天狗の鼻より鹿島槍ヶ岳北壁全景
4月26~27日
鹿島槍ヶ岳・北峰(2842m)
単独
26日(晴れ)
ドッーン!ザザザザー、ゴゴゴゴー。
雲一つない青空の下、鳴るはずもない雷のようにどこからともなく響く雪崩の音。
大谷原を出発して、簡単な徒渉を数回をこなし、雪が消え藪がうるさくなってきた天狗尾根末端から急な斜面へと取りついてから数時間。
気温が高くなりだし、雪が緩み、不安定に斜面に残っていた雪がもう耐えきれんとばかりに次から次へと落ちていく。
その音や雪崩を見聞きする度に、明日は大丈夫だろうか?と僕の心境は穏やかではいられない。
12:30、思っていたより早く天狗の鼻に到着。明日のカクネ里への下降ルートを偵察。
戻ってくると、2組のパーティーが登ってきた。
特にすることもないのでお昼寝をしてラジオ聞いて、夕食食べて18:30就寝。
大谷原7:00~天狗の鼻12:30
27日(晴れ)
2:00起床。そんなに眠れないだろうと思っていたが意外に眠れた。
3:30出発。前日のうちに下降ルートを偵察しておいて正解だった。暗い中でも何も心配なくカクネ里へと下れた。
明るくなりだし、目の前に迫る北壁。トポと見比べ取りつきを探すがどこか分からずしばらく迷いながら登り詰めて行くと蝶型ルンゼが確認できようやく取りつき点へ5:00.
蝶型ルンゼ
良い感じに雪はつながり締まっている感じがする。
簡単な雪壁を登り、カクネ里を見下ろすと高度感抜群、ここで落ちたらどこまで行ってしまうかを想像し、これは助からんなと答えを出す。
雪壁を越えると脆そうなブッシュ交じりの岩場とその左には氷瀑。それほど考えもせずに氷瀑へと取りつく。
数m登ると一反傾斜は落ち、その後核心、傾斜80~90度近く15mほどとなる。落ち着きながら一手一手、一歩一歩、アックスとアイゼンをきめていく、一瞬だけ足が外れ足ブラ状態になった時はヒヤッとしたがすぐに体勢を整えた。この時ばかりは、足元は見れてもその更に下までは見ることはできなかった。
そこを越えると雪崩の巣のような雪壁、登っている最中もザラメがサラサラと落ちてきくる。右手の雪稜を回り込みブッシュ交じりの雪壁を登り、息を切らせながら更に登り詰めて行くとトレースの残る頂稜へと出た。北峰へと登り乾ききった喉を潤すと、やっとホッとした。(7:30)
雪崩を通り道となる長い雪壁を登る。
北峰到着。
雪が緩んで来る前に下降したくて、休憩もそこそこに下山。途中天狗尾根を通り越し、東尾根方面へ行ってしまったがすぐに気付いて事なきを得る。
天狗尾根下降中に天狗の鼻に泊まっていた2パーティーとすれ違う。
(今回、北壁主稜ではロープは使わず、天狗尾根の下降で一度懸垂で使用。)
テントを撤収して後は腐ってきた雪とシュルントに気を付けながら下山。カラカラになった喉を荒沢の水で潤し、春を通り越して夏になったのではないかと勘違いするような陽気の中をもくもくと大谷原へ。
北壁主稜、面白いルートです。真冬に雪崩の恐怖と闘いながらここを登る精神力はすごいとしか言いようがない。
BC発3:30~取りつき5:00~北峰7:30~BC9:10~大谷原12:30
今度18日雑穀の予定。今日は黒岩、けんちゃん参戦。5,6日が休みだとは前日まで知らなかったという、相変わらず天然ボケ発揮でした。でも夕方、11aをOS(相変わらず必然性のない?すごいムーブで)。0Sグレード更新だそうです。
ちょっと無理が祟ったか、ここ数年で一番の膝痛&腰痛です。しばらく里山ハイクを楽しもうかと思っています。
太陽に照らされて輝くISS、僕もいろいろな方々から力を借りて、ぼんやりランタンのように輝いていきたいものです。
さすがけんちゃん相変わらずの天然&ムーブ!セクシーボイスが無かったのは残念でしたね。