黒猫のつぶやき

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トータルウォー・ササン朝ペルシャ編(9)

2007-01-08 22:41:36 | 歴史
 新王シルスが即位した415年当時における、ペルシャの将軍たちの紹介の続編です。

17 新王シルス1世とペルシャの将軍たち(承前)
<アルストテス系>
 アルストテスは、アラビアの砂漠で山賊をしていたところ、ペルシャの外交官に買収され、ペルシャの将軍の一員となった人物です。その際、形式上はアルダシールの養子とされたため、王族の一員とみなされ、王位継承権も認められています。
 アルストテス系の将軍とは、このアルストテスとその血を引く将軍たちのことです。

(27)アルストテス(61歳) 指揮1、内政0、威光0
 彼がペルシャの王族の一員となった経緯は上記のとおりですが、彼はゾロアスター教徒ではなく自然崇拝者だったため、ゾロアスター教への改宗を狙って、はじめはゾロアスター教のメッカである旧首都クテシフォンの長官に任じられました。しかし、ゾロアスター教一色の巨大都市の中で、自然崇拝には大きな疑問を抱くようになったものの、一方でゾロアスター教をひどく嫌うようになり、彼の改宗は失敗に終わりました。結局、彼は今でも自然崇拝者のままです。
 それでも、クテシフォンの長官を務めている間に、自然哲学の達人となり有能な従者も数多く揃え、一時は内政3・威光3とそれなりに使える人物となったことから、その特技を活かし、農業生産力が低く人口がなかなか増えないプラスパを発展させるため、プラスパの長官に配転されました。
 しかし、老境に入ってからの彼は、ただでさえゾロアスター教を毛嫌いし領内に不穏の種をばら撒く存在である上に、浪費や公金横領といった悪癖まで身につけるようになって、能力はどんどん下がっていき、現在では無能というより有害な人物になってしまいました。
 それでも彼は、プラスパの人口を増加させる能力に関してはなお第一人者であるため、現在でもプラスパの長官を続けられていますが、プラスパが無事巨大都市になった後には、彼には有能な従者を取り上げられた挙句、公金横領の罪でカスピ海警備船団の船内に幽閉される運命が待ち受ける手筈となっていますが、彼の年齢を考えると、むしろ彼が寿命で死ぬのとプラスパが巨大都市になるのとどちらが早いかという勝負になりそうな雰囲気です。
 アルストテスには、妻・フラダ(52)との間に、ナブクドラカラという1人の息子と、既に結婚した2人の娘のほか、ヴィヴァナ(16)という未婚の娘がいます。

(28)アルタヴァルディヤ(47歳) 指揮1、内政0、威光2
 アルストテスの長女・アヴァ(31)の婿となった人物で、逃げ回るヴァンダル族に最後のとどめを刺した将軍です。アクインクムの長官に赴任する予定となっています。
 彼は、今のところ臨時代行という感じでゾロアスター教の主教を務めていますが、この職はスクンクサに譲る予定となっています。彼はさしたる能力も特技もない一方、とんでもない浪費家で、しかも収賄癖もあるため、何となく粛清したい気分になる将軍の一人です。
 彼とアヴァとの間には、後述する息子のアルサケスのほか、アンナ(4)という娘がいます。アルサケスは、なぜか彼が婿に迎えられた後わずか半年で産まれた男の子であり、どう考えてもアルタヴァルディヤは、結婚が認められる前にアヴァに手を出していたとしか考えられません。できちゃった婚は、現代の日本では黒猫の事務所の○山某もやっているごくありふれた行為ですが、古代のペルシャで、しかも手を出したのが王族の娘となると、関係者の首が飛んでもおかしくない大不祥事ではないかと思います。ある意味勇気のある男です。
 同じく結婚後半年で男子を儲け、出来ちゃった婚疑惑のある人物としてはシェルがいますが、シェルは元からの王族でありどこかで適当な女性を捕まえて妻にしたというだけですから、アルタヴァルディヤとは全然問題の質が違います。
 アルダシールに婿入りが認められたから良かったものの、もし婿入りが認められなかったらどうなっていたのでしょうか。

(29)アルサケス(18歳) 能力はいずれもゼロ
 アルタヴァルディヤの息子です。現在アテネの長官を務めている、というよりは、学問の府アテネで英才教育を受けている途中という感じです。
 目立った才能はありませんが、公平で皆に信頼されているという美徳を備えていることから、今後の成長に期待されています。

(30)ナブクドラカラ(26歳) 指揮0、内政1、威光2
 アルストテスの息子で、現在首都となっているアンキュラの長官を務めています。あの自然崇拝者アルストテスの息子なので、一時は彼も自然崇拝を受け継いでしまうのではないかと心配していましたが、彼は立派なゾロアスター教徒として成人しました。今のところ、彼に特筆するほどの欠点はなく、統治者として順調に成長している感じです。エステル(17)という妻を迎えています。

(31)ザマスプ(49歳) 指揮3、内政2、威光2
 アルストテスの次女・ダリア(23)の婿となった人物です。結婚当時既に40歳を過ぎており、婿としては高齢ですが、切れ者ということで婿入りを認めました。現在、クテシフォンの長官を務めており、統治者としてそれなりの能力を示しています。ダリアとの間には、アリヤムナ(4)という娘がいます。

<ナルセス系>
 彼らは、シャープール2世の末子・ナルセスとその血筋に連なる将軍たちです。もっとも、数としては多くありません。

(32)ナルセス(64歳) 指揮2、内政0、威光3
 シャープール2世の三男(末子)で、兄のメルキオルがアンティオキアに向かった後を受けて、アラビア方面に頻繁に出没する山賊の討伐を任されるようになって以来、生涯をアラビア砂漠の山賊との戦いに費やしてきた人物です。その結果、彼自身の指揮能力はまあそこそこといった水準ですが、彼の将軍護衛兵たちは経験値が最大近くに達しており、まさに歴戦の勇者たちとなっています。最近、一族に同名のナルセスという人物が現れたため、区別するため彼は「大ナルセス」または「老ナルセス」と呼ばれています。
 ナルセスは、楽天家で人望はそれなりにあるのですが、とんでもない浪費家で、しかもゾロアスター教の教えに疑問を持っているという人物です。一応ドゥマサの長官ということになっているのですが、彼が都市にいると治安こそ上がるものの税収が減ってしまうので、アラビア方面に山賊が現れると、たとえ出現時点がドゥマサよりクテシフォンなど他の都市に近い場合でも、討伐を命じられるのはナルセスです。ひどい浪費癖さえなければ、晩年くらいは都市でゆっくりと余生を過ごさせてあげようかとも考えるのですが、彼を都市に置くと税収が減るので、おそらく彼は死ぬまでアラビアの砂漠を駆け回ることになるでしょう。
 妻のリラは411年に亡くなっていますが、リラとの間には息子のアザルメドットと娘のアルハを儲けています。

(33)アザルメドット(30歳) 指揮6、内政0、威光1
 ナルセスの子で、成人したときから指揮能力5を誇る優秀な軍人としての資質を示していました。彼は将来におけるペルシャ軍の切り札として、首都クテシフォンでしばらく英才教育を受け、優秀な従者とゾロアスター教への信仰心をある程度身につけ、アルダシールの治世の最晩年に、シルニウム攻略戦の司令官として前線デビューを果たしました。夜戦の能力も磨かれており、ササン朝ペルシャにおける今後の征服戦争では、彼が主役の一人となることは間違いないでしょう。
 ただ、彼は生まれつき顔が不細工で、そのために威光があまりないのですが、今後もその軍事的才能で英雄的な勝利を積み重ねれば、そのハンディを克服することも難しくはないでしょう。

(34)クル(40歳) 指揮2、内政1、威光1
 ナルセスの娘・アルハ(23)の婿となった人物で、切れ者というのが売りです。現在は、前線への異動を命じられたスクンクサに代わって、ハトラの長官を務めています。

