鹿嶋少将の航海日誌second

宇宙戦艦ヤマト新作情報・二次創作他、気になったものなどをお届け(^-^)

with・EVE-イヴ-「第九話」

2021-06-08 20:30:00 | オリジナル作品

「ん!?裏切り者のゼロか。」と口を開きながらデス・シャドウは手の掌をゼロの足元に向け、一発だけバクテリオ・マジックを放った。
土ぼこりが小さく舞った。
戦闘体制を整える私たちにデス・シャドウが再び口を開いた。

「リリスは還して貰った。」その言葉と同時に、葬ったはずのリリスがムクリと起きあがった。



「……。」

「リリス。下がっていろ。」機械混じりの野太い声を拾うように、無意識なのかリリスは辺りをキョロキョロとしながら見渡すと、デス・シャドウの背に隠れた。
同時に辺り一面にバクテリオ・マジックの光弾が拡がった。

「バババババババッ!」と花火が連発で夜空に華を咲かせたかのように拡がった。
白い煙が私たちを包み、それが晴れるとデス・シャドウとリリスの姿は視界から消えていた。

「……。」

「……!?」
「……消えた………。」

「ぐずぐずしてられないわ。」
「結界は消えたし、人間たちが気がつくわ。」

ゼロの云う通り、デス・シャドウたちが去り、5分もしない内に国家警察を含め、警備員やら一般職員やらが、ざわざわと押し掛けて来た。
戦場と成った場所は直ぐに規制線が張られ、野次馬的に集まった一般職員、市民らは強制的に規制線外へと追いやられた。



「それ以上、動くなッ!!」
「子供の悪戯です。は通じないからな!」
「そのまま、武器を捨てて頭の上に手を乗せ、道端に伏せろ!」

はじめは数名の警察官が距離を取りながら私たちを取り囲んでいたが、直ぐに応援が駆けつけて来た。

「ありゃ。やっぱり子供に見えるか?」と呑気に口を開くツー。
苦笑いのゼロ。
ワンは私に目線を送ってくる。
私は全員に合図を送るように警察官に云われた通りに、頭の上に手を置く素振りを見せながら少し強めにフェロモンを撒いた。
幻覚と幻聴が甘い香りと共に拡がった。
一人、また一人と膝から崩れるように地面に倒れてゆく。

「今のうちに宇宙船を拝借しちゃいましょ。」と私はゼロをドローンの肩に乗せ、スペースポートを進んだ。


「おお!」
「あれに乗って火星(エデン)だね。」何時もと変わらず、目を爛々と輝かせツーが云った。

-火星:エデン-

その頃火星(エデン)では・・・



サマエルの前に片膝を床に付け、頭(こうべ)を垂れる二体の姿が、あった。
デス・シャドウとリリスだ。

「シャドウ。ご苦労であった。」
「リリスには、もう少し進化が必要か……。」

「仕方ない。キメラを使う。
「リリス。少し苦しいが直ぐに楽に成る。
「ほんの僅かな時間だ。耐えよ。」

「はい。」リリスは頭(こうべ)を垂れたまま、云われるがまま、受け入れた。
苦痛に眉間にシワが縒る。
裸体をさらけ出し、小刻みに揺れ出した。
揺れる身体から青白いプラズマ波が幾つも放電、苦しさは更に増した。
頭を上に向け、首筋に両手の爪を這わせた。
充血した眼を見開き、サマエルを怨めしそうに見つめた。
サマエルは軽く笑みを浮かべながらリリスの目線を反らした。
獣の遠吠えのような雄叫びが玉間に響き渡った。
上に向くリリスの口から眩しい光が天を目指し、舞い上がるとリリスはその光に全身を包まれた。


「リリス。よく耐えましたね。」
「褒美の雄を差し上げます。」
「気の済むまで交尾をするがよい。」

「お前にはキメラが備わった。」
「蟲のキメラを授けた。今まで以上の能力に期待する。」

「裏切り者のゼロとイヴたちを打ちのめし、我の前に連れて来るのだ。」

「仰せの通りに。」そう返事をすると、リリスは赤黒い大蜈蚣(おおムカデ)の姿に変わり、床を掘るようにして玉間から消えた。


第十話へ
つづく。


この物語りは架空のフィクションです。
登場人物、メカ等は架空です。実在する人物とは関係ありません。
挿し絵的画像はイメージです。