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ACID JAZZ FREAK

一時のブームとして流されがちなアシッドジャズ。その作品群を取り上げ、思うところを書いていく、時代に逆行したブログです

Traveling Without Moving / JAMIROQUAI

2011年01月10日 | FUNK

もはや、あらためて紹介するまでもない。
Jamiroquaiといえばコレ、というくらいの有名アルバムである。
この3rdアルバムで、彼らはその人気を不動のものにしたと言えるだろう。

このアルバムは、どうしても#1 Virtual Insanity の印象が強すぎる感がある。
イントロのピアノの印象的な響きと、話題性抜群の、あのPV。
当時はテレビでもラジオでもかからない日はないくらい流れていて、この曲に関しては食傷気味な人も多いだろう。
まあ仕方のないことだと思う。

しかし当然ながら、このアルバムの聴きどころは#1 Virtual Insanity だけではない。

基本的には1st~2ndアルバムのコンセプトを継承し、アルバム全体を通してひとつのストーリーとなるような構成をとっている。
#2 Cosmic Girl をはじめとして、シングルカットされた楽曲はどれも素晴らしいが、
ここではそれ以外を少し紹介しよう。

#3 Use The Force は、冒頭のシングルカット2曲に続くアルバムチューンだ。
パーカッションをふんだんに用いて民族音楽的なテイストを入れつつ、タイトなファンク・ビートがテンションを高める。

その次はしっとりしたバラードの#4 Everyday。
スペーシーな雰囲気は、宇宙空間に一人ぼっち残されたような、なんとも言えない寂しさを演出する。

再びシングル曲が続き、ここまでまったくスキがない。

#7 Drifting Along では、Jamiroquai風のレゲエを展開。
宇宙的な楽曲の中にあって、まったく浮いた感じがしないのは、やはりバンドサウンドが確立されている故だろう。

#8~#9はディジリドゥをフィーチャーしたインストゥルメンタル。彼らのアイデンティティを感じさせるが、
民族楽器というよりも、宇宙との交信を行う音かなにかのように聴こえる。

#10はタイトルチューン。これも冒頭部のエンジン音とJayのクルマで話題になった楽曲だ。

アルバム裏面には#12までしか記載されていないが、#13 Funktion がhidden trackとして入っている。



この大ヒットした3rdアルバムは、良くも悪くも彼らにとって大きな転機となったことは間違いない。
このアルバムからギターのサウンドを大きく取り入れ、シンセベースも多用するようになる。
そして彼らは世界中を飛び回る超売れっ子バンドへと成長したのだった。

Jamiroquai は4thアルバムから
急速にディスコサウンド
への傾倒を見せる(Jay-Kay の、Earth,Wind & Fire 他からの
影響は、今までの楽曲からも明らかである)のだが……
バンドメンバーの入れ替わりは激しくなった。

4thリリース前にはベースのStuart Zender がバンドを抜け、5thリリース後にはキーボードのToby Smith も抜けてしまう。
ディジリドゥのWallis Buchanan も脱退し、今ではドラムのDerrick が残るのみとなっている(※2015追記;Derrick McKenzie もその後抜けた)。

その路線は5thまで続き、かつてのようなジャズ~ファンクの影響は次第に薄まっていった感がある。
 6thでは2ndを意識したかのようなローファイなサウンドを提示したが、どちらかと言えばロック的なつくりではあった。


どうしても懐古的な意見になってしまうのだが……

やはり、ジャズ~ファンクの影響を感じさせるJamiroquai のサウンドに魅力を感じているのは事実なので、
彼らにはいつまでも70年代のStevie Wonder とHerbie Hancock を足したような音楽をやっていて欲しかった……
と思ってしまうのだが、進化し続ける現役のミュージシャンに、それを求めるのはナンセンスだ。

しかし4th以降のバンドは、カッチリ作りこまれすぎていてスキが無く、生演奏の粗い(荒い)感じがほとんどしない。
音を聴いただけでメンバーの演奏する姿が眼に浮かぶような、生々しい音作りではなくなった。

バンドメンバーの入れ替わりとバンドの方向性の変化は無関係ではない。
ならばあの時点で、いっそのことバンドという形態にこだわらず、打ち込みをふんだんに使って
Daft Punk のようなデジタル・ファンク
に突っ走ってみても良かったんじゃないか、あるいはHancockの『SOUND SYSTEM』のような、
スペース・アフリカンとでも形容できそうな独自の音楽世界を切り拓いていたら……などと
愚にもつかないことを、妄想せずにはいられない。

(※2015追記;2013グラミー賞授賞式でのDaft Punkのパフォーマンスは、Stevie Wonder や Nile Rodgers との共演で話題を呼んだ。
初期のJAMIROQUAIの路線を引き継いでいるのは、実は彼等かもしれない)



【関連シングル】

Virtual Insanity

エディットバージョンとアルバム収録バージョンの他、
ジャングル・ビートを導入した# Do You Know Where You're Coming From (original mix) 、
それにシングルのみに収録のインストゥルメンタル# Bullet を収録。

# Do You Know Where You're Coming FromはM-BEATとの共同制作で、M-BEAT名義で出されたシングルもある

そのため、Jamiroquai名義の方は(original mix)となっている。


Cosmic Girl

ジャケット色違いで2バージョンあるが、左側が日本盤、右側は輸入盤。
Cosmis Girl の2バージョンのリミックスは、双方どちらにも入っている。
その他、
左側(ピンク色)にはエディットバージョンとインストゥルメンタル# Slipin' N' Slidin' 、
右側の方(青色)にはリミックス2曲とそのダブバージョンをそれぞれ収録。
すべてシングルのみで聴けるもの。
好みで選ぶとよいけれど、ファンなら両方とも持っていたい。


Alright

エディットバージョンとリミックス
3バージョン
(うち1つのリミックス曲の、バリエーションをさらに2つ)の計6曲収録。
クラブ向けやしっとり仕上げたもの、原曲が分からないくらいいじったものなどバラエティに富んでいる。
リミキサーは、1
stからずっと付き合っているDJ D-Zire。


High Times

エディットとアルバムバージョンのほか、Roger Sanchezによるリミックス違い2曲を収録。
Roger Sanchezは他にも多くのJamiroquaiのリミックスを手がけている。


Deeper Underground
※本来はここで紹介するべきではないのだが、4thアルバムを紹介する予定がないので便宜上ここで紹介

このシングルは、3rdのあと、4thが出る前にリリースされた。

ハリウッド版ゴジラ(GODZILLA)のサウンドトラックに収録されたものだが、
4thアルバム(UK盤)のボーナストラックにも入っている(日本盤のボートラは別の曲)

エディット、アルバムバージョンとリミックス1曲、それに# High Times のアレンジ違い(コーラス入り)を収録。
これにもバージョン違いがある。


↑これはDeeper Underground のセルPVに付属しているCDなのだが、なぜか中古店で単品で売り場に出ているのをしばしば見かける。

エディットバージョンを除く上記3曲に加え、別のリミックスおよびダブを3曲、計6曲収録のお得な1枚。
緑色の#3 JAMIROZILLA MIX と、赤色の#2 METRO MIX は、同じ楽曲。

もしも中古店で両方見かけたら、迷わずこちら(赤いほう)を手に入れたい。
・・・たしかにジャケットデザインは緑色のほうが(GODZILLAのロゴも緑色だし)カッコいいけれど。



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