作:福島三郎
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:堺 雅人 橋本じゅん 八嶋智人 山内圭哉 橋本さとし
『噂の男』と『小鹿物語』セットで見るときっと面白い。
私、幸運にも2連続で見ましたが、この2つはまさに裏表。
『小鹿物語』は戦争(悲劇)の対極にあるお笑い(喜劇)の物語。
『噂の男』はお笑い(喜劇)の対極にある人間(悲劇)の物語。
・・・噂の男の方はちょっと無理あるかな。(笑)
とにかく偶然にも同時期に公演中のこの2つの舞台、私の中では綺麗にリンクしました。
たまにあります、こういうこと。
全く別の作品なのに、行きつく先が同じというか・・・
自分自身が先に見た舞台に影響を受けているから、っていうものあるかもしれないけどね。
いや~面白い。
今日はなぜだか最前列で観劇。
(2列目は何度かあるけど、こういう劇場で最前ってもしや初??おぉ~すげぇ~)
役者ファンにはたまらないだろう最高のポジションでした。センター上手寄り。
が、特に私、誰のファンでもなく・・・すんません。
でもね、やっぱドキドキかも。
だって私の目の前にじゅんさんが、ヤッシーが、堺雅人が・・・
しかも、自分の前に他人の頭がないってのが良いじゃない。
「私の為だけに演じてくれている」というような錯覚に陥れて。
えぇ、錯覚です。
2時間30分、休憩なしのぶっ通し。これも2日連続。(笑)
でも今日はお尻痛くならなかったです。
コクーンの椅子より、PARCOの椅子のが相性が良いのかな、私のお尻は。
ケラさんの演出で、このメンツだから見に行きましたが、
脚本もケラさんなんじゃないの?っていう感じ。
不条理さは薄いけれど、光があって影がある。その影を浮き上がらせるというか。
まぁ、似た部分があるから演出を引き受けるんだろうけどさ。
登場人物全員が、お笑いになんらかの形で関わっていた人物。
しかし、物語の進む場所は、スポットライトのあたる舞台ではなく、その袖の奥のボイラー室。
そこからして、なんだか良い。ボイラー室にも客席の笑い声が聞こえるんだ。
光のすぐ裏にあった、人間の様々なドロドロした感情が見える舞台でした。
人間関係は言葉で説明するには複雑すぎます。
皆さんそれぞれ、ホモだったり、芸人の息子だったり、
アル中だったり、実は殺人者だったりしてました。酷いですね。
ただでさえ複雑な人間と状況が絡み合って絡み合って、最後、悲劇へ。
でも、すぐそばで人が笑っている。
ボイラー室の中では、何人も人は死んでいるのに、笑い声が聞こえてくる。
その演出がシニカルでとても良かったです。
ダブル橋本が元お笑いコンビという設定なのですが、この2人の漫才が実に面白い。
コレ書きながら父が隣でNHKのお笑い番組見てましたが、
間違いなくじゅんさんと、さとしさんのがテンポも良くって面白いわ。
ってことで、本当のお笑いコンビみたいでした、2人は。
2人が、仲違いしていくところから話はこんがらがって行くんですが、
終盤、やっぱり良いコンビだったんだとしみじみ思わせる場面があって、
いやなんか、上手いな~と感心してしまいました。
過去と現在が微妙に交差する展開も、徐々に混乱して行く人間関係と重なって効果的。
最前列だったせいなのか、なんなのかよくわかりませんが、
集中途切れることなく、2時間30分見ることが出来ました。
悲劇があるから喜劇がある。
喜劇があるから悲劇がある。
2日間で、物事全てに裏と表があるんだなぁ。
などということを、実感してしまいました。なんかシェイクスピアじゃん。



客席に中村獅童さんがいたような、いなかったような。・・・新撰組、か。
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