まんけん「あ」のブログ

創作少女マンガ系の同人サークルまんけん「あ」のブログです。
オリジナルの同人誌アディティアを発行しています。

チョコレート工場の秘密

2007-09-26 17:31:30 | 読書館
(恵庭空知)

チョコレート工場の秘密 ロアルド・ダール 評論社
昭和48年の旧訳版です。うちの店のご常連さんが子どもの時に買ってもらって大切に持っている本を貸してもらいました。
新訳版も出ているそうですが、子どもの名前の表示とかいろいろ旧版の方がいいんだそうです。わかるわかる。そういうもんだよね。

 さて、これはティム・バートンがリメイクした映画「チャーリーとチョコレート工場」の原作です。ティム・バートン版は旧作映画と原作をミックスして更にもう一味増量した感じですね。ジョニー・デップのウォンカさんが永遠の子どもモラトリアムキャラになってて印象的。旧作のワンカさんも十分に変態さんでしたけど。
しかし原作で際立つのは現実のシニカルさです。だってチャーリーと家族は飢えと寒さで本気で死にかけている。学校へ行っても体力温存で動かないようにしているとか、拾ったお金もまずは飢えを満たすためにチョコレート買って1枚食っちゃうとか。(ティム・バートン版ではチャーリーの家には電気スタンドに明かりが点いていたし暖炉も暖かく燃えていたし「その貧乏は趣味ですか?」という感じの余裕が感じられるんだよな)
なにより、ウンパルンパさんの歌の中で際立つのがマイク・ティービーというテレビ小僧が退場する時の歌詞。

「テレビは五官をだめにする!
 テレビは想像力をぶちこわす!
 テレビは心をかきみだす!
 テレビは子どもをなまくらにする、めくらにする
 子どもは、理解出来なくなるんだ、空想のおとぎの国が!」

作者渾身の魂のシャウトです。このあともいい。

「子どもたちは、昔から、本を、読んで、たのしんだのさ!
 本を読んで、また読んで、読んで、読んで、読みまくる」

このメッセージは映画にはなかったな…大事なのにな。


アートショー参加作品(花伯夏生編)

2007-09-24 23:38:38 | 2007 NIPPON (SF大会)
<花伯夏生>

SF大会に参加してもう直ぐ1ヶ月。
先月の今頃はアートショーの準備で睡眠時間が2時間かつかつの日々。
早く参加レポートを纏めなくちゃ!と思いつつも、こんな時期に。

本当はアートショー参加作品はSF大会前にUPするつもりだったんですが、当日ギリギリまで作業をしていて叶わず。
とりあえず、持ち込んだのは以下9点となりました。

狐火狐火桜幻想桜幻想

空の停車場空の停車場天使来訪天使来訪

宇宙人がやってきた!宇宙人がやって来た!昆虫採集昆虫採集

デザートデザート花喰い花喰いバスタイムバスタイム


最初の4点はCG。後の5点は同一テーマ(小人の村に小さな宇宙人が不時着するという設定)によるペン+水彩+千代紙の作品です。
水彩の方は色が淡かったのでスキャナで撮ったのですが凡そ再現されてないような…。千代紙と和紙の部分もちょっと。

実のところ申し込んだ時、SF大会ワールドコンのアートショーをかなりお気楽に考えていまして、後日届いた参加者一覧を見てプロ&セミプロ(一般参加となってはいても…)の方々ばっかり!と後悔しきり。
展示会場で自分の作品を見て、後ろを振り返るとプロの方の素晴しい作品がっ!
嬉しいやら悲しいやら複雑な気分になりました。

アートショー自体は一流の方々の作品を、文字通り息のかかる距離でじっくりと鑑賞できるという非常に美味しいものでした。
マイケル・ウィラン、加藤直之、天野喜孝…と層々たる顔ぶれ。
アートショーのエリアは無料開放されていましたから、近くの方はご覧に…って既に遅いですね。
そして展示品は販売もしてるんですよ!飾る部屋さえあれば是非1枚欲しかった…。
一応、私の作品も値段は付けてありまして、「狐火」「昆虫採集」「デザート」「バスタイム」の4点と、縮小複製のポストカード達が海を越えて行きました。
お買い上げありがとうございました。

気楽に参加して、ちょっとビビって。でもまた次回があったら是非参加したい楽しい企画でした。
(あれ?途中の後悔はどこへ行った?とか突っ込まないで下さいね)

「グランド・ツアー」 

2007-09-20 13:21:22 | 読書館
(恵庭空知)

こんにちは、こちらに書き込むのはお久しぶりです。
最近年を取りまして、片っ端から物事を忘れ去る…ということはなくて、むしろ脳内活性化。小説はなかなか読み進まないのですがノンフィクションとか歴史関係とか読んでいるので読書感想をちびちびとUPして行こうと思っています。恵庭空知の映画の感想はタラと映画のブログで随時UPしています。こちらもぜひ。

さて最新の読書は昨日、ブックスボックス香聡庵さんで買ってきたばかりの1冊「グランド・ツアー」です。
本城靖久 著 中公新書 昭和58年発行 サントリー学芸賞を受賞しています。

18世紀イギリスの貴族社会で跡取り御曹司は社会に出る前に大学へ行くか、大陸おもにフランスとイタリアに国際人養成修行の旅に出るのが常でした。期間は1年から2年。長い者は5・6年も行ってたそうです。フランスでは宮廷の洗練された貴族との交流、イタリアではルネッサンス芸術に触れ、仏語伊語も習得。帰国後は立派な氏族社会の一員として英国の政治・外交・軍事を担う要人となるべく膨大な費用をかけてドーヴァーを渡り外遊したわけです。この本は当時の家庭教師や牧師が書き残した資料を元に「貴族式大修学旅行」の詳細を楽しく読ませてくれるのです。

若様の平均年齢18歳。つき従うのはお抱え家庭教師。家付き牧師。たまにボディーガードとして軍人など。たぶんそれぞれに従者。そして衣装。馬車は現地調達。旅はなるべく身軽にね(笑)。パスポートも健康証明書も用意して、さあドーヴァーを渡ろう!という若様のわくわく感が伝わってきます。