製作を依頼した時の要望:
私が一人でギターを弾き、それを伴奏に歌を唄う時使います。主にコードをストローク弾き(たまにスリーフィンガー)しながら歌うので、低音がリッチに響くとありがたいです。
阿部英介氏から作っていただいたこのギターが、どういう所で活躍しているのか、事例を挙げてみましょう。
①料亭(四山楼)の舞台で、私の作詞作曲したその料亭を唄った自作曲(四山楼音頭)を、一人演奏し、山形舞子が私の周りで円陣を組んで踊る時。
②ズンチャカバンドの練習時、曲のイメージを伝えるため、一人唄ってみせる時。
③ズンチャカバンドで既にカラオケを作っているが、そのカラオケに合わせて新人から歌ってもらう際、生の感覚を体感してもらうため、一人ギターを弾き、それに合わせて曲になじんでもらう時。
④作詞作曲する時。
⑤思いっきり、自己流に、気ままに歌う時。
私の経験上、歌が豊かな曲として聞こえるためには、低音域がしっかりしている必要があります。特に、生ギター一本で歌う時は、そうです。低音が、ボォーン~と小気味よく響くと、それだけで、やる気が出てきます。聞いてる方もそれなりに安心し、楽しむ事が出来る、と私は思っています。「どんなギターでも、低音を電気的に増幅し同じ効果が出るのではないか。」と、お思いの方もいらっしゃるでしょうが、ギター一本で歌う時は、不自然さの方が先に立ちます。
ズンチャカバンドで演奏する時、私はテレキャスターにマルチエフェクターをつないで使用していますが、ドラム、ベース、リードギター、キーボード、リーバーブのかかった肉声と混合され、なんら不自然さは感じません。特にズンチャカバンドは、ベンチャーズからカントリー、ロックそして演歌まで多様な曲をこなすので、使い勝手から合理的選択だと思っています。
しかし、バンドから離れて自分ひとりでギターを弾いて歌う時は、やっぱり生ギターがしっくりきます。それも、阿部さんから作っていただいたギターが。
ちょっと、余談ですが、私のギターの扱いはあまり丁寧ではありません。女房から、「あなたねえ、注文生産のギターでしょう。もっと丁寧に、キズをつけないように使いなさいよ。もったいないんだから。」と、しょっちゅう言われます。
阿部さんから作っていただいた時の私のギターは、それはそれは美しい仕上がりで、美術品と言っても過言ではありません。しばらく、触れられませんでした。美しくって。キズをつけるのが怖くって。それで、昔から持ってる、すごく弾きやすい、よく楽器屋さんに展示されているオベイション・ギターを使ってました。阿部さんの作ってくれた生ギターを横目に。
そのうち、次第に、阿部さんの作ってくれたギターが、こういう弾き方ではどんな音がするんだろうと思うようになってきました。私の弾き方は、時には、ビートを強調するため、ギターを打楽器のように、ストロークの流れでドームをたたいたりします。意を決して、阿部さんのギターを、思いっきり弾いてみました。
「何、これ、音が全然違うじゃないか。」
いつも使っているギターは「ペンペン」、阿部さんのギターは「ボォーン、ボォーン」なのです。鳥肌が立ってきました。
その瞬間です。
「もう、いい。いくらキズをつけても、もう骨までしゃぶってやる。」と、思ったのは。
最近、阿部さんの作ってくれたギターを倒してしまい、弦を巻く部分を破壊してしまいました。でも、大丈夫。すぐに直してもらいました。そして、もっとグレードアップ。手作りしてもらった楽器は、いいです。だって、阿部さんは、私の生ギターの一からの生みの親なんですから、いつも即座に再生、そして改良可能なんです。
最後に、私が結構気に入っている「みなみらんぼう」というシンガーソングライターの「独りぽっちのブルース」の2コーラス目の詩を紹介しましょう。
「今の俺が持っているものは、糸の切れたギター 胸に抱えてれみればかわいい女 そうさ、指で優しくなでてやりゃ、いつも甘えた声で 俺を誘う気でいるけれど、もうその手は喰わないよ」(喰わないって言ってるけど、現実には、喰っちゃってんだよねえ、どう考えても。)
阿部さんの作ってくれたギター、最高です。「ギター」という恋人が欲しい人は、ぜひ阿部さんを訪れてはいかがでしょう。貴方は、源氏物語の光源氏になれるかも。思い通りの恋人があなたの手に。
高橋一夫(ニックネーム:ズンチャカおじさん)
職業:高橋一夫公認会計士事務所・所長
ズンチャカ音楽制作研究所・所長
お問い合わせ ABE GUITARS
<トップ>シトカスプルース <バック&サイド>インディアンローズウッド <ネック>ホンジュラスマホガニー
<フィンガーボード/ブリッジ>エボニー <ナット/サドル>牛骨
<弦長>25.4″<塗装>ニトロセルロースラッカー <ペグ>Schaller M6 Mini