Notes3~ヨミガタリストダイアリー

名古屋市在住の俳優/朗読者・ニシムラタツヤの演(や)ったり読んだりの覚え書き

新年ご挨拶ー2つのサービスをスタートしました

2012年01月02日 | 舞台特に演劇



■新年あけましておめでとうございます。大晦日のウェブログ記事以来、実家で甥っ子姪っ子の奔流のごとき勢いに押されっぱなしの我が父母を横で見ているだけでげっそり疲れました。と、いうのも独身の気楽さだからいえるんでしょうね。きっと。先ほど、「人間クレーンゲーム」を最後に2階に上がっていきました。今年もいろいろあるなあと思いつつ、倍旧のご支援とご指導をお願いする次第です。よろしくお願いいたします。
■さて、そんな賑やかな新年の合間をぬって、グーグル先生にいろいろ教えを受けながら、AfroWagenの新たなコンテンツとして2つのデータ提供を開始しました。あくまで個人的な備忘録代わりの気軽さで、少しずつ手を入れていきますので、気長に見守っていただき、たまに役立てていただければと思います。
■1つは「ナゴヤ劇場探検ガイド」です。何のことはない、ほぼ名古屋市内で、ある一定の料金以下の演劇/パフォーミングアーツの公演が行われている会場を、地図上に落とし込んでみたらこうなったというものです。連絡先やURLなども一緒に掲載してありますので、特に名古屋に来演していただく他地域のカンパニーの方に使っていただければうれしいです。もし他に追加してほしいものがありましたらぜひご一報ください。よろしくお願いいたします。(上の画像)

ガイドURLはこちらです。



■次は「ナゴヤ観劇探検ガイド」です。これも全く大したことない、Googleカレンダーに↑に掲載した会場での公演予定を落とし込んでみたものです。一昨日お邪魔した「ミソゲキ」でもらってきたちらし束の情報を入力して、とりあえずオープンしてしまいました。これまで、#10さんの「名古屋の小劇場スケジュール」や現在のRush!さんでもそうですが、日々の更新が何より大切であることは重々承知しているつもりなので、こまめに手を入れていくつもりです。オイこれ載ってないぞ、というものがありましたら教えてくださいませ!

このガイドURLはこちらです。

■そんなこんなで、今年も忙しくなりそうですが、当ウェブログにお越しの皆様、お互いに体調に気をつけて元気に事を成していきましょう!

新春早々名古屋に来襲・ゲキバカ公演「ニトロ」

2011年12月30日 | 舞台特に演劇



■2011年ラスト2のウェブログのエントリは、鬼が笑う2012年の話、その2です。松の内が明けて春の七草粥を頂いて、その翌週に残った正月的なものの全てをきれいに洗い流す勢いの演劇が、東京から来襲します。他でもない「ゲキバカ」の皆さんです。前回来名した際も、Twitterを中心に宣伝をさせて頂きました。その時の当ブログの記事とかtogetterの記事は以下の通りです。観劇したいけど、ゲキバカって?という方、是非まずこちらをご覧下さいませ。

◎過去の記事
ゲキバカ「ローヤの休日」に注目せよ!
http://blog.goo.ne.jp/afrowagen/e/c4e7ff922b2c0787ac8ed293f7d4b4e0