<その他>
 その他に属するのは、募兵によって将軍に抜擢された人物であり、ペルシャ王家との血縁関係はなく、そのため王位継承権はありません。

(35)アリアラムネス(65歳) 指揮0、内政0、威光4
 彼は、これまでのリプレイ記でも何度か名前が出てきています。
 アリアラムネスは、ちょうどペルシャ軍が将軍不足に悩んでいた時期に、アンティオキアで募兵され、その後長らくシドンの長官を務めていました。彼は、軍人としての才能はさほどでもありませんでしたが、厳格な統治で都市の治安維持にはそれなりの才能を発揮し、またゾロアスター教の布教能力は40と、ゾロアスター教への信仰の深さも素晴らしいものがありました。
 そして、アルダシール2世が小アジア征服を完了し、ギリシャ方面軍を自ら指揮すると決めたとき、アルダシールに欠けているゾロアスター教の布教能力と治安維持能力を補うため、副将として白羽の矢が立ったのがアリアラムネスでした。
 彼は、アルダシールのキュドニア攻略戦以降、アルダシールの副将として占領した都市の治安維持とゾロアスター教の布教に務め、アルダシールが親衛隊のみを率いてバルカン地方の諸都市を荒らしまわったときも、彼の後を追うようにして占領地を次々と移動し、ゾロアスター教をバルカン地方に根付かせて治安を回復させた功労者です。
 先王アルダシール2世が最期を迎えるにあたり唯一悔やんでいたのは、自らの寿命が尽きることではなく、功臣アリアラムネスに王族の地位を与える術がないことだったと言われています。
 アリアラムネスも、浪費や収賄など、ペルシャの将軍たちの多くが持っていた悪癖と無縁だったわけではありませんが、それを差し引いても彼の功績は特筆に価するでしょう。既に老齢のため、新王シルスの治世下で活躍できるのは良くてあと数年でしょうが。

(36)ゾグディアヌス(58歳) 指揮1、内政0、威光0
 彼は、アリアラムネスとほぼ同時期にクテシフォンで募兵され、しばらくアルサキアの長官を務めた後、そのゾロアスター教への信仰心を買われ、北方征伐に向かうアルダシールの副将を務めました。アルダシールが小アジア征服のためカンプス・アラニを離れた後も、彼は北方に留まり続け、カンプス・アラニのさらに北東にあるカンプス・サカエをペルシャの領土に加えることに成功し、現在ではカンプス・アラニの長官を務めています。
 ゾロアスター教への信仰心を買われて北方に送られた彼ですが、最近はゾロアスター教に疑いを抱くようになっています。

(37)スクンクサ(40歳) 指揮0、内政0、威光6
 彼は、アルダシールがギリシャ征伐に出発するにあたり、占領したエフェソスの留守番をさせるため、征服されたばかりのエフェソスで募兵された将軍で、それ以来ずっとエフェソスの長官を務めています。
 ひどい浪費家で、しかもゾロアスター教には疑問を抱いている人物ですが、都市の治安維持の任務は十分に果たしているので、その地位のままずっと留め置かれています。
 スクンクサという名の将軍は、王族にも同名の人物がおり、しかもほぼ同年代であるため混同しやすいのですが、王族のスクンクサと区別するため彼は「エフェソスのスクンクサ」と呼ばれています。

(38)インタフェルネス(42歳) 指揮1、内政0、威光3
 彼は、小アジア攻略戦の際シノーペーで募兵された将軍で、しばらくアンキュラの長官を務めていましたが、アルタクサルタを任されていたクセウスが老齢に達したことから、交代要員としてアルタクサルタに異動になり、クセウスが亡くなった414年からアルタクサルタの長官を務めています。
 自然哲学の研究者であり、アルタクサルタの長官に選ばれたのもそれが主な理由ですが、ゾロアスター教には疑問を抱いています。

(39)カスパル(38歳) 指揮1、内政0、威光2
 彼は、キレネを占領したマルドゥニャが老境に達した際、キレネの守備を引き継ぐのに適当な将軍がいなかったので、急遽アレクサンドリアで募兵され、マルドゥニャから彼の従者を引き継ぎ、402年にマルドゥニャが亡くなってからは、ずっとキレネの長官を務めています。
 彼は、ゾロアスター教の教えに疑問を抱いており、キレネを守らせる以外には特に使い道もないので、おそらく一生をキレネで過ごすことになるでしょう。

 ざっとこんなところです。大変な長文になるのを覚悟で敢えて将軍全員の紹介に踏み切ったのは、リプレイ記で書いている以外にも、ゲーム上のササン朝ペルシャでは広大な領土の至る所で様々なドラマが起きているのだということを、多少なりとも読者の皆さんに伝えたかったからですが、さすがに疲れ果てました。
 新王シルス1世は即位時点で既に53歳なので、シルスの治世はせいぜい10年か、長くても20年程度でしょう。シルスの次の国王、このまま行けばクサントス1世ということになりそうですが、次の国王交代のときには、さすがに将軍全員の紹介はやらないつもりです。シルスの次の次くらいの国王の時代になって、まだゲームが続いている場合には、ひょっとしたらまたやるかもしれませんが。