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鹿嶋少将の航海日誌second

宇宙戦艦ヤマト新作情報・二次創作他、気になったものなどをお届け(^-^)

◇異次元銀河からの使者◇宇宙戦艦ヤマト復活編スピンオフ③

2020-12-13 01:01:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝

感を取り戻しつつある古代は翌日の訓練課題から戦闘訓練を加えた。

「そう云えば、佐々木君は暗黒星団帝国の奇襲を体験しているんだったな。」

「はい。」
「古代教官。一つお願いがあります。」

「何だね?」

「佐々木君って呼れるのあまり好きじゃないです。美晴って呼んで下さい。」

「えっ!?あっ。」
「解った。これからは美晴君と呼ぶようにする。」

「えっと。さっきの質問の答えですけど、あれは忘れもしません。」
「私はあれが、あの奇襲がパイロットを目指したきっかけでもあるのですから。」

あれは忘れもしない西暦2202年。 突如、襲来した暗黒星団帝国の兵器、重核子爆弾。 さらに、続々と押し寄せてきた敵の大戦力の前に、地球防衛軍は敗北し、地球は瞬く間に制圧されて行った。 暗黒星団帝国は、重核子爆弾によって人類の脳細胞を一挙に死滅させることが出来ると脅し、ヤマトの所在を示せと要求する。




次々と地球の重要都市は制圧され、防衛軍は壊滅に近かった。 無差別に攻撃され、人類は虐殺されて行った。幼かった私を母は必死に庇いながらひたすら街中を走り、逃げた。 容赦ない空爆、機銃掃射の嵐。 死を覚悟しながら私は母の手を「ギュッ」と握り、足手まといに成らないように必死に母のペースに食らいついて走った。 母は走り疲れてたのか、地面に散らばる瓦礫につまづき、倒れ、私も釣られるようにころんだ。痛さを堪え白煙や黒煙、燃え盛る炎の隙間から覗かせる空を見上げた。 暗黒星団帝国の艦載機が襲って来ない事を願いながら見上げた。

「……見つかった。」恐怖で身体は震え、声は出なかった。

「助けてぇーーーっ!!」叫んでいるのに私の声は自分の耳にも聞こえない。 大きな影が母と私を覆った。 母も私も目を閉じた。機銃掃射の音が聴こえ、地面を抉る幾つもの弾痕と土ぼこりが近づいて来るのが解った。

「もうダメだ。」と思った時だった、一機のコスモタイガーⅡが、私たち親子を狙う暗黒星団帝国の艦載機を撃退、私たち親子は命を救われました。

「これが軍に入隊し、パイロットを目指したきっかけです。」

「辛い話をさせてしまったな。」

「いえ。大丈夫です。気になさらないで下さい。」

「古代教官は暗黒星団帝国に乗り込んで行ったんですよね!?」 「戦史で習いましたよ。」

「乗り込んで行ったは、ひどいなぁ。間違いではないが。」 「忘れもしない戦いだった……」

甥であるサーシャを射殺され、その光景を見た俺は怒りに任せ波動砲を発射。 波動砲により、人工都市は爆発し、デザリアム星も崩壊した。 暗黒星団帝国の母星デザリアムと波動エネルギーの融合による爆発は二重銀河全体にもおよび、二重銀河は崩壊し、新しい銀河が生まれた。

「正確に生まれようとしていた。」

「そうだったんですね。」



この新たに生まれた新銀河。そこに新たに芽吹いた新生命体。 後に、この生命体は形成途中の銀河ごと異次元断層へ墜ち、異次元銀河と成り、異次元の生命体と成った。

だが、これを知るものは誰一人として居なかった・・・

④へ つづく。

~あとがき~

この物語は【宇宙戦艦ヤマト復活編】のスピンオフ二次創作です。

【スピンオフ小説アクエリアス・アルゴリズム】は、おそらく公式設定に成るのでは!?と思いもあり、完結編~アクエリアス・アルゴリズムの隙間のスピンオフは書けそうだな。と思い書きました。

※コスモパルサーの一部設定は私的設定です。



◇異次元銀河からの使者◇宇宙戦艦ヤマト復活編スピンオフ②

2020-12-12 19:14:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝

自分がエースパイロットを育成する!?
「真田さん。有難い話ですが、自分は加藤や山本ほど、パイロットとしての腕はなく、育成する器ではありません。」

「……う~ん。弱ったな。」
「今の防衛軍に古代、君より腕の良いパイロットが居ないのが現状だ。」
「パイロットに志願する候補生は、数多く居るのだが……」
「今、医師免許を取得する為、中央医大に通いながら、パイロットを目指す候補生が居てな。」
「佐渡先生の所に下宿してる女子なんだが、コスモタイガー隊の勇姿を少女時代の頃に見たらしく、命を救われた過去を持つ候補生なんだが、引き受けて貰えんか?古代。」