◎前回公演の感想まとめ(togetter)
「ローヤの休日」感想4月8日分
http://togetter.com/li/121781

「ローヤの休日」感想4月9日分
http://togetter.com/li/122154

「ローヤの休日」感想4月10日分
http://togetter.com/li/122885


■そして、まだ詳細が発表できないのですが、金曜日(1/13)、土曜日(1/14)の2ステージ終了後には、アフタートークの開催を予定しています。その際のゲストは新年早々発表できると思いますので是非お楽しみに。前回、公演2週間前ですからちょうど今ごろの時点で前売が「1枚」しか売れていなかったという輝かしい歴史(?)を持つ彼らですが、今回はぜひ初日から詰めかけて頂きたい。お届けする芝居の内容には自信があります!
■一般的な話としてですが、名古屋での演劇公演は多かれ少なかれ、初日は客席が寂しくて、公演日程が進むに従ってどんどん席が埋まって行く傾向があります。これは初日には情宣が行き届いていなかったりするという、私たちの側の不手際の結果でもあるのですが、今回は、座席が埋まる速度が一段と早い、相当注目の公演になると思います。是非、是非ともお早めのチケット確保をお勧めいたします。ご予約は「ニトロ」特設サイトの「チケット」からどうぞ。
■皆様のご来場を心よりお待ちしております。なお、私も受付に入りますので、是非ご来場の際はお声を掛けて下さいね。

七ツ寺企画第17弾「昔の女」プレ・リーディングに出演します

2011年12月29日 | 舞台特に演劇


■忘れないうちにお知らせをしておきます。来年早々のお話です。1996年以来、様々な企画を世に出して来た七ツ寺共同スタジオが、おそらく初めてかと思うのですが、ドイツ戯曲を取り上げた公演を行います。ローラント・シンメルプフェニヒの「昔の女」。3月に行われるこの公演に先立って、1月21日(土曜日)午後7時からこの戯曲のプレ・リーディング&トークが行われるのですが、そこにお誘い頂きました。イベントの詳細はこちら、公演本体の詳細はこちらをご覧下さい。
■まだざーっとしか目を通していませんが、相当面白いですこの本。正月三が日、甥っ子姪っ子を押しのけつつ(笑)じっくり読み込んでみたいと思います。この後Afroのサイトにも掲載いたします。若手の勢いある公演を観るのもいいですけど、たまにはこういう骨太なものはどうですか?とりあえずプレ企画だし、1,000円だし。お気軽にいらっしゃって下さいませ。
■さて、まだまだお知らせすること、年内にはあるんです。詳しくは明日、書きます。

繊細な刃物のようなーshelf「幽霊」

2011年11月05日 | 舞台特に演劇

■当然の話かもしれないが、舞台全体を視野に収めるために大きな劇場では視線をあっちこっち、もっとおおげさに身体の重心を座席に腰を下ろしたまま左右に揺らしたりすることもある。それが、演劇的な楽しさや華やかさが伴うものであれば良いのだが、単に観る側に散漫なイメージだけを与えるだけの残念な結果をもたらす舞台作品もやっぱり多い。例えばそれは、七ツ寺共同スタジオのような小さな劇場であっても、舞台上で起こることをじっと凝視せざるをえないような緊張に溢れたところに遭遇するのは、実はこれまで少なかった。

■七ツ寺は来年開場40周年を迎える。自分が高校3年生の時に初めて訪れてからえーと、もう18年の間に一体何本の作品をあそこで観てきたか数知れないが、実は今週末つまり今日から、久しぶりに凝視しがいのある、濃密な演劇作品に出会えるということで非常に楽しみにしている。東京に本拠地を置くShelf(シェルフ)、継続的に取り組んでいるノルウェーの劇作家、ヘンリック・イプセンの「幽霊」が本日午後7時30分から名古屋での初日を迎える。

■一般的にイプセンは「旧来の陋習を破壊した個人主義に基づく新しい戯曲を19世紀末において書いた人物」なんて言われ方をする。高校時代に倫理の時間にちらっと出てきたりしたのは、それがヨーロッパ社会の社会通念が、世界史的に大きく転換する時期に軌を一にして変わりつつあったことの象徴となったからなのだろう。それを深く掘り下げる知識も筆力も自分にはないのでこれ以上は突っ込まないが、なんとまあこれほど揺れ動く日本に問うのに似つかわしい作家と作品であることか、と思う。ちらし表面に掲げられた戯曲の言葉にもそれは現れている。

