
ミュージシャン名もさることながら、このタイトル。そして、このジャケット。
イロモノ好きなら手に取らずにはいられないだろう・・・と思うが、いまや彼女は有名な実力派である。
ミシェル・ンデゲオチェロは、女性ミュージシャン。
はじめはベーシストとして認知されたが、ヴォーカルもとるしキーボードはじめ他の楽器も操る。
ポエトリー・リーディングのごとき彼女の歌は、不思議な存在感があり、リアルな問題を扱う。
「ンデゲオチェロ」とは、スワヒリ語で「Free as a Bird」の意味だという。
小柄ながら、彼女の奏でるベースは太くコシがあり、確固たるグルーヴを送り出している。
本作は彼女の4thアルバム。
ジャケットに反して(?)意外にも聴きやすく、気持ちの良いグルーヴに溢れている。
ラッパーの Talib Kweri が(ボーナストラックでは Missy Elliot も)参加しているなど、ヒップホップ的要素を取り入れた曲もあるが、
それだけではない。
タイトなファンクナンバーや、ソウル~R&B的メロウなトラック。
その随所で彼女のグルーヴィーなベースも堪能できるが、
なんといっても、ここで提示されているテーマが切実だ(輸入盤のみに表示されているADVISORYマークは
彼女のリリックおよびラップの所為だろう)。
アフリカン・アメリカンである彼女は、自らのアイデンティティ、自身の置かれた社会的状況を問うている。
人権問題を扱った詩の朗読や運動家の演説などを引用したり、リリックにそうした文言を刻み付ける。
それは、自分のルーツを見つめ直すという点で彼女にとっては必然だったのだろうと思う。
思えば、ソウルミュージックは過去にも人種差別問題について訴えてきた
(例えば Stevie Wonder の# Living For The City など)。
ここで、聴き手の自分はどうかと考える。
日本に生まれた日本人、特に幼い頃から悲惨な思いをしたこともなく育った自分は、
きっとこの作品を 本質のところでは 理解は出来ないのだろうと思う。
しかし、お固いことは抜きにしても、純粋にこの作品はさまざまな時代のブラックミュージックのかっこ良さが集められた、
タイトル通りの「ミックステープ」として楽しむことができる。
彼女の様々な音楽的要素を見せる本作だが、
このふたつ前の2ndアルバム『Peace Beyond Passion』は、よりアシッドジャズ的だ。
ちょうどこの頃、さきに紹介した『Red Hot + Cool』にも参加している。
本作にギターの鬼才 David Fiuczynski は参加していないのが、若干残念ではある。
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