「……少女時代と云うとガトランティス戦役ですか?」

「いや、彼女が8歳の時と云ってたから、あれは暗黒星団帝国が地球へ攻め込んで来た時だ。」
「彼女は母親と空爆を避けるように逃げていたが、地面に転がる瓦礫につまづき、母親は転んでしまった。」
「無差別に空爆する暗黒星団帝国の艦載機が機銃掃射に切り替え、彼女たちも狙われた。」
「だが、その時、一機のコスモタイガーが彼女たちを救った。残念な事に救ったコスモタイガーは追撃され、脱出したパイロットもまた、機銃の餌食と成った……」
「それを目の当たりにした彼女は、パイロットに成る事と命を救う医師の両方を目指した。」
「こんな過去を持つ彼女に心を打たれた佐渡先生が、優秀な宇宙戦士を紹介すると云ったらしいんだ。」
「云った手前、俺に相談された。」

「それで自分に!?」

「ああ。俺は開発者としては軍に席を置いては居るが、その開発と今、動いているプロジェクト終了後、防衛政府の仕事が中心になる。」
「頼めるのは古代、君だけなんだ。」
「彼女はあと、3ヶ月でパイロットの訓練生を終える。その後、医大生としての残りの4年を過ごす事に成る。」

「あと4年ですか?」

「そうだ。医師免許取得するには、6年医大で勉強しなければ成らないからな。」

古代は夕日を見つめ「解りました。」と返事を返した。
それは、その彼女が訓練生を卒業と同時に自身も軍から身を引くと決意したからだ。

「3ヶ月。3ヶ月、自分が育成しましょう。」

「おお。やって貰えるか。」
「助かったよ。これで佐渡先生の面目も立つ。」
「ありがとう。古代。」
「軍参謀長の芹沢さんと、今期で長官を辞職する藤堂さんには、俺から話を通しておく。」
この後、軽く世間話を交わし、二人は別れた。
こうして3ヶ月、古代は臨時ではあるが航空隊教官に着任した。


この物語は後に、ディンギル軍残党によるアクエリアス事変と呼ばれた【アクエリアス・アルゴリズム】が勃発する三年前の物語りである。

時に西暦2212年ー冬ー月面上空


【コスモゼロtype21】古代機

【コスモパルサーtype2012(訓練機
)】佐々木機

訓練機を操のは宇宙士官学校卒業を3ヶ月後に、控えた「佐々木 美晴」年齢は18歳。古代より11才の差がある。
古代は過去に戦闘訓練の一環として、当時、新人クルーを教育・訓練した経験がある。
当時は、血気盛んな候補生北野 哲の同期でエース候補の坂本 茂を中心に飛行訓練・飛行戦闘訓練を行った。
あの頃の機体とは性能も段互いの機体だ。
また、古代にしても乗り継いで来たゼロではあるものの、飛ばすのは久しぶりである。
任務と云えば、もっぱら護衛艦の艦長職だったのだが、近年では司令部での内勤を過ごす日々が多く成っていた。
そんな内勤に嫌気がさしていたのも、軍を辞めよと思ったきっかけの一つである。

「佐々木君。先ほど真田技術士官から紹介され今日から3ヶ月、自分が君の教官を務める事に成った古代だ。」
「よろしく。」ヘルメットに備わるインカムを遠し、古代は改めて挨拶をした。

「宇宙での飛行は久しぶりでね。今日は流す程度の訓練にしておこうと思う。」

「ラジャー。」


同じ頃、銀河中心部中心内では最期を迎え、ブラックホールに呑み込まれた中性子星に異変が起きていた__。

「異次元断層の接続を確認した。」
「続いてダークマターエネルギー粒子、放出開始!」
「あと120時間で我々の大ウルップ恒星系との接続が完了します!」
「異次元銀河として誕生後、恒星系戦争に必要な資源調査を開始します!」

「うむ。」


恒星間国家連合を統治するに相応しい国家にSUSは生まれ変わらなくてはならない。
その為には何としても、"あの力"が必要なのだ。
我々、ヒューマノイドタイプには存在しない力。
SUS元老院「ネルソネア」は、そう語った。

