近い活動の中から、多くの資料と共に119本の映画作品と
150本余りのビデオ作品が生まれています。略称、民映研(みんえいけん)。
毎月第2・第4土曜日、定期上映会「アチック・フォーラム」開催。

【本件の連絡先】
株式会社民族文化映像研究所 事務局宛
〒215-0027 神奈川県川崎市麻生区85-1-1-103
Tel.044-986-6461 FAX.044-986-6462
e-mail:minneiken@dream.com
URL: http://www31.ocn.ne.jp/~minneiken/

【4・16】社会自由主義-ブラジルの開発政策~南米先住民族学習会(開発と権利のための行動センター)

2011-03-10 00:00:00 | イベント情報・書評
コロンビア、エクアドルに続く南米先住民族学習会の第3回はブラジルを取り上げます。8年間続いたルラ政権から2011年1月にジルマ・ルセフ政権へと移行するブラジルの開発政策についてお話を伺います。

第三回 社会自由主義-ブラジルの開発政策

日時: 4月16日(土)午後2時から
会場: アジア太平洋資料センター(PARC) 地図
    〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル
    都営新宿線「小川町」 丸ノ内線「淡路町」 千代田線「新御茶ノ水」
    地下鉄A5出口から徒歩2分
資料代:500円

講師:小池洋一(立命館大学経済学部教員)

アジア経済研究所での30年近い研究生活をへて現職。現在日本ラテンアメリカ学会、ラテン・アメリカ政経学会、ブラジル中央協会、アジア太平洋資料センター(PARC)理事を兼務。最近の著作に『図説ラテンアメリカ経済』(共著)、『地域経済はよみがえるか-ラテン・アメリカの産業クラスターに学ぶ』(共編著)など。現在のテーマは、国際価値連鎖と開発、参加型予算、アマゾン環境、日本の労働市場と日系人など。

主催:開発と権利のための行動センター
   日本ラテンアメリカ協力ネットワーク
   先住民族の10年市民連絡会
   ATTAC Japan(首都圏)
共催:アジア太平洋資料センター(PARC)

連絡先:開発と権利のための行動センター
    cade-la[a]nifty.com([a]を@に変えてください)
    資料準備の都合上、できる限り事前に連絡をお願いします。

「フィリピン先住民族コミュニティをサポートする交流活動」の報告会(WE21ジャパン)

2011-03-08 00:00:00 | イベント情報・書評
WE21ジャパンが2011年11月26日~12月4日に行った
「フィリピン・ベンゲット州の先住民族の環境と伝統的コミュニティを
サポートする市民の経験交流活動」の報告会を開催します。

<報告会概要>
【日時】 2011年3月31日(木)13:30~16:00
【場所】 かながわ県民サポートセンター403号室
【定員】 60名 ※無料
【内容】 フィリピンでは現在、各地で鉱山開発の申請が続き、また過去・現在の開発に伴う
      被害の問題を抱えています。
     
     日本では鉱山跡地の土壌回復に炭が活用され森林再生が進められていることから、
     今回の経験交流事業では、炭の持つ力を紹介し、現地の農民が活用しやすいように、
     ドラム缶の簡易な炭焼きシステムで、もみ殻を活用した炭作りと、その際に抽出される
     木酢液の活用を伝えました。
     
     日本では鉱山開発はほとんど姿を消しましたが、金属の消費は増える中でもっぱら
     海外から金属を輸入しています。開発現場で壊されていく環境、そして壊されていく
     人々の暮らしに対して私たちができることを一緒に考えていきましょう。

【報告者】WE21ジャパン経験交流プロジェクト・メンバー
【申込】 WE21ジャパン宛てに、氏名・連絡先・所属(あれば)を明記の上、
     FAX又はEmailで申込(3月25日(月)締切)。

【主催】 WE21ジャパン FAX:045-440-0440 info@we21japan.org
  
※本事業は、公益信託「アジア・コミュニティ・トラスト」特別基金『アジア民衆パートナーシップ支援基金』助成を受けています。