ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

絶対は無い

2024年05月04日 | 弦高調整
昨日は弦高調整を承りました。

ネックの元起き、ねじれが生じている状態を、トラスロッドの調整でそれなりに均衡を保っている、という感じ。
ヒーター修正・フレットすり合わせ、ナットとサドルの作成など、改善策はたくさんありました。

とはいえ、
・他のギターに比べて、それほど弾くわけではない
・多少のビレは感じるが、無茶苦茶気になるわけではない
・まだ保証期間があるので、販売店に送ることも考えている

といったお話だったので「ではとりあえず、サドル下にツキ板入れて、ちょっと弦高を高くして、しばらく様子を見ましょう」ということになりました。

結果、この程度でいいか、と思えばそれでよし、ですし、不都合を感じるのであれば、販売店に送るもよし、あるいは、やっぱりもっと弾こう、と思うのであれば、徹底的に修理するもよし、です。

つまりは、ご自身がギターとどう付き合っていきたいか、そこに時間と資金をどの程度注ぎたいか、がポイントなのであって、技術的な原則はあるとしても「こうしなければならない」というものがあるわけではないのです。

今回の案件も、諸条件を考慮すれば、現時点では妥当な判断とは思いますが、常に思うことは、絶対的に正解と言える修理調整は無い、ということです。
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弦高調整について②

2009年01月03日 | 弦高調整
前述のように、弦高調整ひとつ取っても、内容は多岐に渡る場合がありますので、ベストな調整をするためには、やはりある程度の予算と時間を費やす必要があろうかと思います。
以前、弦高調整を含めて、フレットすり合わせの依頼を受けました。少なくとも12フレット以降は、フレットを外して指板を削ってやらなければ弾き易くはならない、という状態だったのですが「どうしても明日使う必要がある!」ということで、12フレット以降のフレットはペラペラになってしまうことをご了承頂いた上で、すり合わせとナット・サドル調整で凌ぎ、それなりの音と演奏性を確保しました。しかし案の定、半年くらいで改めて指板調整とフレット交換をすることになってしまいました。
「絶対的に正しい修理」というのは、基本的にはあり得ず、その時その時のご要望・ご予算・時間的制約等の兼合いの中で最善を尽くす、というのが修理の実態だと思います。とはいえ、確実に言えるのは「最初の修理に力を注いだ方が後からのメンテナンスは非常に楽」だという事です(依頼する方も、やる方も、です)。
弦高調整も含めて、修理全般に言える事ですが、その場凌ぎではない、ある程度長期的な観点からの修理が望ましいと考えています。

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弦高調整について①

2009年01月02日 | 弦高調整
お預かりする修理で一番多いものは、ネックの反りなどで高くなった弦高を下げて弾きやすくする「弦高調整」です。単純にはロッド調整・ナット溝調整・サドル調整で済む話なのですが、事はそう簡単にいかない場合が多いのも確かです。
例えば、サドルを削って弦高は低くなったものの、サドルがブリッジに埋まってしまうこともあり、その時はブリッジの削りが必要で、削ると今度はサドルの溝が浅くなり、その溝を深くしなければならない場合は結局サドル作成が必要になったりします。
フレットが磨り減っている場合はフレットすり合わせも必要になり、減り方がひどい時はフレット交換、指板が湾曲していたりする場合は指板を削っての調整も必要です。それでも低くならない時はネックに熱を加えてのヒーター修正、それでも駄目ならネックリセット(ネックを取り外して仕込み角の再調整)…お電話等で修理代と納期の問い合わせをお受けする時に「物を見てみないと正確なことはわかりません」とお答えせざるを得ない場合が多いのは、この様な事由によるのです(この項続く)。

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