【ネルソネア】 ネルソネアは親の代から引き継ぐ元老院の一人。 いわゆる"七光り"元老院である。 若干20歳(はたち)という若さで元老院に昇格、中核的な存在と成る。 身長は168cmでスリーサイズは88/58/88のプロポーションの持ち主。 下縁眼鏡を掛け、帰国子女的な雰囲気が漂う女子である。

"あの力"とは何なのか、今は解らない。
とてつもなく巨大な力、この太陽系の存在する銀河系には存在しないもの。
今や、ガルマン・ガミラス帝国もボラー連邦も崩壊、存在しない。
ある意味、この二大国家が存在した時代の方が、銀河系は平和を保てたかも知れない。
ふつふつと煮え始めた暗黒の力。
地球時間であと5日の後、それは動き出す__。


③へ
つづく。


コスモパルサー / 重爆撃機コスモタイガーIIの後継機となる新型艦載機。 基本、単座型機であり、機首前方上下に機関砲6門を装備し、左右両翼の上下にミサイルパイロンがあり、ミサイルを大量に搭載できることが特徴。 翼は折り畳み機構になっており、下部の安定翼は引き込み式になっている。 重爆撃機はコスモパルサーに複合爆装ポッドを追加した複座機で、ポッド内には268基の高性能炸薬弾が装備され、主に対艦・対地戦に威力を発揮する。

機体

全長:19.4m(※エンジンノズルガードがコスモタイガーⅡより2m延長された分長い。) 全幅:8.2m 全高:3.2m(4.4m垂直尾翼展開時)

総重量:18.5t(ミサイルオプションを含まず。)

乗員:1名 武装 固定武装:30mmパルスレーザー機関砲×6門(機首上下)※他オプション有り。

~あとがき~

この物語は【宇宙戦艦ヤマト復活編】のスピンオフ二次創作です。

【スピンオフ小説アクエリアス・アルゴリズム】は、おそらく公式設定に成るのでは!?と思いもあり、完結編~アクエリアス・アルゴリズムの隙間のスピンオフは書けそうだな。と思い書きました。

※コスモパルサーの一部設定は私的設定です。


異次元銀河からの使者◇宇宙戦艦ヤマト復活編スピンオフ◇

2020-12-12 00:01:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝

西暦2203年、銀河系中心部で大きな異変が生じた。 異次元から別の銀河が現れ、核恒星系付近で銀河系同士の衝突が起こり、多くの星々が消滅した。 古代進は宇宙戦艦ヤマトの艦長として地球防衛軍の命を受け、この宇宙災害の調査と、その宙域にある友好国「ガルマン・ガミラス帝国」の本星へ赴いていた。 だが、生存者を確認出来ないまま宇宙災害の大爆発に呑み込まれ、やむなく危険を冒して緊急ワープを強行し、この宙域から離脱した。 そんな中、地球から3000光年離れたアンファ恒星系にて、銀河を回遊する水惑星「アクエリアス」が現れ、その第4惑星「ディンギル星」を水没させた。 偶然、ディンギル星の至近距離へワープアウトしたヤマトは、アクエリアスの水に襲われ逃げ惑っているこの星の人々を目撃する。古代達は決死の救助活動を行うが突如ヤマトを大波が襲い、1人の少年を救っただけでヤマトクルーに多大な犠牲者を出す結果となった。 その後、ヤマトはディンギル帝国の艦隊と遭遇し、ハイパー放射ミサイルの攻撃を受けて全乗組員が仮死状態または死亡、戦闘不能に陥るが、墜落した惑星で運よく自動航法システムが起動し、地球へと向かう。 母星を失ったディンギル星人の長「ルガール」は新たな移住先として地球に狙いを定め、アクエリアスを人為的にワープさせることで母星と同じように地球を水没させ、地球人類を絶滅させた後に移住することを画策する。 自動航法にて地球へ帰還したヤマトの情報からアクエリアスの存在を確認した地球防衛政府は、接近してくるアクエリアスによる水没を避けるため人類を地球からの一時避難を開始するが、ディンギル艦隊の攻撃によって避難船団や地球艦隊までもが全滅させられ、地球人類は地球に封じ込められて行った__。帰還したヤマトから奇跡的に生還した古代進は、自分の判断ミスにより多くの乗組員の命を犠牲にした責任を取るため艦長を辞任するが、ヤマトの第一艦橋で聞いた初代艦長「沖田十三」の声に、再びヤマトに乗り組む決意をする。 ヤマト出撃の日、新たなヤマトの艦長が沖田十三であるという驚愕の発表がなされる。沖田はイスカンダルへの航海の途中に死亡とされたが脳死には至っておらず、極秘プロジェクトによって蘇生、今日(こんにち)までリハビリを兼ね療養生活を送っていた。 その沖田は地球を救うためヤマトに戻ってきたのだった。 沖田のもと、ヤマトはアクエリアスのワープ阻止のため抜錨する。冥王星での戦いで敵艦隊を撃破したヤマトは単身アクエリアスへ辿り着くが、ワープシステムらしきものを発見出来ずにいた。だが、そこに現れた「女神クイーン・オブ・アクエリアス」から、アクエリアスのワープの原因、そしてそれを引き起こすディンギル星人の正体が太古に地球から脱出した地球人の末裔であるという事実を知らされる。出現した敵艦隊を退け、敵の拠点「都市衛星ウルク」へと強行着陸したヤマトは敵のワープシステムの破壊を試みるが、奮戦虚しく失敗に終わる。 その戦闘の中で、ディンギル星からただ1人救いあげたディンギルの少年や、古代の親友・島も命を落としてしまう。 アクエリアスを追い、ヤマトは地球へと辿り着くが、もはやアクエリアスの地球への接近を阻止することは不可能だった。 誰もが最悪の事態を覚悟する中、沖田と古代はヤマトを自爆させ、アクエリアスから地球へ伸びる水柱を断ち切るという計画を考える。 反対する乗組員たちを古代は諌め、誰もが悲しみに暮れる中、ヤマトの自沈計画のため、アクエリアスの海上にディンギル星人が建造したトリチウム採取プラントに降り立ち、準備を進めていく__

