植物好事魔多し

植物を育てる、とある趣味家の備忘録兼管理ノートです。

加温播種と冬型球根

2016-12-30 10:00:00 | 自家実生
昨年から実験的に冬季の加温実生に取り組んでいる。
無加温であれば冬型は秋頃播種で良いが、気まぐれで真冬に実生したいときもある。
そこで観賞魚用ヒーターと発泡スチロール製トロ箱を利用した湿式加温実生箱、いわば「湯せん」実生箱を運用している。
とはいえ発芽には1ヶ月程度はかかる。


ここで利用しているものはあくまで観賞魚用ヒーターであり、目的外使用である。
火災等の危険もあるので十分な安全対策をとる必要があり、試みる際は自己責任で。

用意するもの
いずれもホームセンター等で入手可能。
・比較的低容量のトロ箱(断熱性があるものなら何でも良い。複数ヒーターがあるのであれば大容量でも可。熱効率的に少量播種なら小さいトロ箱が良い。ただしヒーターが十分浸る深さが必要)
・観賞魚用ヒーター(過熱防止機構付きが無難。横置きできるものが良い)
・チャック付きのポリ袋(鉢が入る袋類なら何でも可)
・温度計(なくても良い。地温や水温の確認に便利)

①トロ箱にヒーターを設置する。撹拌機構がないため、ある程度加温が均一になるようにトロ箱中央が良い。
②ヒーターが水に十分浸るように、トロ箱に水を入れる。
③ポリ袋に鉢を入れ、トロ箱に浮かべる。安定が悪ければ、何か土台を沈めて、その上に置く。好みで袋内腰水してもよい。
④定期的に水量をチェックして、水位に応じて水を足す。


ワット数や保温状態にもよるが外気+10℃、最低地温15℃程度にはなる。
トロ箱全体をビニールで包んだり、鉢を入れたポリ袋を詰めるように配置し、水面が直接外気に触れないようにしたりすると保温性が増す。


以下、加温実生で今年11月に播種したもの。
Drimia platyphylla (B.Nord.) J.C.Manning & Goldblatt


syn. Tritonia crispa (L.f.) Ker Gawl. 
 = Tritonia undulata (Burm. f.) Baker


Massonia longipes Baker


syn. Whiteheadia bifolia (Jacq.) Baker
 = Massonia bifolia (Jacq.) J.C.Manning & Goldblatt


Lapeirousia azurea (Eckl. ex Baker) Goldblatt

蒼角殿の四態

2016-12-12 06:00:00 | ! Liliaceae ユリ科
亀甲竜同様、夏に育つこともあり、冬に育つこともあり、今一つパターンが不明な球根(正確には鱗茎)、蒼角殿Bowiea volubilis Harv. ex Hook.f.の四態。
個人的には球根より、蔓の方が魅力的だが、うまく写真に写し込めない。
水、肥料とも控えめにした方が身割れや分球がしにくい。
基本的には強健で、蔓が伸びだしたら水やりを始め、枯れ始めたらやめるを繰り返すだけで良い。


まずは一鉢(株)目。


鱗茎が萎むほど乾いた状態に水を一気に与えたところ、鱗茎が身割れしてしまった。
その身割れした鱗茎を剥ぎ取り、そのまま軽石のベッドに挿した(置いた)もの。
これは鱗茎挿し、あるいは鱗片挿しと呼ばれる栄養繁殖の一つ。
大きさはパチンコ玉ほど。


二鉢目。

一鉢目の親株。
我が家では最大の株。
とはいっても大きさはゴルフボールほど。
身割れの影響で小さくなってしまった。


三鉢目。

2016年7月12日の実生株。
思いのほか発芽がよかった。
鱗茎はマッチの頭二つ分ほど。


四鉢目。

我が家の古株。
もともとは頂き物で、鱗茎挿し由来と聞いている。
もともとはビー玉ほどの大きさ。
現在はピンポン玉ほど。
管理がよくなく、古株の割に育っていないのはご愛嬌。
同じ株由来だが、片方は蔓がなく、もう片方は蔓が伸びている。

スイセンのウイルス感染?

2016-12-10 10:00:00 | Amaryllidaceaeヒガンバナ科

原種スイセンNarcissus viridiflorus Schousb.のウイルス罹病疑い株。
ウイルス病でよく見られる、かすり状の模様が確認できる。


この症状自体は昨年の入手時から確認しており、観察のため隔離栽培してきた。
いくらか調べたものの、他のサイトの株には見られない模様で性質的なものではないようだ。
場合によっては何らかの欠乏症や生理障害の可能性もあるが、現時点ではウイルス病として扱うのが無難と思われる。

ちなみに同時期入手した別業者由来の株も同様の症状を呈しており、球根の供給元が同じだったか、植え付けや管理中に感染させてしまったのかもしれない。
種子で伝染するものもあるらしいものの、多くは実生更新するとウイルスが(少なくとも外観上は)伝達しないことが経験的に知られており、採種して育成することも検討中。
ただし、本種は実生から開花まで結構な時間がかかるという資料を見た記憶がある(記憶が定かではないが5年はかかる)。

分類体系について

2016-12-07 16:00:00 | knowledge
原則として分類体系はAPG体系による。
ただし、便宜上、ユリ科、リュウゼツラン科はAPG体系とは異なる新エングラー体系としている(APG体系でも変更が著しいため)。
これら二科はカテゴリーに「!」をつけている。

ヒヤシンス科Hyacinthaceae、キジカクシ科Asparagaceae、スズラン科Nolinoideae、イヌサフラン科Colchicaceae等はユリ科とした。
リュウケツジュ科Dracaenaceae、Doryanthaceae、トックリラン科Nolinaceae等はリュウゼツラン科とした。
ただし不勉強なため、誤りはご容赦願いたい。

甘露

2016-12-06 15:00:00 | Ericaceae ツツジ科
オオバコケモモ(流通名:台湾ヤドリコケモモ)
Vaccinium emarginatum Hayata


植物を並べたトレイを何気なく見ていると、何やら輝くものが目に入った。
オオバコケモモに透明な滴がついていた。
触れてみるとベタベタする。
どうやら蜜らしい。

よくよく観察してみると、比較的柔らかい、新しい葉の根元付近から分泌されている。


そういえばサクラの葉にも似たものを見た記憶があるなと、調べてみると蜜腺というらしい。
蜜腺(みつせん)の秘密 :広島市こども文化科学館
そういえば、亀甲竜の葉も蜜腺があるらしく、蜜が分泌されているのを見かけたことがある。

ただこの蜜、カビが生えたり、埃がついたり、アブラムシを媒介するアリを誘引したり、園芸的にはあまり喜ばしいものともいえない。