鹿嶋少将の航海日誌second

宇宙戦艦ヤマト新作情報・二次創作他、気になったものなどをお届け(^-^)

アマゾーヌ-朧世のワルツ-第五話

2021-12-27 21:01:00 | オリジナル作品

話を終えた私たちは再び個室に戻った。
展望車で話を聞いていた時よりは、イライラは治まっていたけど、スカッとしたくて仕方なかった。
私はシャワーを浴びる事にした。
各個室には少し狭いけどシャワーが設置されている。
列車に備わる設備だけど、やっぱり一等の客車だけの事はある。
お洒落な造りで、気分はそれだけで解(ほぐ)れた。
全面ガラスのシャワーボックスって感じね。
特殊ガラスでイルミネーションが仕込まれているわ。
最初は「えっ!?」って思ったのよ。
そりゃ、個室のシャワーだから誰々が観る訳では無いのだけど、全面ガラスはなぁ。いくら身内でも私は姉と違って恥じらいはある。
でも、シャワーボックスの扉の横に説明が貼ってあり、それを読んだら安心出来たわ。
イルミネーションの他には雪の結晶が拡大されて映し出されたり、海の中の風景だったりと、バリエーションが幾つかあるの。
テンション上がりながらシャワーボックスへ。
鼻歌、歌いながら浴びるシャワー。
ついさっきまでのイライラは何処へやらと。
シャワーを終え、シャワーボックスから出た私はベッドへ向かうと、ベッドの上に一枚のメモ紙が置いてあるのに気がついた。
姉の置き手紙だった。
そう云えば、姉の姿を見かなかったが、気にも止めなかった。
置き手紙にはカルヴァドスさんたちの部屋へ行ってます。と書いてあった。
私も身支度整えて行こうと思い、髪を乾かしはじめた。

「疲れ、貯まってたかな。」
「少し眠くなって来たな。」と思いながらも髪を乾かした。
けど、物凄く睡魔に襲われ、いつの間にか寝落ちしていた。


【夢魔シルヴィ】

「夢霊波動、浸透したみたいね。」

「お待ちしていましたわ。ミヤビ。」

「ん!?」
「気安く呼ぶ貴女は誰?」

「私!?」

「私は貴女。貴女の心よ。」
「夢の旅人とも云うわ。」

「……夢。」
「あっ。髪を乾かしてたら睡魔に襲われ、そのまま寝落ちしたんだっけ。」
白いとんがり帽子に白を基調とした、おとぎ話に登場する魔法使いが着るようなメルヘンスーツを着た少女。
メルヘンスーツには色とりどりの大小さまざまな宝石がちりばめられていた。
その少女は夢の中の私だと云った。
メルヘン的なのも悪くないけど、私には不向きかもと思った。

「今、不向きと思ったでしょ。」図星だった。
「不向きなんかじゃないわ。貴女の深層心に居る私だもの。」
「貴女には愛が足らないわ。」
「今から、たっぷり愛を育みましょう。」
と少女は私に覆い被さって来た。

「わわわわわわわぁぁぁぁぁぁぁーー。」



「な、何だよコイツ!」
「変身しやがった!」
「て云うか……こ、コイツ重く成りやがった………。」

「うふふ。」
「抵抗しても無駄よ。」
「今からアタシが貴女を快楽=煩悩の世界へ堕としてア・ゲ・ル・わ。」
「楽しみなさい。」

「なっ、何だよコイツまた、変身しやがった………。」

「………や、やめてよ。」
「そんなところ……触るな……よ。」

だが、そこへ姉のヒビキがカルヴァドスさんたちの部屋から戻って来た。
あまりにも私が遅いので、様子を見に来たのだ。
ただ、部屋の前には乗務員が立っていた。
部屋の中を伺うように立っていた。



「あら、乗務員さん!?」

「あっ。この個室のお客様ですか?」

「ええ。」
「何かご用ですか?」

「いえ。たまたま通り掛かったら部屋の中から大きな物音が、致しましたので。」

「そうでしたか。」
「妹が居るはずなんですけど」とキーを回した。

「何事も無いようでしたら私は、これで失礼します。」



「チッ。」

私は完全に寝ていたようだ。
でも、彼処で姉が戻って来なかったらと考えると、少し怖く成った。
嫌な夢だった。
リアル過ぎるくらいの夢だった。

「ミヤビ。」
「ううん。」と返事が返った事で姉は、安堵の表情を浮かべたようだった。

「ミヤビ。大丈夫?」
「急な事だらけで疲れでも出たかしら?」
「まぁ。大丈夫そうだけど、ミヤビ。服くらい着なさい。」
「セキュリティーは万全な列車だけど、万が一って事もあるからね。」
「いくらミヤビ。貴女が強くても、裸じゃ防御優先になりがちだからね。」

私は裸である事に、たった今、気がついた。「カァー。」と顔が紅くなるのが解った。

「でも、参ったよ。」
「突然、眠く成って寝たまでは良かったけど、嫌な夢を観たよ。」
私はうつむき加減で云った。

「嫌な夢?」

「そう。」
「なんて云ったらいいか、エッチな夢。」
「しかも……しかも同性の。」

「ミヤビもお年頃かな。」
「とにかく、服を着なさい。」

私はようやく身支度を整えた。

「お昼、食べたら少し、ゆっくりなさい。」

「……そうするよ。」

「私は軽く室内で出来る筋トレするから。」

昼食を取り、姉は筋トレ、私は軽く昼寝する事にした。
今度は、姉もそばに居るから安心かな。
一時間ほどで、目は覚めた。
姉はまだ筋トレ中、私も筋トレをはじめた。
寝て食べてだけじゃ身体が鈍(なま)るからね。
私が筋トレをはじめて30分くらい経ったところで、一段落したのか姉はシャワーを浴びにボックスへ入った。
鼻歌が聴こえて来た。
やっぱりテンション上がるよね。と思った。

「コンコン。」とドアをノックされた。
私は、そ~とドアに近づき「どちら様?」と訪ねた。

「カルヴァドスです。」

私は鍵を空け、「どうぞ。」と招いた。

「次の停車駅シンガポールで三時間ほど停車するらしい。」
「予定外のイレギュラーだ。」
「まぁ。でも気晴らしに下車も可能らしいので、散歩しないか?」

「良いわね。」
「姉は今、シャワー浴びてるから出たら伝えておくわ。」
「それで、シンガポールには、あと何れくらい?」

「二時間後くらいだ。」
「如何なる時でもトレーニングは欠かさないんだね。」

「そうね。暇潰しにも成るから。」
「良かったわ。シャワー浴びれるわ。」と笑顔を覗かせた。

「じゃあ。二時間後に。」要件を伝えてカルヴァドスさんは自室へ戻った。


第六話へ
つづく。

この物語りはオリジナル作品です。
登場する人物、企業等は全て架空です。
実在する人物、企業等は関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです