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鹿嶋少将の航海日誌second

宇宙戦艦ヤマト新作情報・二次創作他、気になったものなどをお届け(^-^)

異次元銀河からの使者◇宇宙戦艦ヤマト復活編スピンオフ◇⑧

2020-12-20 09:11:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝


「それにしても、随分とレベルの低い制御システムの詰め合わせの艦(ふね)が、最新鋭とは、お笑いね。」
「唯一、波動エネルギー制御システムだけは、誉めれるレベルね。」機関区を調べるヴァルキリア・コマンダーは、まやかしのホタルが駆除されている事に気がつかずにいた。
隈無く地球人類の情報を探るべく、"夢遊病者"状態のクルーに片っ端から接触、情報を聞き出していた。

「そろそろ、定時報告ね。」と、何処か無線を飛ばせる場所をと探した。

そこへ古代、美晴、制御システムサポート・アンドロイドが幻覚、幻影等を取り除き、ホタルの駆除をしながら距離を詰めて来る。
ヴァルキリアに焦りはない。
上手くやり過ごせるはずだった。

だが・・・

「コダイ二等宙佐、アソコニ正常値ニ戻ったクルーがイマス。」

「おっ!そうか。」
「アンドロイドA-7(エー・セブン)はホタルの駆除と、制御システムのチェックを。」

「美晴君は自分に付いて来てくれ。」
 
「了解。」

「カシコマリマシタ。」

「君。」
「そこの君。」
古代は機関区に忍び込んだヴァルキリア・コマンダーに声を掛けた。
ヴァルキリアに声は届いていたが、夢遊病を装う芝居をした。

「ん!?」
「わたしですか?」

「そう。君だ。」
「正気に戻れたようだね。」

「えっ!?」
「あっ。はい。」ヴァルキリアは両目をぱちくりさせ、ホタルが駆除され、正常に戻りつつあるのか・・・と思い、芝居を止めた。

「君。名前は?」

「あっ。わたしは……」ヴァルキリアはとっさに名前を云う前に、入手した身分証を差し出してしまう。

「橋本 理恵。おっ。衛生科所属か。」
「昔の雪を思い出すな。」
「おっと。失礼。余計な事だったな。」
「ところで、まだ、完全に戻っていないのかい?」

「あっ。いえ、少しボーとするくらいで、大丈夫です。」

「そうか。衛生区まで送ろう。」

「チッ。しつこいな。」と思うヴァルキリアは相手は二人、楽勝だなと、古代を突き飛ばした。

「……お、おい?」
「待て!」古代はよろけながら右手を伸ばした。
よろける古代を美晴が支えた。

「ちょっとアンタ!」

美晴の制止を無視し、ヴァルキリアは走り出した。

「古代教官!」
「この身分証を見て下さい!」美晴は慌てた様子を見せながら、興奮した口調で云った。
 
「どうした?」
「そんなに興奮して?」

「これ、よく見て下さい!」
「あの下士官の橋本 理恵さん、太陽系外周パトロール艦浅間(あさま)所属です!」
「浅間は2ヶ月前に何らかの事故で消息不明に成った艦(ふね)です!」 
「座学中に飛び込んで来た臨時ニュースで知り、今でもよく覚えています!」
「その時、発表されたクルーに橋本 理恵さんの名前と顔写真が今でもハッキリ覚えています!」

古代は目を丸くし、ヴァルキリアの後ろ姿を追った・・・


「ワルキューレ!聴こえるか?」
「此方、ヴァルキリア!」
「人間にバレた!始末するか?」

「ネルソネアだ!ヴァルキリア、少し事情が変わった!制御システムにハッキングを仕掛け、その二人を振り切れ、間違っても殺すなよ!転送回収する!」

「ラジャー!」

ヴァルキリアは走りながら電脳による制御システムにハッキングを試みた。
「波動砲制御システム!?これは面白いものをハッキング出来そうだな。」
自身のネットワーク回線をブルーノア基幹コンピュータにアクセス。
セキュリティーは先にバラ巻いた宇宙バクテリアによって既に解除されたまま、まだ復旧されていなかった事も重なり、楽にアクセスが可能だった。

「これでよし。と。」ヴァルキリアがハッキングに成功させた。
ブルーノアは波動砲発射体制に入ってしまう。
同時にメインブリッジ内では、突然の出来事に慌ただしく、混乱していた。

「……なっ!何が一体?」
「艦長!C.I.Cシステムが勝手に動きはじめています!」
「はっ!波動砲制御が解除、発射体制に入っています!」
「艦首回頭をはじめました!」

「何っ!?」
「……バクテリアの仕業か!」 

「砲雷長!回線は切れないのか?」
「サポート・アンドロイドに制御出来んのか?」

「現在、サポート・アンドロイドにコンタクトを開始、制御を全力で行わせています!」


「古代二等宙佐。ブルーノアは波動砲発射体制ニ入りマシタ。」

「なっ!何だって!」
「波動砲発射体制に入っただと!?」
「くっ。」
「さっきから感じていた艦(ふね)が動いている感覚は、これだったのか!」

「A-7!それで艦首は、波動砲の標的は?」

「ハイ。目標ハ、アクエリアスの涙デス。」





「佐々木。これを渡す。」古代は腰にぶら下げるホルスターからコスモガンを抜き出すと、美晴に渡した。

「佐々木。彼女、橋本を追え。」
「逮捕へ向かえ。これは逮捕時の威嚇又は抑止力に使え。」
「俺はブリッジに戻り、波動砲発射を阻止する。」

「了解。」




「ネルソネア元老院!地球戦艦に動きが現れました!」
「艦の向きを変えました!」

「うむ。」
「コマンダーが動かしたのかも知れん。」
「オペレーター!コマンダーの位置を特定、転送回収せよ!」

「ネルソネア元老院!地球戦艦の機関及び艦首に熱量が高まりつつあります!」
「急激に高まっています!」

「……!」
「オペレーター!回収を急げ!」
「航海士!緊急ワープの準備だ!」

「元老院!ディンギルの宇宙艇は放っておくのですか?」

「放っておけ!我らの存在を隠すのが先決だ!」

「ヴァルキリア・コマンダーの回収を確認!」

「うむ。」
「航海士!緊急ワープだ!」

ブルーノアに潜入したヴァルキリア・コマンダーの回収が終わり、ワルキューレは緊急ワープで、当該宙域から姿を消した。
また、異変に気がついたディンギル残党のラルゴールム級もまた、当該宙域から離脱した。

そうこうしている内にブルーノアの波動砲発射体制は完了、波動砲はアクエリアスの涙に向け、発射されてしまう。




「超火焔直撃砲!発射よーい!」
「続いて、瞬間物質転送波送射開始!」

「座標入力完了!」
「超火焔直撃砲発射準備完了!」

「砲撃士。撃て!」サーベラーの号令によって三連射された超火焔直撃砲。



「有り難く、お借りしておくわ。」
「この借りは高くつきそうだけど、必ずお返しするわ。デスラー。」

「当てにせず待つとするよ。サーベラー総参謀長…いや、国家元首閣下。」

元白色彗星帝国ガトランティスのNo.2サーベラー総参謀長は、確かに当時の大帝ズォーダーの逆鱗に触れ、崩壊する都市帝国に置き去りにされ、誰しもが死亡したと思っていた。
だが、サーベラーは表向き泣き叫びながら、密かに自身直轄の部下に撤退命令を出していたのだ。
全部下の脱出は無理だとしても、自身の手足と成る優秀な側近が残れば、帝国再建は叶うと考えていたからだ。
幸い、数多くの部下の脱出はサーベラーにとって、帝国再建の良き弾みと成った。
サーベラー自身は崩壊がはじまる中、以前、自身が直接、戦略指揮を取り、配下に納める植民地惑星を得る時の為には、「どうしても必要だと。大帝に頼み、与えられた戦闘艦:メダルーザ級改良型に座乗し、崩壊する瓦礫に紛れ、脱出していたのだ。
ズォーダー本人にとっては、強気に出てはいたものの背水の陣に近かった為、脱出艦艇の存在等を確認するその余裕はなく、地球人類とヤマトを含む地球軍を殲滅する事しか頭には無かった。
こうして、サーベラーは直轄の艦艇数隻と脱出に成功したのである。

その後、数ヶ月、宇宙を放浪中、ガミラス残党艦隊と遭遇、サーベラー座乗戦艦ヒュードラは拿捕され、捕虜と成ったサーベラーは奴隷並みに扱われていたが、尋問に訪れたデスラー総統に救われ提案を受け入れた。

「ヴァニ親衛士官。将には将としての扱いがあると云わなかったかな?」と奴隷並みに扱かわられるサーベラーの目の前で射殺し、両手と首を固定具で固定され、鎖で吊し上げられたサーベラーを下ろすよう侍女に命じた。

「サーベラー。済まなかったな。」デスラーは自身のマントを脱ぎ、サーベラーの肩の上から羽織った。

デスラーはサーベラーのプライドを傷つける事なく配慮し、互いに不可侵条約を結び、ガミラスはガトランティスの技術をそしてガトランティス(サーベラー残党)は、デスラー砲(波動砲)技術を提供された。


「……それ故にかも知れんな。」




「超火焔直撃砲!着弾を確認!」
「地球戦艦の撃ち放った波動砲拡散着弾点にて、これを退け粉砕!」



「うむ。」
「流石はガミラスの波動エネルギーシステム。超ロングレンジ攻撃も可能に成った。」そう思うサーベラーは命令を下した。
「いくら太陽を背にしての行動とは云え、バレる前に撤退する。」
「航海士。ワープにて当宙域を離脱せよ!」

「御意。」

サーベラー座乗艦メダルーザ級ヒュードラは地球圏から消えた・・・


奇跡のようにブルーノアの発射した拡散波動砲は、拡散地点着弾位置到達と同時にサーベラー座乗戦艦ヒュードラから発射された超火焔直撃砲着弾によって弾かれ、全く違う方向へ散弾、アクエリアスの涙には微塵の被害も出なかった。



「……。」
「何が……。何かが起ころとしているのか……。」古代の心にそんな思いが浮かんだ。

直ぐに艦長からの報告を受けた防衛軍司令部は、即座に戒厳令を敷き、ブルーノアのクルー及び古代らには「他言無用」とされた。
記念式典観覧の政府関係者や一般市民には、サプライズのデモンストレーションだと説明された。









記念式典の〆にはブルーノア航空隊アクロバットチームによる華麗なアクロバット飛行が用意されていた。
今回、佐々木も、このアクロバット飛行にさせて貰う事と成り、腕前を存分に発揮、披露した。

-完-



【新生ガトランティス:サーベラー座乗戦艦メダルーザ級改良型ヒュードラ】(残党旗艦)

デスラー(ガミラス)から供与された波動エネルギーシステムが新たに搭載された改良型。
波動エネルギーシステムが搭載された事により、「ハイパーデスラー砲」並みの火焔直撃砲を発射可能にした。

全長:700m

武装
艦首超火焔直撃砲×1門
物質転送波送射基×2基
五連装大型主砲×1基
八連装速射砲×多数

他、不明。


~あとがき~

この物語りは【宇宙戦艦ヤマト復活編】のスピンオフ二次創作です。

スピンオフ小説【アクエリアス・アルゴリズム】は、おそらく公式設定に成るのでは!?と思いもあり、完結編~アクエリアス・アルゴリズムまでの隙間のスピンオフは書けそうだな。と思い書きました。

※メダルーザ級改良型及び、コスモパルサーの設定の一部は私的設定が混ざってます。


◇異次元銀河からの使者◇宇宙戦艦ヤマト復活編スピンオフ⑦

2020-12-16 22:01:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝

ブルーノア右舷側ウイングカタパルトからスペースポッドを入艦させた古代は、ティルト・エンジンを可変させ、少し開けた整備エリアに着艦させた。

古代が思っていた嫌な予感は的中した。
部外者で着艦許可も得ていない古代のスペースポッドを意図も容易く着艦させ、整備クルーたちは、グループに別れ休憩モード。
管制クルーも、曲芸(アクロバット)飛行を披露するパイロットたちも、みんな何処か上の空で、休憩モードだ。

「何て有り様だ。」 
「この分だと、ブリッジのクルーも……。」と思いながら基幹エレベーターに乗り、メインブリッジを目指した。

「やはり。」と、エレベーターの扉が開き古代の口から漏れた。
基幹クルーも艦長をはじめ、全員が夢遊病に犯されたように、浮わついた行動を取っていた。

「やるしかないか。」と古代は持ち込んだ護身用スタンガンを艦長の背中に当てた。

「バチッ!」

「ん!?」
「貴様は?」正気に戻った艦長は、いきなり目の前に見知らぬ士官コートを着用した青年が、古代だとは解らず、目を細め不審者を見るような口調で口を開いた。
古代は姿勢を正し、ヤマト式敬礼を済ませ、「まずはお詫び申し上げます。」と告げ、経緯(いきさつ)を説明、艦長にこの状況を打破する為、協力を申し出た。

「おお。君があのヤマトの古代か。」
「とんだ失態を見せたようだな。」
「古代。君の提案を受けよう。」

「艦長。システム制御サポート・アンドロイドをお貸し下さい。」
「一人一人にスタンガンを当てていては、日が暮れてしまいます。」

「うむ。」
「許可しよう。」
「メインブリッジは儂がやろう。」

「お願いします。」再びヤマト式の敬礼を済ませ、サポート・アンドロイドを借りた古代は、美晴と共に機関区を目指した。




「ネルソネア元老院!」

「今度はなんだ!」
「星籍不明艇でも動き出したか?」

「いえ、地球の民間小型宇宙艇がヴァルキリア・コマンダーが潜入した戦艦に合流しました。」
「"ホタル"が効かなかったのか、このままではバレる可能も。」

「心配はいらぬ。」
「たとえ、ホタルが効かぬとしても、彼女(コマンダー)は優秀な刺客でもある。」
「それに本物の地球軍制服だ。身分証もな。」
「それより、あの星籍不明艇から目を離すなよ。」
「最悪な状況だけは避けたいからな。」

「了解しました。
その時であった、流星群の流れに合わせ、星籍不明艇が動き出したのだ。

「ん!?」
「待って下さい!」
「星籍不明艇、流星群に合わせ動き出しました!」

「よし。」
「航海士。付かず離れず我、ワルキューレも移動せよ!」

「ネルソネア元老院!」
「動き出した事で星籍不明艇の識別が出来ました!」

「何!出来たか!」
「で、何処の星間国家か?」

動き出した事で反波動粒子電磁シールドに僅かなズレが生じ、本体をさらけ出したのだ。
ズレは直ぐに補正され、本体と重なったが、ワルキューレのセンサーには、バッチリ捉えらていたのだ。

「これは……。」
「これはディンギル。ディンギル帝国の戦闘艇ラルゴールム級です!」



「ディンギル……残党か?」
「しかし何故、残党が今更、また地球圏に?」とネルソネアの頭に過った。




「ふ~ん。」
スタリーノフ(アイツ)、メッツラーに憑依したんだ。」
「どうりで、元々、元老院でもないメッツラーごとき雑魚が、のさばって来たのか不思議に思っていた。」
「死者同様のバルスマン元老院院長を延命し、病気を克服したかに見せかけ、メッツラーを手足の如く使う事で、あたかも昔からメッツラーが元老院に所属していたように周りを信じ込ませ、やりたい放題か。」

「まぁ。いいだろう。」

「アタシの計画が邪魔されなければな。」
「にしても、アタシの"化身"ネルソネアは良い働きをする。」
「あの男タイプには"ホタル"が効かなかったようだが、女タイプからは思いもよらない収穫が出来た。」
「お陰でアタシに相応しい身体の持ち主を得る事ができた。」

「うふふ。」



「この容姿こそ、アタシが人間に成り済ました時に相応しい容姿。」
「必ず頂いてゆく。」

必ずね・・・


⑧へ
つづく。

~あとがき~

この物語りは【宇宙戦艦ヤマト復活編】のスピンオフ二次創作です。

スピンオフ小説【アクエリアス・アルゴリズム】は、おそらく公式設定に成るのでは!?と思いもあり、完結編~アクエリアス・アルゴリズムまでの隙間のスピンオフは書けそうだな。と思い書きました。

※コスモパルサーの設定の一部は私的設定が混ざってます。

◇異次元銀河からの使者◇宇宙戦艦ヤマト復活編スピンオフ⑥

2020-12-15 23:10:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝

「佐々木。しっかりしろ!」
「あのホタルをマジマジと観るな!」

普段はキリッとした一面を全面に押し出している美晴だが、あの幻影ホタルに見とれた為の症状が出ていた。
時折、女の子を出して来る態度にスペースポッドを巧みに操る古代をドキッとさせる場面も見られた。
まるで絶叫マシンに乗っているかのようにはしゃいで見せていた。

「真面ヤバい!」

「佐々木君はダメですよ。美晴って呼んでね!

「仕方ない。スマンな。佐々木。」とスペースポッドを左片手で操り、右手で携帯した護身用スタンガンを美晴の太ももに当てた。

「バチッ!」

「キャァァァ!」「……痛ゥゥ。」

「……あっ!」
「……ちょっと…ち…かも。」と思いながら美晴はモジモジと顔を紅く染めた。

「済まなかったな。佐々木。」
「君を正常に戻す方法が、これしかなかったもんでな。」 

「ポワン。」とする感覚に犯される事なく普段と変わらない古代には、免疫があるのかと思いたく成った佐々木は、古代に質問した。

「古代教官は、あのホタルを知っているですか?」

「知っている。君と同じような経験をした。」
「あれはガトランティス戦役の時だ。」
「死んだと思っていたガミラスの総統デスラーと一戦を交えた時だ。」
「デスラーの仕掛けた罠。それがこの宇宙ホタルだった。」
「ヤマトのクルーの殆どが君と同じような症状を発祥させ、知らず知らずの内にヤマトは身動きが取れなく成った。」 
「真田さんの機転でなんとか難を逃れたが、デスラーとは白兵戦にもつれ込んだ。」
「俺は、その時、死にかけたんだが、雪が救ってくれた……。」




「それにあれは宇宙ホタルなんかじゃない。」
「あれは宇宙バクテリアだ。」

「バクテリア!?ですか?」

「ああ。バクテリアだ。厄介なバクテリアだ。」
「計器類を狂わせる副作用が漏れ無く付いてくるって事だ。」

「俺には、これは意図的に何者によって引き起こされたものに思える。」

「意図的ですか?まさかデスラー!?」

「いや、違うな。今のデスラーはあの頃のデスラーではない。」
「信頼出来るガミラス人だ。」

「……。」
美晴は無言だった。
ガミラスと云えば、地球を地球人類を滅ぼうそうとした悪魔。
そう教育されて来た美晴は、どう返えせば良いのか解らなかった・・・

「着艦アプローチに入る。美晴君。無線で許可を取ってくれ。」

「了解。」

「……。」

「古代教官。ブルーノアからの応答がありません。」

「うむ。」
「仕方ない。このまま発着口に侵入する。」
古代は全開に押し倒したスロットルを引き戻し、速度を落とし、ブルーノアへの着艦体制に入った。




「ネルソネア元老院。」

「何か?」

「ちょっとこれを観て下さい。」サブセンサーを監視するオペレーターに呼ばれ、ネルソネアはキャプテンシートから腰を上げた。

「どうした?」

「この流星群に何か紛れています。」
「金属反応が大きいです。」

「デブリではないのか?」

「デブリにしては大きすぎます。」

「亜空間赤外線サーモグラフィ波で探ってみろ。」

オペレーターはカタカタとキーボードを打ち、亜空間赤外線サーモグラフィ波を送射した。

「……元老院。やはり小型宇宙艇のようです。」
「何か特殊なもので加工しているか、バリアのようなもので覆われているようで、ハッキリではありませんが、映像化からして間違いなく小型宇宙艇です。」

「星籍は解らんか?」

オペレーターは再び入手したデータを照会した。

「ダメです。読み取れない部分があるようで、データには当てはまる星籍は解りません。」

「そうか。」
「少し、様子を見る。」
「コマンダーの回収もあるしな。」

◆  



「メッツラーよ。」
「風の向きが変わりつつあるようだ。」
「今まで以上に感覚を研ぎ澄ませ。」

「ハハッ。」
「仰せのままに。」
メッツラーの目の前に浮かび上がる異次元生命体。
その生命体にメッツラーは片膝を床に付け、右手を胸に当て、頭(こうべ)を垂れた。


⑦へ
つづく。

~あとがき~

この物語りは【宇宙戦艦ヤマト復活編】のスピンオフ二次創作です。

【スピンオフ小説アクエリアス・アルゴリズム】は、おそらく公式設定に成るのでは!?と思いもあり、完結編~アクエリアス・アルゴリズムまでの隙間のスピンオフは書けそうだな。と思い書きました。

※コスモパルサーの設定の一部は私的設定が混ざってます。

◇異次元銀河からの使者◇宇宙戦艦ヤマト復活編スピンオフ⑤

2020-12-14 21:54:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝

◇大ウルップ連合加盟星間国家アマール◇



「……そうですか。」
「メッツラー元老院は、そんな条約まで持ちかけて来ましたか。」

「今は承諾するしかないかと。」惑星アマールを統治するイリヤ女王の側近でアマール近衛兵団将軍パスカルは、議会の内容を説明、新たに提案された連合条約の受諾を促した。

「ですが、パスカル将軍。」
「これはあくまでも表向きの承諾とします。」
「それとこの事は、他言無用です。」

「承知致しました。」

イリヤは思う。
何故、頑なに地球を嫌うのか。
確かにガルマン・ガミラス大帝国と共闘した過去が有るとは云え、地球のいいえ、宇宙の平和を願い戦って来た地球を・・・
しかし、今やSUSの力を借りなければ、大ウルップ恒星系は平和を維持出来ないのもまた、事実。

「いずれ、地球の民と話をする時が来る事でしょう。」イリヤは、そう思い夜空を眺めた__。


月軌道上で祝賀会が盛大に行われている中、古代が見詰めていた氷塊アクエリアスの涙では、ある計画に基づき、基地の建設が進められていた。
とは言うもののまだ、測量などの基礎中の基礎である。
それと平行するように旧地下都市中央研究所では、アクエリアスの基地建設同様に、進められているものがあった。



「よし。テストは成功だ。」
「波動六炉心稼働テストは成功した。」
「データの処理を進めてくれ。」
「次の課題と稼働テストは場所を移してからのテストに成る。」
「年明けの半ば頃に成る予定だ。」
「少し早いが、みんな今年もよく頑張ってくれたな。礼を云う。」
「ありがとう。良い年を迎えてくれ。」

「真田さん。お疲れ様です。」
真田の挨拶が終わるのを待って、徳川 太助がワインを片手にやって来た。

「おお。徳川。」
「久しぶりだな。」とタブレットを片手にデータ入力をしながら真田は振り返った。

「もう。動きはじめていたんですね。」

「ああ。はじまったと云っても、一部のみだ。」
「本格的にはじまるのは、もう少し後だ。」

「そうですか。それはそうと、一杯やりませんか?」
「観ましたか?」

「ん!?何を?」

「あれですよ。祝賀会の中継。と云っても、その返信からして、観てないですよね。」

「ブルーノアか。全部ではないが観たよ。」
「基本設計は俺が書いたからな。」

「そうだったんですか!」太助は大きな声で返事を返した。
苦笑いしながら耳に指を当て真田が云った。
「相変わらず、驚いた時の声が大きいな。」

「アハハハハハ。」

太助は手土産に持参したワインをグラスに注ごうと思ったが、肝心のグラスを持参するのを忘れていた。

「しょうがない奴だな。」
「ちょっと待ってろ。」と真田は一旦、太助の側から離れ、何かを手に給湯室に向かった。
2~3分して真田は戻って来た。

「洒落たグラスではないが」と真田はビーカーを二つ差し出した。
苦笑いしながら太助はワインをビーカーに注いだ。
軽い世間話を終えたところで真田が口を開いた。

「祝賀会の話題話に来た訳でもあるまい?」

「……実は、これは雪さんから聞いた話なんですが、古代さん。軍を辞めるかも知れないんです。」

「……辞める。」
「そうか。少し前に会った時に何となく感じてはいたのだが、俺が頼んだパイロットの育成に二つ返事で返したから、心のモヤモヤは吹っ切れたとばかり思っていた。」
「で、何時、辞めると。」

「それが、あと3ヶ月後らしいです。」

「3ヶ月後……。」
「教えてくれて、ありがとう。」真田はビーカーに入ったワインをクィっと空けた。

「年明け前に非番を取って、集まってみるか。英雄の丘に。」

「いいっスね!」

耳に指を当て苦笑いを再び真田が覗かせた。

「アハハハハハ。」




「ネルソネア元老院。そろそろ頃合いかと。」
「情報収集に忍び込ませるには、おあつらえ向きと云えます。」
「ガードするものもなく、両翼を展開。がら空きです。」

「うむ。」
「ヴァルキリア・コマンダーを送り込む。」
「幻影宇宙ホタルを撒き散らせ。」


【SUSマヤ級戦闘要塞艦ワルキューレ】
※SUS元老院ネルソネア座乗艦

時空間迷彩を展開させ、宇宙空間に同化させたネルソネア座乗艦ワルキューレ。
ネルソネアは地球人類を調査する為、使者を送り込むチャンスを常に伺っていた。
偵察部隊のように身を潜め、戦闘をする事なく頻繁に訪れていた。
時が来るまでの間、どれだけ情報収集が出来るかが、勝敗を決める。
そう思っての行動だ。
勿論、メッツラーに知れる事なく隠密に策を実行していた。

蛍光ピンクに光る宇宙バクテリア=宇宙幻影ホタルを散布、ヴァルキリア・コマンダー一体を展開する艦載機離着陸口から潜入させた。







「うふふ。」
「潜入成功。」

だが、何処か様子が可笑しいと異変に気付く古代はスペースポッドのスロットルを全開に押し倒した。

「えっ!」
「キャァァァ!」

「佐々木!掴まっててろ!」

いきなりの行動と幻影ホタルに見とれた美晴は、驚きを隠せずにいた。
「…ヤバい……」





⑥へ つづく。

~あとがき~

この物語は【宇宙戦艦ヤマト復活編】のスピンオフ二次創作です。

【スピンオフ小説アクエリアス・アルゴリズム】は、おそらく公式設定に成るのでは!?と思いもあり、完結編~アクエリアス・アルゴリズムの隙間のスピンオフは書けそうだな。と思い書きました。

※コスモパルサーの一部設定は私的設定です。


◇異次元銀河からの使者◇宇宙戦艦ヤマト復活編スピンオフ④

2020-12-14 14:17:00 | 宇宙戦艦ヤマト復活編外伝

「ネルソネア元老院。例の核(コア)が完成致しました事をご報告申し上げます。」



「うむ。」
「あとは自動制御に任せ、貴様たちは監視を怠るな。」
「あと5年。あと5年で、このブラックホールは我々、SUSの意思の思いのままに操る事が可能に成るのだからな。」

「心得ております。」

その場を後にしたネルソネアは、自室に籠り、次の準備に入った__。


◇SUS国:大会議室◇







「大ウルップ連合に、ご賛同頂いた各星間国家代表の方々、本日はご多忙の中、こうしてお集まり頂いた事に感謝致します。」
そう切り出したのはSUS星間国家元老院代表を名乗るメッツラーであった。

同じSUSの元老院ネルソネアが本来なら代表を務める存在であったが、ある日を境にこのメッツラーを名乗る者が代表と成った。
ネルソネアをはじめ、連合に賛同した各星間国家代表たちも、腑に落ちない部分があり困惑していたが、何時しか認めるように成っていた。
このメッツラーには何か不思議な力が働いていたのだが、それに気がつく事なく、従うように成って行った。

「今日、この場にお集まり頂いた各星間国家代表に、新たな条約を提案するためである。」
「この場にお集まり頂いた各星間国家代表の方々なら、ご存知の通り、長い間、我々はガルマン・ガミラス大帝国とボラー連邦による、銀河覇権争いに巻き込まれて来た。」
「だが、我々は抵抗を続けて来た。」
「それは何故か!」
「宇宙はどんな生命体にも、平等で平和な空間でなければ成らないからだ。」
「抵抗することで、数多くの優秀な人材を失った。」
「だが、元SUS元老院院員長バルスマン様によって、これら二大勢力を押し退ける事に成功した。
※メッツラーによる深層心理コントロールによる偽りの情報を根付かせた。

「その結果、我々は自由と平和を勝ち取り、今日(こんにち)に至る。」
「しかし、これに異議を唱える種族もまた、存在するのも事実。」
そう語るメッツラーに各国の代表らは、再び洗脳されてゆく__。




時を同じくして、地球防衛軍では、最新鋭防衛戦艦ブルーノアの完成、お披露目祝賀会が月軌道上で盛大に行われていた。

月軌道上には、この祝賀会を観覧するスペースポッドも、所狭しと多数が参列していた。
その中には、この祝賀会の為、一切の訓練が中止に成ったため、古代や佐々木、そして未来の"宇宙戦士"を夢見る子どもから大人まで、老若男女問わず観覧していた。

「古代教官。凄い賑わいですね。」
「それにあの超弩級の防衛戦艦ブルーノア、見るからに全地球艦隊総旗艦に相応しい戦艦ですね。」佐々木は目を爛々と輝かせ、まるで子どものように食い入るように観ていた。
そんな言葉に耳を傾けながらも古代の視線は、あのヤマトの沈んだ"アクエリアスの涙"と名付けられた氷塊であった。


地球とアクエリアスの中間点に辿りついたヤマトは、アクエリアスから伸びる水柱を自爆により断ち切ることに成功。
その後、行き場を失いアクエリアスと地球の間に広がった水=宇宙の海からヤマトの艦首が起き上がり、そのまま静かに宇宙の海へと沈んでいった__。




「……どうしたんです?」 「何かぼ~としてますよ。教官。」

「ああ。ごめん。」 「あまりにもインパクトが凄く、我を忘れてたよ。」

「教官らしくないですわ。」

「アハハハハハ。」笑い声がポッド内に拡がった。



「……しかし、あのメッツラー元老院、記憶に無い部分が多いんだよな。」ふと、ネルソネアは心に思った。



「ふふふ。」 「不快のようだね。」

突如、ネルソネアの前に現れたらガーベラ。

「……お前…は……」

「案ずるな。我はそなたの、味方だ。」 「今は堪え忍ぶ時。」 「必ずそなた、ネルソネアお前の時代が来る。」 「メッツラーは偽物の元老院。我も好かん。」 「そこでだ。ネルソネア、お前に我の力を貸す。共にメッツラーを倒そではないか? 悪い話ではあるまい?」 「願いは叶えねば意味はないからな。」ネルソネアはもうろうとする意識の中、ガーベラと契約を結んだ__。

「しばらくお前の身体に憑依させて貰うよ。」

「うふふ。」

⑤へ つづく。

~あとがき~

この物語は【宇宙戦艦ヤマト復活編】のスピンオフ二次創作です。

【スピンオフ小説アクエリアス・アルゴリズム】は、おそらく公式設定に成るのでは!?と思いもあり、完結編~アクエリアス・アルゴリズムの隙間のスピンオフは書けそうだな。と思い書きました。

※コスモパルサーの一部設定は私的設定です。