■『わたしたちには取りついているんですよ。/父親から母親から遺伝したものが。/でもそれだけじゃありませんわ。/あらゆる種類の滅び去った古い思想、/さまざまな滅び去った古い信仰、/そういうものもわたしたちには取りついてましてね、/そういうものがわたしたちには、/現に生きているだけでなく、ただそこにしがみついているだけなのにー/それがわたしたちにはおいはらえないんです。』

■改めてリライトしてみるだけで、何だかさわさわしたものがキーボードから立ち上がってくる気がする。「古い信仰」だけではない。私という主体全体が、刻一刻と「古く」なっている。誰かが、すべての人間は緩慢と自殺しているだけだと言った意味と似ているかもしれないが、抗いきれない流れにそれでも抗おうとして生まれてくるさまざまなレトリック。それらがどれほどたくさん存在していて、かつそれら自体の間におびただしい数の通奏低音が存在しており、時折「暴力」呼ばれたりする。

■それが社会のありようだよと言ってしまえばそこまでの話なのかもしれない。ただ、できることなら抗うこと=生きることを肯定したい私たちにとって避けられないレトリック(+社会構造、人間関係、etc)の問題を昇華して私たちの前に見せてくれるのは、やはり舞台芸術、わけても演劇の力であるとあると思う。まるで、刺されたことがわからないほど細く繊細な刃物で刺されるかのごとく。そこに真正面から向き合う矢野さんとshelfの作品は信頼がおけるし、今日から始まる上演には、たくさんの方に観て頂けるといいなと思います。今日までに東京と京都で既に上演されており、その感想がtogetterでまとめられている(京都→こちら・東京→こちら)ので参考になさってください。

 

 

【名古屋公演】<名古屋市民芸術祭2011参加>

日時 /2011年11月5日(土)~11月7日(月) ※全4ステージ
11/5(土)19:00 ☆  11/6(日)14:00 / 19:00 ☆  11/7(月)19:00
・開場は開演の20分前 受付開始は開演の60分前です。
・☆の回は、終演後、演出家とゲストによるポスト・パフォーマンス・トークを開催します。

11/5(土)ゲスト 平松隆之氏 (劇団うりんこ/うりんこ劇場) 11/6(日)ゲスト 山上健氏 (建築設計者)

料金 / 一般前売 \3,000 当日 \3,500 (日時指定・全席自由席) 学生前売・当日共 ¥2,000

場所 / 七ツ寺共同スタジオ Nanatsudera Kyodo Studio
名古屋市中区大須2丁目27-20 tel/052-221-1318  地下鉄鶴舞線「大須観音駅」下車 2番出口徒歩5分
地下鉄名城線「上前津駅」下車 8番出口徒歩10分

