鹿嶋少将の航海日誌second

宇宙戦艦ヤマト新作情報・二次創作他、気になったものなどをお届け(^-^)

アマゾーヌ-朧世のワルツ-第四話

2021-12-23 16:13:00 | オリジナル作品

「くっ……苦しい………。
「もう限界だ。」この言葉がバーニャの頭の中で自身の声で"こだま"のように何度も繰り返された。
注入される唾液の量が増してゆくのを感じていた。
バーニャの全身から脂汗が吹き出て来たのと同時に、ねじり込まれた触手の隙間から唾液混じりの便が染み出て来てしまう。

「ん!?」
「おやおや、寄生虫ナールには栄養素が隙間から滲んで来たね。」
「バーニャとか云ったね!?」
「何やら滲んで来たね。」
「巫女様で戦士がお漏らしかな?」
「お前が街を明け渡すと宣言すれば、この苦痛から解放してやるよ。」

「宣言致します。全てを受け入れます。」「どうか苦痛から解放して下さい。と誓え。」

「……悔しい。」
「もう限界です。どうか、もうやめて下さい。宣言し、誓います。」と、お願いすれば楽に成るかも知れないと、そう思い始めた時だった。
妹のカウニャが叫んだ。

「姉様!」
「これ以上、伯母さまを、伯母さまを苦しめられない!」
「伯母さまの云う通り、式神を召喚しましょう!

「姉様ッ!!」

姉妹は式神を再び召喚した。

「古の契約を今、果たす時、わが剣と成り目の前の魔霊体を滅ぼせ!!
式神の召喚と同時に雲の切れ目から朝日が射し込んだ。
魔霊体は思わず、両手で掴んでいたバーニャの両足から手を放してしまう。

「ギャァァァァーーーッ!!」
「陽の光だと!?」


「……!?」
「コイツ。陽りに弱いのか?」

魔霊体が手放した事で、完全に解放された訳ではないが、自由度は増した。
「反撃させて貰うから覚悟しろよ。」と頭に思い浮かべたバーニャは、先ずは自身の体内にねじり込まれた触手を鷲掴みにし、寄生虫が入り込まぬよう、慎重に抜いた。
危ないところだった。
寄生虫は触手(舌)の先端まで来ていたのだ。
陽の光が苦手なのか、天敵から身を守るように縮んで行った。
やがてカチカチに固まり、動かなく成った。

「散々、苦痛を与えてくれた礼を返してやるよッ!!」

「破頭拳ッ!!」

「ブシャ!」と鈍い音と共に破頭拳の衝撃で地面が抉られ、紫色の体液を散らし寄生虫は死に絶え、魔霊体は式神によって成敗された。
だが、この時は気がつかなかったがバーニャの身体は、魔霊体の唾液によって蝕まれていた。


【魔霊体四天王コマンダ】

「流石に、この街は一筋縄では行かぬか。」と街の正門の上から高みの見物を決め込んでいたコマンダは一度、街から姿を眩ました。

◆◇◆◇◆◇

一方、マリンエクスプレスの展望車に移動した私たちは、最後尾のカウンターテーブル席に腰を下ろした。
すぐにウエイトレスが寄って来る。

「何かお飲み物をお持ちしますか?」

「そうだな。」
「サトラガ・クーラーを4つ。」
メニューを見る事なくカルヴァドスは注文した。

「かしこまりました。」

数分後、注文したサトラガ・クーラーが運ばれて来た。
ジンジャーエールをベースにしたノンアルコールの炭酸飲料水だ。


サラトガ・クーラーは、クーラーと名が付いているものの、ノンアルコールカクテルである。
※クーラーとは、酒に酸味を加え、炭酸飲料で割ったカクテルの事。
サラトガとは、アメリカのニューヨーク州に存在する町の名前。なお、ノンアルコールカクテルの中には、わずかにアルコールを含有したものもあるが、これについてはアルコール度数0%である。

クラッシュド・アイスを入れたコリンズ・グラスに、ライム(ジュース)とシュガー・シロップを注ぎ、ジンジャー・エールでグラスを満たし、軽くステアしたドリンクだ。
ライムは、その場でウエイトレスが生のライムを絞った。
とてもフレッシュだ。

「お飲みになるまえにストローで軽くステアしてから、お飲み下さい。」


カルヴァドスはチップを渡した。
「此方から呼ぶまで、私たちの世話はしなくて良い。」と告げた。
澄ました顔で「かしこまりました。」と去って行った。

「さて、東京には約24時間後に到着だ。」

「魔霊体の話は出発前に話した通りだ。」
「ここから話す事は何故、統一大統領が、この事件に関わっているかを話すとしよう。」

話によれば、統一大統領が推し進める"不老不死"電脳化システムによって、身体をサイボーグ化し、更に電脳化すれば、魔霊体に成らずに済む。と施工前に告げられるそうだ。

「今、世間に拡がりをみせている奇妙な怪事件から身を守事が出来るとね。」

「……成る程ね。」
姉は呟くように云った。

「でも、身体をサイボーグ化するだけで、何も電脳化する必要までは、要らないんじゃない!?」私は疑問を投げ掛けた。

「普通ならそれでも構わないのだけど、厄介なのは、魔霊体は生の脳をコントロールするんだ。」
「サイボーグ化は死ぬ事の無いと云うか、パーツさえ交換んすれば、ほぼ永久的に生きられるが、脳死は避けれないだろ?」
「それに魔霊体に好都合なんだ。」
「魔霊体の意思のままにコントロール出来るのだからのね。」

そう。民には死の恐怖を煽り、「不老不死」を薦め、その時の年齢を維持出来ると電脳化を推奨、これがある程度と浸透したタイミングで、魔霊体による怪事件と魔霊体に感染すると脳をコントロールされると発表した。

「これで民は、このシステムにしがみつく。」
「それこそ統一大統領の狙いだ。」
「統一大統領は全てを支配下に置く為にね。」
「電脳化によって全ての民のデータを管理する。」

「す、全てを!」思わず私は大きな声で聞き返した。
私たちの方へ一時的に視線が集まった。

「そう。全てだ。」
「年齢、性別、癖、家族など基本的な事から好きな食べ物、恋愛や趣味等々だ。」
「プライベートなど無い。」

「……たまったものじゃないわね。」

今、話せるのは、ここまでだ。カルヴァドスは話を終えた。
東京に居るという協力者は更に独自で調査しているらしく、もっと詳しく話しを聞けるとの事だった。
私たちの共通の目的が、これでハッキリした。
魔霊体を駆逐、統一大統領を解任。
怪事件はでっち上げと公表する。である。

「こんな事、許されない。」私は握った拳を震わせていた。


第五話へ
つづく。

この物語りはオリジナル作品です。
登場する人物、企業等は全て架空です。
実在する人物、企業等は関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです。