黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

判事補任官拒否訴訟

2005-06-09 16:19:28 | 司法(平成17年)
判事補任官拒否訴訟、神坂さんの上告棄却 最高裁 (朝日新聞) - goo ニュース

この事案については,黒猫は噂くらいしか聞いていないんだけど,神坂氏がいたころの司法研修所では,修習生が修習の内容に反発して集団で起案を拒否したなどの事件があったらしい。
神坂氏がそういった事件に関与していたのかどうかは知りませんが。
ちなみに,本件の第一審と思われる大阪地裁の判決では,こんな事実認定をしています。御本人はなお任官を志望されるそうですが,こういう活動家タイプの人って,そもそも裁判官より人権派弁護士などに向いていると思いますが・・・。

1)最高裁判所が、将来(任官後)、公正らしさを害するおそれがないかを重要な判断基準としていることに極めて批判的であり、(2)他の任官志望者は、い縮しており、原告が参加すべきであると考える自主活動等に見向きもしないとして、右判断基準に従うことを潔しとしない旨をしばしば表明してきた者であって、(3)いささか挑発的な論調で「安易に『圧力に屈する』ことを覚え『妥協する』ことに慣れてしまった者が、そもそも裁判官になってしまっている」として、現在の裁判所のあり方を批判し、(4)自己の信念を外部に表明して実現することに重きを置いており、外見上の公正らしさを保持することには価値を認めておらず、(5)他の司法修習生、とりわけ任官志望者の中で際立った存在であった、と認められる。

ただ,今回の最高裁判決は,任官拒否が正当なものであるかどうかを正面から判断したわけではなく,いわば門前払い的なものです。裁判官の総入れ替えでもない限り,最高裁が自分でした任官拒否を自分で違法だというはずもないでしょうが,最高裁判所による司法行政上の処分等に対し,法的救済を求める途がその裁判所における訴訟しかないというのは,そもそも憲法上の制度設計に問題があるような気がします。憲法を改正するなら,このあたりのことも議論して欲しい。

ちなみに,黒猫のオリジナルも修習生時代まで裁判官を希望したけど,研修所の教育方針に合わず起案の成績が思ったように伸びなくて(主に暗記科目の出来と起案出題内容の情報戦の出来で評価が決まってしまうので),結局あきらめて弁護士になりましたが,今では裁判官なんかならなくてよかったと思っています(だって,裁判官になると視野が狭くなるし,不自由だし,当分の間はお給料も低いし)。

これからの問題としては,法科大学院を卒業した人がきちんと任官できるのか,ということがあると思います。なんか,旧司法試験合格者の方が少数精鋭で優秀そうだから,旧試験組にばかり教官が積極的に任官の誘いを掛け,法科大学院卒業組の方は任官者が総人数比に比べ異様に少ない,なんてことにならなければいいけど。