イプセンって何?誰?という方はまずこちらから

http://ja.wikipedia.org/wiki/ヘンリック・イプセン


「会場選び」という演出と制作思考ーよこしまブロッコリー「体温と体液」

2011年10月10日 | 舞台特に演劇



■3連休の最終日はずっと家で「町奉行日記」の動画編集に明け暮れて家からほとんど出ませんでしたが、その前までに2本観劇、そのうちのもう1本がこの作品です。普段、私の「三十代の潜水生活」でもお世話になっているKDハポンが会場ということで、どういうことになるんだろうかなあと思いながら出かけました。で、この場所を選んだことが上演そのものにとって必要だったんだろうなと素直に思える芝居であったと思います。結論から申せば。
■人造人間というとおどろおどろしいものに思えますが、主人公が作っているそれは、一見してそれとは分からない精緻極まりない作りのアンドロイドです。ただし、裏の稼業として、ごく一部の友人を除いて、合い言葉を知っているわずかな客としか取引をしない工房に、3体のそれとともに暮らしているというのが舞台となっています。演出も務めるにへいさんの戯曲は特徴として、あまりシチュエーションを深く書き込まず、俳優の会話から関係を立ち上げて行くのが持ち味なのですが、正直な話として物足りなさを感じることが、これまでのよこしまブロッコリーの作品を観た印象として割とありました。額縁舞台で観ると、一層平面っぽさを感じたこともありました。そんなことをこのブログでも書いたことがあったように思います。
■ただ今回の上演は、それまで足りないなと思っていた空間の立ち上げ方に、明確な軸が加わったという意味で大きな成果があったのではないかと思います。それは、KDハポンという会場が持つ構造です。中央本線(名古屋口)の高架線路下にあるハポンは、まず中が打ちっぱなしのコンクリートがむき出しになっているのに加えて、客席が2層構造になっています。中2階の階段を登って席につくと、アクティングエリアをほぼ真上から見下ろすことができます。そこから、工房の「秘密」と、それを暴こうとする、頼ろうとするにせよ、アクセスしてくる他の誰かとの関係の現れ方が、最初から最後まで全部見えるのです。関係の「見える化」が行われたというか。覗き見できるというか。ただ作りが工房っぽいというだけでない理由を、そこに見出すことができました。
■逆に言えば、今後もここでやってしまえば良いのに…、とも思わないでもありませんが、そうすると私が会場を押さえるのに支障をきたすかもしれませんので(笑)、このブログだけでも独り言にしておきます。最後に付け加えるならば、これは会場選定をした制作者の成功と言ってもいいかもしれません。

演劇企画KIMYO Project'NICK'vol.1「カチ」

2011年10月07日 | 舞台特に演劇


■観てきました初日。ネタバレを避けながら簡単に。直後の感想としては、決して見て金返せだとかは思わない作品に仕上がっていると思いました。天白原駅から歩いてナビ・ロフトへ。そういえば前週に続いて、ここも観客として観るのは初めての団体でした。その昔「カラフル3」の武豊ラウンドに出ているんです。だから主宰にして作・演出の宮谷さんや、昔共演した山本一樹君は知っていても、スタッフとして裏に詰めっぱなしの自分は一体どういう作品をやっているところか分かっていませんでした。ただちらしを事前に見ていたので、ビジュアルには気遣いのあるカンパニーだなとは感じていました。
■多少緊張し過ぎていた開演前のご挨拶はありましたが、それ以外は前週とは大きく異なり、非常にシームレスな入場から開演までを待ちます。60名くらいのお客様の入りとみました。建て込みの大きさ、2層構造の舞台は手が込んでいました。そこを6つにブロック分けし、明かりと映像を分割して当ててゆく方法などは昔のシス・カンパニーの作品にも見られたものですが、スキルの高さに感心。2層×3コマの枠が、キャストを個人で分ける、トイレのパーテーションで分ける、檻で分ける…その他たくさんありました。全部は是非劇場でご覧下さい。
■評する言葉を今の時点で考えるならば、「若くて達者」だけど「達者、でも若い」という2つの面が両方とも目立った公演だろうと感じました。前者は舞台美術や音響、照明といった空間把握の能力と、それをきちんと生かそうとした演出に対してであるし、後者は主に出演者に向けられるものであろうとは思います。後半に進むに従って、時折会話の冒頭部分において、役者間の呼吸がズレる瞬間が若干目立つときがありました。冒頭部分では単なるセリフ回しのミスに留まっていたので、時間の経過に従って、役者陣の、肉体面ではなく、演じるための精神的な体力の残量に警告ランプがついていたということかもしれません。しかし、そういう役者陣の動きぶりは、そんなにあげつらう程他の要素とはかけ離れていないのではないか、と思いました。個別で申し上げれば、ゲスト出演の元山未奈美さんのがんばりに他2人の KIMYO女性メンバーが良い影響を受け続けたと言えるかもしれません。
■野心を感じる舞台であると思います。名古屋の若手劇団として、引き続き奢らず弛まず進んで欲しいなと思います。明日8日は14/19時で今日と同じキャスト、10/9からは一部入れ替わっての3ステージだそうです。詳しくは公演情報詳細ページへどうぞ。

酔っぱらってたら伝わらない~スマイルバケーションのロングラン企画

2011年10月04日 | 舞台特に演劇


■一昨日の「酔っぱらったら負け」というタイトルの文面をまとめましたが、実は書いていた日曜日の午前中、まさにタイトル通りをなぞってしまったような公演を観に行っていたのでした。伏見G/pitでのスマイルバケーションの公演「BLACK BOX」です。別の所で既に書いたのですが、10月1日から23日まで、3作品合計31ステージもの規模に亘って公演を行うカンパニーは、少なくとも地元に基盤をおく団体では1つとしてないと思われます。それならばもっと話題にも観劇前の期待なども聞こえてきても良いはずなのに、何だかまるで伝わって来ないですね、そういえばちらしも見ないですねえ、という趣旨でまとめたら、ツイッターでようやく情報が出始めたのを見つけたため、日曜日の午前11時の公演を観に行ってきました。
■劇団とか、ユニットとか、名前はいろいろあるけれど、公演を行う組織体そのものが持つ魅力って何によって生まれるものなのか?と思います。出演者や作家の書くテキストの魅力はもちろん、例えば、いわゆるスタッフロール的には「制作」と呼ばれる、お迎えする観客の皆様に対するおもてなしの姿勢も、少なからず影響を与えているように思います。ということで言えば、あまり集客が芳しくないと思われた(客席は半分くらいの入り)休日の開演時間を、断りもなく10分遅らせて始めるというのはどうなんだろうと思いました。旗揚げ直後の人員が足りてない状況で行われる公演ではないはずだし、やり繰りをすることで十分可能であると見たのですが。
■上演自体の内容については、これからずっと公演期間となるため、密室からの脱出を図る男女5人の物語であるという外形的な説明だけにとどめておきますが、肝心な所であやふやであるという点は、先に挙げた制作面での弱みと共通するものがあるように思えました。終演後、まるで楽しむことできずに劇場から出てきてしまってからここまで考えていて思い当たったのは、もしかしたら、自分たちがやっていること、やろうとしていることに対して、それらを「向上させるための疑い」が決定的に欠けているのではないか?ということでした。
■改めて入場時に渡されたパンフレットを開きます。出演者の方々の顔写真と言葉がならんでいます。読み流すとびっくりするくらい、ある一定のトーンでまとまっていると感じます。それらひとつひとつが何と言うか、どこかで自分も見聞きしたことのある、手あかのついたフレーズで埋まっているのです。本当にちらしのリード文とかではなく、この人ホントにこういう風に思って、こういう風に書いたのかな?各個人から集めるコメントであれば、それぞれの語り口、書き口に違いが生じるのが当然だし、それをある色彩でまとめあげる立場にあるのが制作者であったりするのですが、その気配がみえない気持ち悪さがあったのです。予定調和、とも言えるかも。
■ルールを破るためには破るためのルールが必要となるように、「熱い」「未熟」「くだらない」「バカバカしい」と言いつのるならば、同時に「熱くない」「成熟」「くだらなくない」「バカバカしくない」ものが自分たちにとって何か?ということを問わねばならないと思います。それは表現活動の核心だと思うんだけれど、今回の上演にはそれがなかった。別になくてもいいと言うならそれも選択だけれど、そう問うことで、現在よりずっと実質のある上演が可能になるのではないか(これまでとは作品の傾向が全く変わってしまっても)と考えてしまったのでした。だから、自分たちの言葉、他人が発する自分たちについて発された言葉(当ブログも含む)に酔っぱらっていては、伝わらないものがとても多くなるよ。もったいないよと書き残しておこうと思いました。

酔っ払ったら負け~「新団体設立の為のワークショップ発表会」

2011年10月02日 | 舞台特に演劇


■この土曜日、日曜日はあまり遠出しない代わりに、あっち行ったりこっち行ったり、「潜水生活」終った直後の週末はよくあるパターンですが、都合4本の舞台を観ました。その中で、先に紹介した↓の報告をしておきたいと思います。

ていねいに覚悟すること~「新団体設立の為のワークショップ」
http://blog.goo.ne.jp/afrowagen/e/d6fe7d46aa092d6588819bb0a4e33340

■昨日の記事で、どのようなカンパニーでも個人でも、どこかの時点で「大したことない」んだから気にするな、ということを書きました。身もふたもない言い方をしてしまえば、昨日の発表会はまさに大したことのない出来でした。どうも主宰の方の開演前の挨拶を聞く限り、予定していた23個のプログラムを進めたら、初回となった10/1マチネの回が140分を超える大長編となってしまったので、一部を取り止めたとのこと。ん?そんなに未整理の段階で出したのか?と一瞬思いかけましたが、改めてラインナップに、インプロのゲームがいくつか入っていたのを見つけて、ある推測が浮かびました。
■私がこれまで学んできたKeith JohnstoneスタイルのImprovisatsionにおいて、ワークショップとは別にショー(これも厳密に言えば「発表会」ですね)への出演を何度か経験しました。その時にplayerと並んで、シーンがより生きたものになるため重要なのは、directorによる適切なside coachが行われることでした。恐怖によって、あるいは虚栄によって、またあるときは支配欲などによって、playerはより有利な地位を占めようとします。厄介なのは初心者であればあるほど、自分自身の感情や欲求をなるべくさらさないようにそうしよう、とする傾向があることで、無意識にそういう状態に入り込んでしまうことも多いように思います。
■Improのことを考えだすとどんどん脱線するのでこのくらいにしておきますが、このside coachの存在が、メンバー相互間のアイディアのshare(共有)の度合いに比べて、まだ弱かったんだろうということは感じました。想定した時間の超過もそれが原因になったかと思います。ただ、逆に言えば、短時間の、いわゆる「シアターゲーム」という名前で分類されるプログラムならば楽にこなすことができるくらいの集団のスキルは備えているという印象は受けました。16「みんなで協力してー」など。あとは、例えばひとつのテキストを基に芝居を作るという段において、そのスキルをさらに高める方向、そして(生み出されるのか、どこからか用意されるのかは別にして)テキストそのものの精度を高める方向に生かすことができるかどうかが、この集団の将来に影響を与えるのではないかなと思いました。
■だからなのかもしれませんが。そういう可能性を感じさせてくれた「ワークショップ」という入れ物が、きっと今回参加した面々はきっと大好きなんだろうなと感じました。一体何回「新団体設立の為のワークショップ」って言ったよ?だいたい長いよ!(笑)と軽く突っ込みを入れたくなる位に。ならばここは、集団の居心地の良さに酔っぱらわずに、例えば主宰者の思い入れがこれでもかと詰まったテキスト(悪い意味だけでこういう表現を使っているわけではないが)のみに依拠するのではなく、丁寧に参加者同士の関係をワークショップを重ねて紡ぐことで出来るもの、それをもとにテキストを編んで戯曲にするというスタイルへの可能性を信じてみても良いんじゃないか?最近、名古屋でそういう創り方しているカンパニーって、意外に少ないような気がするのです。
■長く書きましたが、Improのゲームにも共通することをあと2つだけ。未知であることを怖がらないでほしいということと、エラーをすることは罪ではないということに気をつけて、なるべく長くカンパニーを維持していってほしい。そのためには、芝居の作り方を含めた、「基本のコンセプト」を追求することを怠らないことが大切だと思うし、専任の制作者やプロデューサーという「外部の目」の必要性も念頭に置いてくれたらなと思いました。随分上から申し上げました。失礼。