地球へ到着したヤマトは合流した駆逐艦「冬月」へ乗組員を移乗させ、単艦自沈のために発進する。 だが、その第一艦橋には沖田の姿があった。 自動制御で行われるはずの計画は偽りであり、実は万が一の失敗を防ぐため、自爆は沖田自身による手動操作で行われるものだった。 ヤマト乗組員たちが困惑して騒ぐ中、古代と雪、そして真田と佐渡はヤマトと沖田に向かって敬礼し、他の乗組員たちもそれに従い敬礼で沖田とヤマトを見送った・・・

地球とアクエリアスの中間点に辿りついたヤマトは、アクエリアスから伸びる水柱を自爆により断ち切ることに成功。 その後、行き場を失いアクエリアスと地球の間に広がった水=宇宙の海からヤマトの艦首が起き上がり、そのまま静かに宇宙の海へと沈んでいった__。

ヤマトが自沈してはや九年が過ぎた。 元ヤマトのクルー古代は非番の度に、ここ中央都市の郊外"英雄の丘"に足を運んでいた__。

この日、非番だった古代は英雄の丘を訪れていた。

「……島、加藤、山本。また、来ちまったよ。」 「今日は報告があってな。」 「俺、防衛軍を辞めよと思ってる。」

染々と古代は今の心境を語りはじめた。陽が傾き古代の影も、それに合わせ傾いてゆく。古代の目の前にセピア色に浮かぶ嘗(かつ)てのクルーたち。 その中の島が、話し始め掛けて来た。

「何で軍を辞めたいんだ?」 「古代、お前は俺とは違い、パイロットとしても優秀で、艦長職も経験して上に立つ素質も、十分に備えているじゃないか。」 「それに雪くんも射止めたじゃないか。」「羨ましい限りだぜ。」 「雪くんは元々、俺が先に目をつけたんたぜ。」

「それは云うなよ。」と古代は、照れ笑いを覗かせた。

「雪の事は今は置いておいて、俺は……」「俺は、この先、また異星文明を持つ星間国家に攻め込まれ、仮に俺が指揮を取る事に成った時、また多くのクルーの犠牲者を出すかも知れないと、以前のように一歩、前へ足を踏み出せないないんだ。二の足を踏むと云うか……そう云う事なんだ。」

「そうか。だけどな。古代。」 「今の俺にはお前にアドバイスを出来るのは、この先の地球を地球人類を守って行く、次世代の"宇宙戦士"を育てる。これくらいしかアドバイス出来ない。」 「俺だけじゃない。加藤や山本、空間騎兵隊の斉藤らだって、俺と同じアドバイスしか出来ない。」 「お前には実の兄貴のような存在の人が居るじゃないか。」 「それと雪くんをあまり悲しませるなよ。」と島が言い残した時だった遠く離れた所から聞き覚えのある声が聞こえた。

