義兄がこの1月に他界した。いつもにこにこと穏やかな人だった。長いこと貿易船の船長をしていたので、高価な洋酒を惜しげもなく親戚中のお土産にしていた。私もその洋酒を何かの御遣い物にして、先方が驚いてくださったのを今でも覚えている。
また、釣りが好きで、退職してからは釣り船も備え、新鮮な刺身をよく頂いた。そして、パチンコにも興じ、消えた軍資金でパチンコ御殿に住めたのにと姉がよくこぼしていた。
葬儀は最近流行りの一日一組だけの家族葬ホールで、静かに行われた。仮通夜、本通夜、葬儀、初七日法要も終わり、今は時々親戚が集まっては故人の思い出話をしている。
義兄は酒が全く飲めなかったので、酒器も気前良く配っていた。思い出の品は、青磁の酒器。今年のお正月は、仕舞っていた屠蘇器がどうしても見つからず、これでお屠蘇を頂いた。年末から意識がなかった義兄がこの酒器の存在を教えてくれたと思う。あらためて、有難うございました。お世話になりました。
それから、一年前の今頃は、亡父のすき焼き用の食台に日の目が当たった。
一年後の私は、先人が残してくれた何に日の目を当てて、思い出に浸っていることかしら。(._.)