ていねいに覚悟すること~「新団体設立の為のワークショップ」

2011年09月29日 | 舞台特に演劇



■明日の「町奉行日記」の下読み2日目に入る前に、さらにその次の日に観に行く上演に関して、感じたことがあるので書いておきます。写真は試験管の折り込みに入っていた、B4縦1/2のちらし。束からどうやってもはみ出すサイズのちらしといえば、昔なら名古屋時代のホチキスとか、超光速★トイソルジャーも試みたことがあったけれども、随分久しぶりという印象があります。情報だけならネットでわかるし、それ以上の要素も作り込むスキルさえあれば(それこそホチキスのように)大して難しくないはずですが、あえてそこではなく、ちらしのサイズを
変えるという方法をとってきたのは、逆に新鮮でありました。「私たちが始まっている」という白抜きの文字が目立ちます。
■始まりを刻むことは大切である。なんて口幅ったい言い方をするまでもなく、無意識のうちに心身の記憶に残るものです。自分も役者として初めて立った時の時間は、どうにも忘れ難いものとして今でもよみがえります。苦い感触とともに。でも、そういう原点があるからこそ、その後の苦しさも乗り越えて来られたのだろうし、今も場所や顔ぶれは変わっても、演劇の舞台回りで活動する日々を送っているのだと思います。問題は、かつてのそういう自分の大したことなさをどこまで新鮮に抱き続けられるかという点なのではないかと感じます。エラそうに言えば。
■そういう意味で、このちらし「新団体設立の為のワークショップ発表会」に参加する人々が、どれだけそれぞれの「始まり」を意識して舞台に立てるか、ということにとても興味があるし、少なくともこういう切り口でちらしを作って来る集まりの今後の動向は、気にしてみてみようかなという気にさせられているのです。自分などが言っても大して説得力はありませんが、大丈夫です。大概のものは、どこかの時点で「大したことがない」のです。でも、大したことがないものは、大したものであった瞬間があってから初めて大したものでなくなるし、大したことがないものが、あれよあれよと大したものになったことを、実は私も、これを読んでいらっしゃるあなたも知っているはずです。この「始まり」に期待しています。
■さて、下読みに戻ります。あすはこちらで18:30からですよ。

新団体設立の為のワークショップ発表会
2011年10月1日(土)2日(日)
10/1…14:00/19:00 10/2…13:00/17:00
開場は開演の30分前(未就学児童入場不可)

公演協力費…前売500円 当日700円
会場…名古屋市青少年交流プラザ(ユースクエア)
http://www.yousquare.city.nagoya.jp/

「フラレタリウム」終了御礼。そして今週末は「『町奉行日記』を読む」

2011年09月28日 | 舞台特に演劇


■お客様の感想のツイートをtoggterを使ってまとめることですっかり満足してしまい、こちらのウェブログがすっかりお留守になっていましたが、終りました。試験管ベビーの「フラレタリウム」。どんな感じであったかはまた音源を公開できると良いのですが、しばらくお待ちくださいませ。なお、その感想ツイートはこちらのリンクからお読み頂けます。よろしければどうぞ。
■そして、3連休をちくさ座で過ごした後は、いよいよ9月30日(金曜日)午後6時30分頃からお送りする私のひとり朗読「三十代の潜水生活『町奉行日記』を読む」です。今回から2回シリーズで「法師川八景」をお送りします。簡単に申し上げれば、道ならぬ恋に落ちた2人のお話と見せておいて、鮮やかに読む者を裏切ってくれる周五郎世話物(と勝手に呼んでしまいます)の真骨頂をお聴かせします。すると思います。できるといいな。いや、やんるんだってば!お楽しみになさって下さいませ。
■そろそろ秋も本番。3年目を迎えた岐阜での「潜水生活」も、新たな展開を求めて進んでいきます。ギフレクとか、長良川おんぱくとか、エントリーしたろうかしらん、と勝手に考えていますけど、それより先にまず、シネックスホールのでのリベンジ戦ですね。きっと。