「古代。」同時に島たちは古代の目の前から消えた。 真田の声だった。

「古代。久しぶりだな。」

「真田さん。どうしたんです?」

「どうしたも、こうしたもない。」 「古代。お前に朗報を持って来たんだ。」

「朗報?それより、どうして英雄の丘だと?」

「それは雪くんに訪ねてな。」古代は声には出さなかったが、「雪のヤツ、」と呟いていた。

「あはは。そうだったんですか。」 「朗報って何ですか?」

「古代。エースパイロットを育ててみる気は、ないか?」それは突然の誘いだった。

つづく。



宇宙戦艦ヤマト復活編外伝◇雪 生還編◇後編⑤

2020-05-31 00:21:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝

宇宙戦艦ヤマト復活編外伝◇雪 生還編◇後編

最終話

ゴロゴロと崩れ落ちる煉瓦の壁。 土煙が舞い上がる中、宇宙戦艦ヤマトは、その姿を現した。

「さあ。お行きなさい。」

古代は軽く拳を握りった右腕を胸に当てると、コスモパルサーに飛び乗り、ヤマトを目指し飛び立った。

古代たちの目には幾つもの輝かしい光が、縦横無尽に飛び回っているように見えた。 その間(かん)古代は、後ろ手に拘束された愛娘、美雪を助け、クリスタルカプセルを制御するシステム機を破壊、雪を助け出した。 やがて、幾つもの輝かしい光は一つだけと成った。 同時に雪と美雪を乗せ、古代のコスモパルサーはヤマトに帰投した。

勝負が着いたのだろう。 女神アーシャはヤマトの第一艦橋にホログラム映像が、浮かび上がるように姿を現した。

「もう、大丈夫です。悪魔王サターンとガブリエル、その下部(しもべ)らは、冥府に封印しました。」 「冥府の王ハーデースにお願いしてね。」 「甦ったサーベラーを差し出す事を条件にね。」 「でも、大丈夫よ。憑依された彼女は無事よ。」 「元の人間として、生きて行けるわ。」 「それと、未来を繋ぐ新たな生命(いのち)も。」

「…すべて古(いにしえ)の神話の人物かと思っていました。」

「ウフ。」アーシャは軽く微笑んだ。

「でも、テレサやアクエリアスの女神は信じたのでしょ!?」

「……それは…。」

「それで良いのよ。古代。」

そう言うと女神アーシャは語りはじめた。

「古代。神話に登場するガイアは地母神であり、大地の象徴と言われるのは、ご存知ですね。」

「太古の昔、神々が生まれる以前、宇宙には何もないカオス(混沌)が広がっていた。」

「そこにガイアが生まれ、ガイアは自らの力だけで天の神ウーラノス、海の神ポントス、暗黒の神エレボス、愛の神エロースを産み、母となった。 エロースの働きでウーラノスと親子婚し夫とした。 そして、ウーラノスは神々の王となったわ。」

「ウーラノスとの間に男女6柱ずつの子どもを産んだの。」

「ティーターン=タイタン(巨神)である。 またキュクロープス=サイクロロプス(一つ目の巨人)やヘカトンケイル(百本の手を持つ巨人)、ギガース(巨人、ギガンテスと呼ばれることが多い)、末っ子のクロノスを産んだ。

「だけど、異形の神々キュクロープスたちのあまりの醜さゆえに、ウーラノスは彼らを冥界タルタロスへ閉じ込めてしまった。 子どもたちの母であるガイアは悲しみ、ウーラノスへの報復を考え、子供たちに復讐を呼びかけた。 子供たちは当初、父を恐れ誰も名乗り出なかったが、末っ子のクロノスが自ら名乗りを上げ、ガイアの作った鉄の大鎌を受け取り、ウーラノスへ復讐することとなる。」

「その夜、クロノスがガイアに知らせられていた場所へ行くと、ウーラノスは妻ガイアにかぶさるようにして寝ていた。 クロノスは大鎌でウーラノスの男性器を切り落としたの。」

「これを受け、自らの行動を恥じたウーラノスはガイアのもとを去り、クロノスが神々の王となるが、この時クロノスはウーラノスに「やがてお前も自分の息子に王位を退けられることになるだろう。」と言われ、この言葉はクロノスの脳裏に焼きつくこととなったわ。」

「やがて妻レアーとの間にできた子供を飲み込んでしまったクロノスにゼウスが復讐を決意し、そしてティーターン一族とオリュンポス神の戦いが始まるの。」

「10年以上戦いが長引くと、クロノスの横暴さを見かねていたガイアはゼウスたちにタルタロスに閉じ込められたヘカトンケイルやキュクロプスたちのことを教え、彼らを救い出すことを勧めた。 ヘカトンケイルは百本の手で大岩を投げ、キュクロープスはゼウスに雷と稲妻を与えた。 こうしてゼウスらは新たな味方とともに戦いに臨み、ついにクロノスとの戦いに打ち勝ったわ。」

「天はゼウスが、海はポセイドーンが、冥界はハーデースが治めることとなり、大地は皆のものとなった。」

「そして、ガイアはカオスの地を耕し、種を撒き、やがて、それらは生命(いのち)を育む惑星と成り、宇宙の始まりと言える空間を形成して行った。」

「こうして"宇宙"を治める事と成ったガイアは、アクエリアスを産み、女神アクエリアスを名乗らせ、今の宇宙の始まりを与えた。」

「やがて始まりの宇宙は銀河へと成長し、姿を変えて行った。」

「広大に拡がる宇宙。 女神アクエリアスは、自分の代わりに広大な宇宙を管理する種族を造り、高度な文明を与えた。 その末裔の種族がイスカンダル人よ。」

「おかえり。雪。」

「おかえりなさい。お母さん。」

「ただいま。美雪。進(あなた)。」


「新たな主導者の誕生。」 「新たな連星は惑星スターシャとでも名付けよう。」デスラーは生まれたばかりの連星を見上げながら粒やいた。

虚遇の次元が崩壊し、新たな連星が誕生した_。

~一年後~

【地球連邦メガロポリス郊外:英雄の丘】

「古代サン。お久しぶりデス。」

「コルンさん。元気そうで何よりだ。」

「以前、夕貴はワタシの娘と話しをしましたネ。」 「あの子は夕貴ハ、幼い頃に全身を70パーセント以上も火災による火傷を負い、当時、命を助けるには、臓器と皮膚の移植しか方法はなく、ワタシの臓器と皮膚を移植する事にしたのです。」 「…ワタシはワタシが存在する為に"すべてをメモリ"(記憶)を残す事にしたのです。」 「その結果が、この身体です。」

古代は真剣な眼差しを見せるだけで無言だった。

「黙祷を捧げる。」 「黙……。」 古代の号令を描き消すかのように轟音を響かせ、テスト航海から帰艦したブールノア級二番艦ブール・ギャラクシー。 その轟音に参列した小林は、拳を高く突き上げ怒号を飛ばした。

「バッキャローーーッ!!」

呆気に取られる参列者たち。 その参列者を代表した訳ではないが、主宰した古代はこう告げた。

「すまんな。小林。」 「テスト航海の艦長は、雪なんだ。」 「帰ったら、キツく叱っておくよ。」と、軽く肩を叩いた。

「えっ!?あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ!」それを聞いた小林は、あたふたするだけだった。 「アハハハハッ!」と、笑い声が英雄の丘に拡がっていた_。

「ねぇ。このあと赤道際の続きがやろうよ。」早々とバニーガールにコスプレした天城は、やる気満々で笑顔を覗かせていた_。

~fin~

【地球連邦防衛第一艦隊旗艦ブールノア級二番艦ブール・ギャラクシー】

※ブールノアのほぼ同型艦ブルーアースが存在するが此方は、改装されたブルーノア級の非武装艦であり、改・ブールノア級の位置付けの為、"ブール・ギャラクシーを二番艦とした。 【ブールアース】 旧地球防衛軍残存艦隊旗艦。 残存救助艦隊に所属し、残存人員の救助と政府中枢部の移動に用いられた。

初代艦長:上條 了 (テスト航海時艦長:古代 雪)

【パスカル級二番艦オーディーン】 アマール防衛隊の旗艦で、パスカル将軍の座乗艦と同型の二番艦。

水上艦(あるいは帆船)に近い構成となっており、艦首部には巨大な艦首マスト(光子帆)が付いており、シールドを張れるのが最大の特徴。 このシールドは『オーディーン 光子帆船スターライト』をオマージュしたものである。 武装は3連装主砲を艦前部に4基、並列配置で装備。 舷側には、大航海時代にある海賊船の様に数多くの副砲が並んでいる。

連星(英語: Binary star)とは2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体である。 双子星(ふたごぼし)とも呼ばれる。 連星は、地球から遠距離にあると、一つの恒星と思われ、その後に連星である事が判明する場合もある。 この2世紀間の観測で、肉眼で見える恒星の半数以上が連星である可能性が示唆されている。 通常は明るい方の星を主星、暗い方を伴星と呼ぶ。 また、3つ以上の星が互いに重力的に束縛されて軌道運動している系もあり、そのような場合にはn連星またはn重連星などと呼ばれる。

この物語りは、「宇宙戦艦ヤマト復活編」の続編として二次創作ではありますが、オリジナルの物語りです。 既存のメカ設定及びキャラクター設定は基本的に、そのまま引用しています。 使用している画像は一部を除き、宇宙戦艦ヤマトシリーズ本編等より、引用した画像でイメージです。 一部、私の設定及び解釈が混ざっています。


宇宙戦艦ヤマト復活編外伝◇雪 生還編◇後編④

2020-05-30 23:35:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝


宇宙戦艦ヤマト復活編外伝◇雪 生還編◇④


周りのエンジン音が五月蝿く成る中、佐々木とカティーは、発艦準備を進めた。

ハシゴを登り、機体上部をチェック。 キャノピーを開け、キックインステップ脇のキャノピー外部コントロールハンドルを使い、ボタンを押してハンドルを引き出し後方に回した。 佐々木はコックピットに座り、カティーは銃座に身体を沈めた。 搭載された管制A.Iがサポート、スクランブル発進手順に入った。

メカニックに対し指一本あげて合図し、エンジンマスタースイッチをオンに、「ジェット燃料スタータをオン。」 約15秒後、スタータのレディランプが点灯した。 「火災警告灯が点灯なし。」 佐々木は、次に指2本立ててメカニックに合図し、右側のエンジンスロットルフィンガーリフトを上げた。 右エンジンが点火、スロットルを18%に。 ファンタービン入り口温度計が600度、安定した。 続いて左エンジンスタート。 機体後方に蜃気楼が現れはじめた。 警告灯が正常。 「慣性航法装置アライメント調整。」

「輪止めを外してくれ。」 「タキシングを開始しする。」 佐々木はブレーキを踏んで作動チェック、飛行計器が正常かチェックした。

「発進カタパルトへ接続する。そのまま待て。」ヘルメットに仕込まれたインカムを通し、佐々木に伝えられた。

カタパルト上でブレーキを踏み込み左右のスロットルレバーをミリタリーパワーまで前進させ回転計、油圧計、燃料流入計、ファンタービン入り口温度計をチェック。

「回転数90パーセント以上、タービン入り口温度322度で正常。」

「ピッチ角を10度!」 「アフターバーナー点火!」

「コスモパルサー佐々木機、射出ッ!!」

だが、コスモパルサー隊が発艦した事により、"手ぐすねを引く"ワルキューレたちも動きだした。

「小林隊長!自分たちの動きに釣られて奴ら人型も動き出した!」

「よーし!俺たちで先行し、引き付ける!」 「奴らの大切な塔内部で暴れてやんよ!」

「美晴!人型の後方から突入、人型を墜とせ!!」

「了解!」

古代は一歩、前に踏み出し、選択の答えを告げた。

「ルシファーと言いましたね。」 「二人を返して頂こう。」 「生け贄にする人選は、済んでいる。」

「ほう。生け贄を差し出すか。」 「仲間の犠牲で自分たちは助かりたい!?」 「まぁ。いいだろ。」 「だが、あの媒体以上の媒体を差し出して貰わん事には、割りに合わんな。」

「それは出来ない相談だ。」 「ルシファーさん。貴女(あなた)は子を宿事の出来る者を差し出しせとしか言わなかった。」 「違いますか?」

「フハハハハハ。」 「人間よ。調子に乗るなよ。」答えを告げた古代に対し、豪快に笑う美少女姿のルシファーは、顔つきを変え、詰め寄った。

「一本、取られましね。ルシファー。」 詰め寄るルシファーを制止するように右腕的存在であるガブリエルが、姿を現した。

「私はガブリエル。」 「人間よ。悪いことは言わん。今、直ぐに跪まづけ。」 「これ以上、怒らせれば私でもルシファーを止める事は出来ない。」

「断る!」毅然とした姿勢を貫く古代。

「…ならば死を!」

「ガガガガガーーーッ!!」古代らが居る場所から下層で機銃音が聴こえて来る。

「ん!?何事……。」

コックピットからも機尾の弾痕が確認出来た。 僅かな死角に佐々木は「かすり傷」と判断した。 だが、実際には違っていた。

「……ツぅ…。佐々木さん。」

「ん!?何だい?」

「…アタシ…アタシ駄目かも……。」

「……。」 「ちっ!死角を忘れてたよ。」

「此方、第二編隊隊長:佐々木。隊長。小林隊長。聴こえる?」

「どうした?美晴?」

「ごめんよ。被弾しちまった…。」

「ひ、被弾って大丈夫なのかよ!」

「大丈夫。ごめんよ。戦線を離脱する。」 「小林。あんたは、被弾なんて事は許さないから。」

「おうよ!」 「ん!?てか……第二編隊長佐々木へ。ヤマトへ帰投せよ。」 「無事な帰投を。」

「了解。」

「カティー軍曹!」 「帰投命令が出たよ。ヤマトへ、ヤマトへ帰ろう。」 「…あんたを、あんたを死なせはしないよ!」 「あんたのお腹の中には、新しい未来が…未来を繋ぐ為にも……。」 「戻って…戻ってよ!」 「カティーーーッ!!」

ー銀河中心部近傍空間ー

「ワープアウト!」 「艦内外、異常無し。」

「うむ。」 「レーダー士!例の艦(ふね)は確認出来るか?」

「…いえ。まだ何も。」

「ん!?艦長!超空間通信!」 「光子帆を最大で展開して欲しい。であります。」

「うむ。」 「光子帆=シールド最大展開!」

イリヤ女王の命(めい)を受け、銀河中心部に赴いたアマール星所属戦闘艦パスカル級オーディーンは、艦首に装備された巨大な光子帆=シールドを最大値で展開した。

「下方より超重力波を感知!!」 「ま、待って下さい!その後方から超波動エネルギー光弾を感知!!」 「シールドが持ちこたえられかどうかです!!」

「どうやら間に合ったようだな。」

デスラー砲艦を改良した超重力波砲艦から発射された超重力波砲と、デスラー艦から発射されたハイパーデスラー砲は、パスカル級二番艦オーディーンの張り巡らされた光子帆=シールドを利用し反射され、二つのハイパーエネルギー光弾は混ざり合い、ヤマトが突入した"虚遇の次元"の中心核=人工太陽を貫らぬいた。

今から17年前、西暦2203年、銀河系中心部の宇宙で大きな異変が生じた。

別次元から別の銀河が現れ、核恒星系付近で銀河系同士の衝突が起こり、多くの星々が消滅した。 この宇宙災害は、その宙域にある地球との友好星国家「ガルマン・ガミラス帝国」の本星へも及んでいた。 デスラーは新たなる母星を探す為、残党を纏め、宛は無きに等しい航海に出ていた。 17年におよぶ航海の中、補給の為、立ち寄った惑星アマールで、地球を含む太陽系がカスケード・ブラックホールに呑み込まれた事を知ったデスラーは、イリヤ女王と対談、協力を取り付けいたのだ。

「なるほど、我々ガミラスにも責任があるのかも知れんな。」 「イリヤ女王。勝手なお願いではあるのだが、貴女(あなた)の護衛艦を一隻、お借りしたいのだが。」

「いいでしょう。貴方(あなた)の地球を救いたいとの想いを汲(く)んで、協力致しましょう。」 二人は眼下を見下ろした。 そこには、何も知らないアマールの民と地球の民が、いっしよに協力しあい破壊された城下町を再建していた_。

虚遇の次元は歪みはじめると同時に、この次元の本体とも言えるルシファーと右腕的存在のガブリエルは融合し、その正体をさらけ出した。

「フハハハハハッ!」

「愚かな人間よ。」 「我を本気にさせた代償は死滅である!」 「冷凍睡眠化しているお前たち同様の人間も、惑星群もすべて無に還してくれるわッ!!」

「そうはさせません!悪魔王サターン!」白銀の霧と共にその声は聴こえた。 と同時に、輝かしい光弾がサターンの足元に墜ちた。 サターンに動揺は見られなかった。 やがて白銀の霧が晴れると、そこには美しい女性が一人、立っていた。

「私は女神ガイアの末裔アーシャ。」

「……貴様ッ!!」

「10.000年ぶりかしらね?悪魔王サターン。」 「アナタはガブリエルの力を借りても、自身の子を宿す能力は封印されたまま。」 「自身の世継ぎを残せず、取った行動が憑依する媒体の確保。そして、己の力を保持する為の侵略、いえ惑星(ほし)を丸ごと略奪、資源を採り尽くし廃棄する。」アーシャは天、高く指をさした。 古代は、ここへ来る途中に見た無造作に配置された惑星の山を思い出していた。

「古代とやら、悪魔王サターンは私が引き受けます。」 「貴方(あなた)は二人を連れて、この塔から脱出を。」

「ですが、どうやって二人を救出したら……。」古代は頭上を見上げ、クリスタルカプセルの雪の存在と後ろ手に拘束された美雪の存在をアーシャに教えた。

「それでしたら大丈夫よ。貴方のヤマト(方舟)を呼び寄せて有ります。」 アーシャは指を「パチリ!」と鳴らした。

後編⑤へつづく。